白黒 鬼姉妹の冒険22
今度の八仙はチョウカおじいちゃん
白くて長いひげが特徴的で、温和な人
白いロバによく乗ってて、そのロバを紙のように折りたたんだり、その折りたたんだロバを水をかけて戻したりと、独特な仙術を使う
さらに、死んでも死んでも生き返るという謎の多い仙人でもあるらしく一番長く生きてる仙人ともいわれている
「さて、わしの授業は方術じゃ。 仙術と似ておるが…。 そうじゃのう、魔法のようなものじゃと思えばええ」
方術って何だろう? 聞いたことないや
「さて、わしがロバを自在に出し入れしておるのは見たことがあるじゃろ? あれも方術の一種じゃて」
あれ、仙術じゃなかったのね
それにしても方術? 仙術とも魔法とも違う術
習うのが楽しみかも
「こっちへ来なさい。 なるべく広い場所がいいからの」
生徒たちがいつも修行している広場、今は生徒はいないね
チョウカさんはそこにある闘技場の前まで歩くと、ふっと息を吹きかけた
すると闘技場はくるくると折りたたまれていき、手のひらサイズになってチョウカさんが取り出した箱にしまわれた
「これでよしっと。 さて、まずは方術というものがどのようなものなのかその目で見てもらおうかの」
指をくるくるとまわしながら地面に向ける
「少し離れていなさい」
指を向けていた地面が盛り上がると、一気に膨れ上がって人型になった
「ほれ、歩け歩け」
土人形を歩かせる
まるで人のようにちゃんと歩いてる。 すごい。 それに、ジャンプや格闘術までこなせている
「それじゃぁこの土人形を使ってこれから方術の悪い例を見せるぞ」
悪い例? 良い例を見せるんじゃなくて?
「方術はな。 力の使い方を誤れば人を傷つける。 まぁそれはどのような力も一緒じゃがの。 まぁみておきなさい」
人形に近づくと、手をそっと添えた
瞬間、中の土がはじけるように飛び出し、爆散…。 恐ろしさに声を失う私達
「たったこれだけじゃ。 これだけで人を殺してしまう。 じゃからわしは本当に信頼できる者にしか方術を教えんのじゃよ。 お前たちはここまでわしらの修行をちゃんとこなせておる。 悪しき心を持つ者に仙術は扱えぬ。 空も飛べたお前たちならば安心して方術を教えれるというものよ」
そっか、今までの修行は私たちを試してもいたんだ
チョウカさんは今悲しそうな顔をしていた
多分、昔方術で何かあったんだ。 真相は分からないけど、あの顔にはそんな過去が見えた気がする
「さて、まず教えるのは方術の力の流れについてじゃ。 仙術とは違って体に流すのではなく、直接対象に流し込むイメージをしてみなさい」
チョウカさんは石を拾ってきた
「これに流しこむイメージじゃな。 それと、力は内側からではなく周りにある自然エネルギーを使うのじゃ。 自然と一体になり、そこから力を分けてもらう」
目を閉じて自然を体全体で感じる
目を閉じているのに光の筋が視えた。 それをこちらに手繰り寄せるように引っぱる
すると体に何か温かいものが絡みついてくるのが分かった
「えいっ」
指を石に向けると石が浮いた
「で、出来ました!」
思わず声をあげると、チョウカさんは満足そうに微笑んでうなずいた
「ふむ、白い子が一番じゃの。 赤い子と黒い子はもう少しか、む、青い子はいつの間にかできておったの。 黄色い子、もう少し体の力を抜くといいぞ」
ソウカ、私よりうまくできてる。 石を自在に操ってて楽しそう
うん、みんな出来たみたい
「筋がいいとは思っとったが、まさかこれほどとはな。 酒が飲めんくらい何ということはない。 お前さんらは天性の才に恵まれておる」
嬉しかった。 よし、頑張って強くなって、鬼ヶ島のみんなを守れるくらい強くなろう!
それからも方術を練習して、私たちは小ぶりだけど土人形を作れるくらいに上達した
そして、いよいよ最後の授業、ソウコッキュウさんの授業に挑むことになった
挑むと言ったのは、その通り、私達はここに来て最大の試練を迎えるからなのです




