表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/464

7 妖怪族の国17

 ぬいぐるみを置きにいったん戻ったウツロちゃんを待っていると、綺麗な全体的にピンクがかった白い女性が声をかけてきた


「お久しぶりです! リディエラ様!」


 誰だろう? 見たことない人だ

 脳みそをフルに動かして(精霊に内臓の類はない)思い出したけど、やっぱり記憶にない

 精霊なら全員覚えてるんだけどなぁ


「私です! ミスティですよ!」


「え!?」


 驚いた。 ミスティさんは僕が旅に出たばかりのころに出会った霞龍の女性だ

 それにしてもなぜ人型なんだろう? 僕が出会った時は龍の姿だったはずだ

 あ、龍といっても以前精霊の国に攻めてきた龍たちとは無関係だよ


「その姿、もしかして人型に成れるの?」


「はい! 今はあのカルン大瀑布も娘に任せて気ままな老後の一人旅をしております」


 老後、とてもそんなに年老いて見えない。 どう見ても20代前半だよ


「今この国には観光に来ているんです。 自然は豊かですし、温泉もありますし、いいところですね」


 うんうん、同意の極みだよ


「では私は妖狐族の里へ行きます。 またお会いできる日を楽しみにしています。 それと、眷属達も召喚されたいと言っておりますので、是非呼んでやってくださいね」


 う、そういえば忘れてたけど、彼女に眷属召喚用の鱗をもらってた

 でも僕達もそれなりに強いから、あえて危険な時に呼ぶ必要がないというか

 言い訳になっちゃうかもだけど、こんなに素敵な龍が傷つくところ何て見たくないな

 そうだ、霞龍はたしか幻惑を解除する能力も持ってたっけ? それなら幻術のかかったところで呼んで手伝ってもらおう

 実は幻術が得意な精霊が僕のパーティにいないって言うのもある

 一応クノエちゃんは幻術の解除もできるけど、この子は一応お姫様だからずっと一緒にいられないしね


 ミスティさんに手を振ってお別れ

 またきっと会える


 そうこうしているとウツロちゃんが戻って来た


「ぬいぐるみ、ありがとう、大切する」


 恥ずかしそうにお礼をするウツロちゃんが可愛すぎてもうね


「次、案内する。 遥かなる竹林。 悠久の時をとどめる不思議な竹林。 100年前から竹の花が咲いてる。 竹の花は普通、百年に一回咲いて、後は一気に枯れる。 最初で最後の花が竹の花。 でもここの竹の花はずっと咲いてる。 不思議」


 なるほど、百年に一回、枯れる間際にしか咲かない竹の花がずっと咲いてるってことか

 これは是非とも見るべし! だね


 ウツロちゃんに着いて竹林へ

 竹のいい香りがしてくる

 入口にはたくさんの観光客がいて、竹の花を楽しんでいた

 

「見て、竹の花、普通は小さな白い花しか咲かない。 でもここの花、大きくて鮮やかな桃色。 こんな竹は今までなかった。 あの桃源郷にも、ない、らしい」


 確かに見事な花。 まるで生命力を爆発的に弾けさせているかのような美しさだ

 

「これは、この土地にある龍脈が関係しているようですね。 龍脈のエネルギーによって竹が突然変異してここまでの生命力を得たのです」


 アスラムが地面に手を当てて読み解いた


「なるほど、龍脈、考えもしなかった。 さすが精霊様」


 ウツロちゃんがアスラムをキラキラとした目で見てる

 そうだ、ウツロちゃんもまだまだ修行中の身らしいから、アスラムにいろいろと稽古をつけてもらえばいいかも!

 思い立ってすぐにウツロちゃんに提案すると、さらに目を輝かせて喜んでる

 アスラムも教えがいのある生徒ができて嬉しそうで何より


「じゃあ、中入ろう。 奥にある広場、一番すごい」


 竹林を進んで数分。 開けた場所には観光客が集まっていた

 竹の花から香る甘くてさわやかな香りに包まれて、その景色をしっかりと目に焼き付けた

 来た方向とは反対方向へ進むと出口が見えてきた

 その出口では竹で出来たコップに竹の葉茶が注がれていた

 これもまた竹の香りが素晴らしい。 一口飲むと、ハーブティーのような爽やかさがあった

 うん、爽快!


「どう? これこそ鵺の里の名産。 おいしい?」


「うん、すごく!」


 どや顔のウツロちゃんは満足そうにうんうんと首を縦に振っている

 お持ち帰っていいかな? 族長娘ーズと一緒にもっふわ天国を築きたい

 おっと、馬鹿なこと考えてたら今度は竹を横に割って作った茶碗が渡された

 そこに乗ってたのは真珠タケノコを使った炊き込みご飯だった

 そう、ここの竹林に生える竹の子こそ真珠タケノコだったのだ!


「ハムッ、もぐむぐ」


 口に含んだ瞬間に竹の香りが鼻を突き抜けた

 そしてこのタケノコの食感! コリコリシャクシャクで程よい甘みとみずみずしさ

 うま味が凝縮されたようなその味に大満足でした


「おいしい。 私、ここのタケノコ、好き」


「確かにここのタケノコ、よく貰うけど全然飽きないのよね。 母様も大好きって言ってたわ」


 クノエちゃんもタマモさんもこのタケノコが好きなのね。 うんうん、わかる、わかるよ

 

「また送る。 楽しみにしてて」


 ウツロちゃんも竹の子を褒められて嬉しそう。 というより鼻高々と言った様子

 ホント可愛いなこの子は

タケノコ好きだけど、食べ過ぎるとブツブツができるからあまり食べれない…

同じ理由でキノコ、チョコとかもね…


ちなみに竹の花が百年に一度枯れる時にしか咲かないのは本当の話です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ