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2 獣人の国13

 フクちゃんに豆を与えながら道を歩く

 豆類なら何でも食べるらしいので、公園で買っておいたのだ

 おいしそうにくちばしをカチカチ鳴らす姿は非常に愛らしい

 

 しばらく歩くとようやくホーエンが見えてきた

 色々あったのでずいぶん離れていた気がするけどまだ二日しか経っていなかった

 相変わらず活気に満ち溢れているこの街は観光目的で様々な種族が歩いている

 僕らもそれに交じって街を歩いた

 一番観光客でにぎわっている商業地区に行くとさっそく公園以外の観光地がないかを聞いて回った

 すると出る出る、かなりの数の観光名所の名前が挙がった

 例えばキラリアの花畑、ここは本当にたくさんの花が年中咲き乱れていて、季節ごとに違った花を楽しめるらしい

 他にはガリレア鍾乳洞、面白い形をした鍾乳石があり、少し肌寒いけど自然のアートを見れると人気のスポットだという

 それに、海の方へ行けば船が出ており、ブレイドルサンゴ礁というダイビングスポットがあるようだ

 このダイビングスポットはどうやら僕と同じ世界から来た人が観光事業にかかわっているらしく、今までダイビングという楽しみ方がなかったこの世界に新しい遊びを提供したんだそうだ

 今でもまだここで働いているらしいので是非行って会ってみたいと思う

 

 この他にもいろいろあったけど、あまりの多さに目が回りそうだったので、ピックアップしたこの三つに行くことにした

 まず初めにキラリアの花畑、次にガリレア鍾乳洞、そして最後にブレイドルサンゴ礁に行った後、隣国の鬼人が住む島国、鬼ヶ島へと行こうと思う


 この島は名前の通り鬼人が住み、独自の文化を築いている

 聞いてみた印象的には昔の日本みたいなものだろう

 この島国は二人の姉妹姫が治めているらしく、どちらも希少種の黒鬼と白鬼で、絶世の美少女らしい

 姫二人は気さくなので一般人とも結構会ってくれるそうだ。 是非とも会っておこうと思う


「ではリディエラ様、行きましょうか」


 準備を終えてテュネに促されながらキラリアの花畑へと向かった

 目指すはホーエンから南に向かい、丘を越えた先、歩いて約半日ほどの距離だ

 僕は花が好きだ

 眼だけでなく香りで楽しませてくれる。 前世ではよく香りを楽しんだ

 今回行く花畑、今行くのは時期的に非常にいい時期だったらしい

 なんでも、季節ごとに違う花が咲く花畑が、数年に一度のこの時期だけに一斉に咲き乱れるのだ

 フクちゃんが早速福を運んでくれたのかもしれない

 

 僕らは意気揚々と花畑までの道のりを進んでいく

 四大精霊たちもやっぱり女の子なのだ。 花はみんな好きらしく、まるで夢見る乙女のように楽しそうでなによりである

 特にアスラムは土の精霊だけあってその思いもひとしおなのだろう、笑みがこぼれ落ちていた

 

 それから約半日、日が暮れる少し前に花畑についた

 あたりは暗くなってきたので見物は明日にして近くにある宿町にて今日の宿を取ることにした

 色々ある中、花びらを使った料理を出す店をみつけたのでそこをチョイス

 一泊泊まることを告げてついでに夕食を注文した

 オススメと書かれているメニューがあるのでそれを頼むと、しばらくして料理が運ばれてきた

 花びら料理、非常にきれいで繊細だ

 チューリップに似た花や百合のような花にドレッシングがかかったサラダ、一枚の花弁が非常に長く、その花びらを肉に蒔いてこんがりと焼いたステーキ(花弁は焼いても色合いが失われていないのが不思議だ)

 球根で出汁を取り、花びらを散らしたスープ、花を練り込んだパン、デザートはバラのゼリーだ

 サラダはほのかな苦みと甘みが絶妙にマッチしており、そこにドレッシングがいいアクセントとなっている

 ステーキの方は花びらがお肉の美味しさを引き出していて、肉汁を受け止め、脂分をいい具合に吸い取ってくれている

 口に含めばジュワッと口の中に肉汁が広がり、主張しすぎない花の香りが体を吹き抜けた

 スープは甘みと塩味が調和し、パンによく合う

 デザートのゼリーはバラの香りがふわりと口に広がり、甘さは控えめで最後の締めとして口の中をさっぱりとさせてくれた

 

 大満足で料理を食べ終えて、宿にある露天風呂に入った

 旅の汗を流し(精霊なので汗はかかないけど雰囲気だ)疲れを癒す

 そして、就寝した

 ふかふかのベッドにはバラの香水が振りかけられているらしく、優しい香りが包み込んでくれ、アロマ効果によって気持ちよく眠りにつけた


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