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6 黒の国26

 塔を制覇して外に出ると、冒険者や観光客に囲まれた

 どうやら95階層からの様子が中継されていたらしい。 そんなこと聞くと一気に恥ずかしくなるよ

 

「すごいな君たち! まさか踏破者がこんな美人ぞろいとは思わなかったよ」


 僕らを取り囲む人たちは口々に賞賛の声を浴びせた

 

 さて、この塔のクリア商品を紹介しようと思うんだ


 まずは遊園地1年間フリーパス

 黒族の国にある遊園地が遊び放題のチケット6人分だ


 次に1年間食事処半額券

 その名の通り1年間すべての店での食事が半額に!

 なんて嬉しい商品なのでしょうか


 そして最後に、塔内で得たアイテムの私物化

 塔内で手に入れたアイテムを二つまでなら実際にもらえるとのこと

 そこで選んだのが、詩季さんにもらった銃と、ポチちゃん召喚用のオーブ

 ポチちゃんとはいつでも会えるようになるわけなんだけど、戦いに来てもらうんじゃなくて、たまに遊んだりご飯食べたりしたいんだ


 僕らは一躍時の人、恥ずかしいからベリウスさんの家に匿ってもらった

 

「レベルを下げていたとはいえ、この世界の方ではなかなかに踏破できないと思っていたのですが、やはりあなた方は一味違うようですね」


 ベリウスさんの話だと、このあと塔は大改装するらしい

 といっても、スイッチ一つで自動的に改装されるみたいなんだけどね

 中にいるガーディアンの人達は、入れ替わりで別のガーディアンの人達と変わるからまた挑戦してみてもいいかも

 

「そろそろ外も落ち着いたようですね。 行きましょうかリディエラ様」


「うん、そうだね!」


 次はここから近い妖怪族の国を観光しようと思う。 でもその前に母さんから連絡があったから一旦帰らなくちゃ

 ここにはいつでも来れる

 黒族の人達のおかげでワープポータルが設置されたからね

 まだここと精霊族の国、妖精族の国しか繋いでいないけど、いずれは世界中をこれで繋ぐみたい

 そうすれば移動が速くなるもんね

 荷物の輸送なんかもできる大型の物も考えられてるらしいから、どんどん発展していきそうだね


「じゃぁ僕たちはいったん戻るね。 またすぐに来るから、その時は案内よろしくね、クノエちゃん」


「えぇ! 任せて!」


 クノエちゃんはこの後国に帰ってからカンナさんに般若の形相で怒られなければならない

 あの状態のカンナさん、怖いんだよね…。

 あ、カンナさんが迎えに来てる。 顔は…。 笑ってるけど目が笑ってない


「クノエ様、帰りましょう」


「か、カンナ…。 ごめんなさい」


「話は屋敷でじっくり聞きますので、ひとまず公務に戻っていただきますよ。 それと、天狗族の長、マスオミ様から伝言がございます」


 天狗族と言えば、鼻の長い種族だと思われるかもしれないけど、実を言うとそうじゃない

 羽の生えた人や、獣人のような人もいる。 天狗族も妖狐族のように細分化されてるみたい

 有名どころで言うと、カラス天狗族、大天狗族、鞍馬天狗族などだ

 

 伝言と言ってカンナさんが取り出したのは、声を録音できるマジックアイテム

 魔力を込めると音声が流れ始めた


「こりゃクノエ! 会議をすっぽかすとは何事じゃ! 帰ったら叱ってやるから覚悟せいよ!」


 うわ、大迫力の声。 どうやらマスオミさんはおじいちゃんっぽい

 

「マスオミ様、会議にクノエ様がいらっしゃらなかったのでがっかりしていましたよ。 ちゃんと安心させてあげてください」


「う、うん、ごめん」


 ふむふむ、マスオミさんはどうやらクノエちゃんを孫娘のように思ってるみたいだね

 ほほえましいじゃないか


「じゃぁね、リディちゃん。 しばらく私は動けそうにないから、リディちゃんも精霊女王様にしっかり甘えなさいよ」


「うんそうさせてもらうよ」


 母さんに早く会いたい。 それにしても、何の用事なんだろう?

 僕は黒族の人達に別れを言ってポータルへと飛び込んだ


 飛び込んだ先は母さんの住む城の前だった

 一気に精霊や妖精に囲まれてもみくちゃにされた

 そこにガンちゃんがやってきて、まだ離れようとしない妖精達をはがしてくれた

 それにしてもガンちゃん、凄くきれいになったね。 白銀のうろこが輝いてるよ


 母さんのいる女王の間に入ると、母さんが走ってきて僕を抱きしめた


「リディちゃん、お帰りなさい。 話は聞いていましたが、心配していたのですよ?」


「く、苦しいよ母さん」


 花の香りに包まれ、温かい腕に抱きしめられて心がほっこりする

 こうして母さんに抱きしめられていると、返って来たって気がするな


「さて、リディちゃんを呼んだのは他でもありません。 あの時の妖精たちが今日、生まれてくるのですよ」


 そう、闇人に無残にも殺されてしまった妖精たちが、神様の計らいでまたこの世界に生まれなおしてくるのだ

 これにはガンちゃんも大喜びしてた。 一番仲が良かったもんね

 ちゃんと記憶も元のままだ。 少しの間小さい体だけど、数ヵ月もすれば成体になる

 またガンちゃんの周りをたくさんの妖精が舞うんだろうなぁ


 そして数時間後、妖精の卵、花のつぼみが開花した

 中からは小さな小さな妖精たちが、今起きたかのようにあくびをしながら出てきた

 神秘的で、それにすごく可愛い!


「うおおおおおお! お前ら!! お帰り!!」


 ガンちゃんが泣きながら小さな妖精たち一人一人に挨拶している

 妖精たちも嬉しそうにガンちゃんに抱き着いていた

 うんうん、やっぱり平和が一番


 闇人については黒族の人達が引き続き調査をしてくれているけど、どこに消えたのか、この世界のどこにも気配を感じないらしい

 でもまだ油断はならないから、警戒だけはしてくれるみたい

 

 数週間実家に滞在し、そのあと人間族の国にある僕らの屋敷でカスミたちとスキンシップ

 さらに数週間滞在してから黒族の国へと再びワープした

 さぁ、次は妖怪族の国観光だ

次回からいっぱい妖怪族出します

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