白黒 童子姉妹の冒険4
全てがまるで止まって見える
どんな攻撃だろうといなし、受け流し、そこにカウンターを差し込んで相手に着実にダメージを与えていく
そしてその数分後に立っていたのは私達だけだった
「まさか、鬼人の進化とはここまでの力を与えるものなのかい? この僕達夫婦が全く何もできずに負けてしまうなんてね」
自分達でも驚きだった
ゴトラさんの動きもカルセさんの舞いも、その全ての動きが予測できた
そしてどんな攻撃でも私とお姉ちゃんを傷つけることすらできなかったみたい
「そっか、すでに体になじんでるんだね。 その力は」
言われた通り、魔力も妖力も仙力も方力も、体の中で練りあい混ざり合って更なる力を引き出してくれたように感じる
それを馴染んだって言うならそうなんだと思う
私達はとんでもなく強くなっていた
「これなら龍襲山に入っても全く問題はなさそうだね」
「ええ、心配すべきは七龍の方かしら。 あの子たちは好戦的ですから」
無事龍襲山に入る許可も出たことだし、今日は休んで明日の朝出発
それにしてもまさかゴトラさんたちを倒せるとは思っていなかった
竜人の中でも一二を争う強さだもん
でもやっぱり最強と言われるのは、全ての闘技大会を総なめにしたあの竜人のお兄さんなんだろうなぁ
鬼ヶ島で開かれてた闘技大会に現れて、鬼人や妖怪族、人間の猛者や前回チャンピオンだった竜人のビルカさんを倒して頂点に立った、世界最強の称号を持つガルデルトさん
優しくて強くて、その上カッコよかったんだよね
今どこにいるんだろう? また会えたら、手合わせしてもらいたいな
翌日、ゴトラさんに連れられて私達六人はそびえたつ山の前に立っていた
「ここが龍襲山だよ」
岩ばかりのごつごつした山で、その頂上にはうっすらと雪がかかっている
雪、私の力がさらに増す私に有利な環境
「それじゃぁ僕はここで、息子たちのこと、頼んだよ。 しっかりと鍛えてあげてね」
ゴトラさんは入山口で姿が見えなくなるまで見送ってくれた
ここからは龍たちがいつ襲って来るともわからない難所だから気を引き締めていかないとね
入山したとたんにたくさんの龍が私たちを襲いに来たけど、そこまで強くないみたい
デュレロ君とディレロ君があっさりと撃退してた
「強いね、デュレロ君」
「そりゃそうだよ。 君を守るためにずっと鍛えてきたんだからね」
「ぼ、僕も、クラハちゃんを守るために鍛えたんだ」
「ありがとうディレロ君」
お姉ちゃんのありがとうにまたほっぺが赤くなってる
でもこの二人、見ているだけでわかる
かなり強くなってる
昔は私にもお姉ちゃんにも、それどころかアカネたちにもボコボコにされてたのに、こんなに頼もしくなってるなんて
襲ってくる下位龍たち相手なら全く問題なく倒して進める
でもゴトラさんとカルセさんが言うには、これから先に出て来る七龍が危ないらしいのよね
人と見るやいやおうなしに襲ってくる上に強さはSランクと最高位
ただ、私達が山に向かう前、最後にこうも伝えていた
君たちなら、楽勝だと思うけどねって
「来たみたいよハクラ」
「うん分かってるよお姉ちゃん。 一気に来るとは思わなかったけど」
童子に進化してからはなんだか気配に関してよく分かる
森羅万象ありとあらゆるものに気配があって、その中にある敵意や好意といった気配まで読みきれるようになっていた
あ、でもでもデュレロ君とディレロ君の好意は気配なんて探らなくても分かるのよね
私そこまで鈍くないもん。 鈍くないもん
さて、迫って来た七龍たちは一体どう接してくるのでしょう
「おめぇら、俺たちの島で何してんだごらぁ」
はい、案の定絡まれました。 どうしよう、私とお姉ちゃんの纏う覇気のせいなのかな?
すごまれても怖くないんです
「聞いてんのかお嬢ちゃんたち、これ以上上に行くってんなら覚悟はできでひゅっ!」
あ、今一番前に立ってたとげとげの生えてる龍がアカネの拳で飛んでいった
「ハクラ様、こいつら滅茶苦茶弱いっす」
それはねアカネ、貴方が強くなってるの
「げっ、ロブの野郎あっさりやられてんじゃねぇか、だせぇな!」
倒れて気絶しているロブ君という龍を見て他の七龍も笑ってる
「でもまぁ、油断してたとはいえ、あいつは相当な実力を持ってるんだ。 それを簡単にぶっ飛ばす手腕、おめぇらなかなかやるみてぇだな。 だがよ、俺らが本気出せぶぅあああああ!!」
今度は岩のような竜が顎に拳を入れられて飛んでいった
やったのはキキ
「あれ? そんなに力を入れてないのですが…」
キキの力もかなり上がってるみたい
この子、頭脳で戦うタイプだったはずなのに…。 八仙たちの修行、どこまで力をつけてるんだろう
あとはもう一方的な蹂躙
襲ってくる残りの七龍は、私たちの攻撃になすすべもなくボコボコに…。 なんだか、ごめんなさい
ボロボロになった七龍はなぜか私たちの舎弟になると言い出し、その姿を人間形態へと変えた
あらあらあら、人間形態だと、なかなかのイケメンぞろいではないですか!
そのまま 七龍を連れて、五王龍の元を目指した
絶桜鬼さんはその五王龍とも修行をしたらしいし、私達もその軌跡を辿らなきゃ!
七龍の名前は後々出します




