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白黒 童子姉妹の冒険14

「いやぁごめんごめん。 まさか本体が残ってるなんて思ってもみなかったからさあ」


 カイトさんが戻ってきて開口一番にそう謝ってくれた。 それにしても本体が神話級じゃなくて助かったね。 もし神話級だったら今私達の死体がここに転がっていたと思うとぞっとしちゃう


「さてと、ひとまずご飯でも食べるかい? まだ何も食べてないんだろう?」


「うむ、カイトの作るご飯はうまいからのぉ。 お前たち、心して喰うのじゃぞ」


 聞いたところによると、アンミツ姫の料理は全てカイトさんに習ったものらしい。 と言うことはカイトさんの料理も絶品なはず!


「ちょっと待っててね。 すぐ用意するから」


 カイトさんはそう言うと目の前から消え、あっという間に台所に立っていた。 は、速い


「えーっと、材料はっと…。 黄金ヒツジの肉があるなぁ。 それと白銀米が炊けてるな。 あとは、覇王魚の切り身、業火唐辛子もあるか。 野菜は…。 昨日収穫した百葉白菜と紅玉人参でいいか」


 テキパキと手際よく料理の下ごしらえをし、次々と料理を完成させていくカイトさんに思わず見とれちゃった

 出来上がったのは黄金ヒツジのステーキ、覇王魚のムニエルの百葉白菜包み紅玉人参の甘煮添え

 ステーキには業火唐辛子が振りかけて会って相当辛いけど、癖になる辛さ。 お肉は柔らかくってとろけるような食感。 臭みもなくてむしろ香ばしい食欲を誘う香りがあって結構好きかも

 覇王魚はAランクの魔物で、その名の通り魚の王様と言われる危険な魔物。 相当強いけど、味はそれに見合ったものらしくて、白身魚だけど濃厚。 それなのにムニエルがよく合った調理法。 さらに百葉白菜の甘みがお魚の味をよりいっそう引き立ててくれてる。 その横に添えてある紅玉人参の甘煮もムニエルの塩味に合ってる


「ふぅ、美味しかったですカイトさん」


「それはよかったよ。 実は料理が趣味でね。 大昔、まだこの世界に来ていなかった頃にもよく作ってたんだ。 それにこうして誰かと食べるのは久しぶりで僕も楽しいよ」


 しばらく談笑した後に私達はカイトさんの用意してくれたベッドで横になった。 言い忘れてたけど、カイトさんのいるこの場所はゲートの横に小さな家があって、そこがカイトさんの家として使われているみたい。 ただ、たまに神話級に踏みつぶされるから、しょっちゅう建て替えてるらしいの


「今日は頑張ったね。 ゆっくり休んで明日から修行を始めよう」


 カイトさんはそう言うと私達にベッドを譲り。台所にある長椅子に寝転がると薄い布にくるまって寝息を立て始めた。 やだ紳士




 その頃アカネたちは


「おおおおおおお!! 力が、力がすっごいっす! なんだか何でもできる気がするっすよ!」


「ええ、それにこの体の変化、ハクラ様達にお会いしたとき、私達と気づいてもらえるでしょうか?」


「ハクラちゃんなら~、絶対大丈夫だと思うよ~」


 それぞれが童子へと進化を始めていた


 まずアカネは角が二本から三本に増え、赤毛の髪は腰元まで伸び、少し背も伸びて胸も以前よりさらにふくよかになっていた。 顔立ちから幼さは消え、ワイルドさが引き立つ美少女に。 尾は長く、ふさふさとした毛並みが輝いている


 次にキキは角は一本のままだが、額に第三の目が開いた。 顔立ちもクールビューティーと言った印象になっている。 ただ胸は相変わらず平で、自分の胸を触りながらため息をついて明らかに落ち込んでいた


 最後にソウカ。 彼女は相変わらずのスタイルの良さで、髪も変わらない。 角は元の二本が長くのび、その角には紋様が刻まれた。 一番変わったのは翼で、二枚から四枚に増え、濃い青から輝くような青に変わっていた


「力のぉ、あがりぃ具合がぁ半端じゃぁないねぇ」


「ふむ、童子とはここまで大きな力を持つ者なのか。 もはや我らでは敵うまい」


「何を言っているのですか? 私達もさらに力を付けて龍神になればよいのです。 さすればアンミツ姫のおそばに常にいれるようになるではないですか」


「そうは言ってもよう、どうすりゃ龍神になんてなれんだ? 俺たちも相当努力したけど全然なれねぇじゃん」


「それは俺たちの修行がまだ足りないということだろう」


 口々に話す龍王たちにふと思ったことをアカネは言ってみた


「アンミツ姫に聞いたらどうっすか? その方が速いっすよ」


「な、何を言うか。 アンミツ姫様は我らが主。 そのようなことお聞きできるわけがなかろう」


「いやいやいや、そのくらい教えてくれるっすよ。 勇気出して聞いてみるっす。 いいっすか? あたしらの国に来た異世界人が言ってたっす。 “聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥”ってね」


「あ、アカネ、よくそんな難しい言葉覚えてたわね?」


「む、あたしだってそのくらい覚えてるっす!」


 ひとまず童子へと進化出来たアカネたちはその日の修行を終えた

 ただ、キキは未だに自分の胸の成長に不満があるようで、しきりに揉みしだいていた

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