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6 黒の国25-7

 98階層

 何もない? ただただ長い廊下が続いてるだけで先が見えない

 かれこれ1時間くらいは歩いてる気がする

 特に景色が変わる様子もなく、歩き通しでクノエちゃんは疲れてきているみたい

 

「う~ん、どこまで続くんだろうこの道」


「気配を探知していますが何の気配もありませんね」


 僕はふと気になって道の床に印をつけてみた

 それからしばらく歩くと、思った通り、印を書いた床へと行きついた


「やっぱり、ここ、ループしてるんだ」


 印をつけた床を見て確信できたけど、これどうやって先に進めばいいんだろう?

 ひとまずゴーレムを召喚して走らせてみた。

 数分後、後ろからゴーレムが走って戻って来た


「う~ん、いったん戻ってみる?」


 仕方がないので来た道を戻ってみると、あっさりと先ほど昇って来た階段のところまで戻れた


「戻ることはできるみたいだね。 何かなぞを解かないと先に進めないのかも」


 また廊下に入り、何かないかくまなく探しながら歩いた

 すると天井にスイッチがあるのが見つかった


「これ、押せばいいのかな?」


 テュネに肩車をしてもらって押してみると、ブザーが鳴った

 

「はい、何か御用でしょうか?」


 どこからともなく女の子の声が聞こえてきた


「あ、え? ん? どういうこと?」


「御用がないなら切りますねー」


「ちょ、ちょっと待って! 先に進みたいんだけど」


 危うく切られそうになるのを必死で止めた


「なるほど、私と戦いたいってことですね?」


「そ、そうです」


 何このやり取り…。


「じゃぁそのまま進んでください」


 言われるがままに先に進むと、洞窟の広場のような場所に出た


「こんにちは!」


 元気そうな少女の声


「驚きました? ここは私とお姉ちゃんが出会った場所を再現してもらってるの」


 この広場のことを言ってるのかな?

 ほの暗い洞窟で、奥にはいくつかお墓のようなものが見える


「このフロアの先にはお姉ちゃんが待っています。 でも、そこまで行かせるつもりはありませんからね」


 少女の恰好はこの世界にもいる一般的な冒険者のようで、皮の鎧にショートソード

 とてもじゃないけど強そうには見えない本当に普通の少女だった

 ただ、なにか得体のしれない力をその子からは感じた


「あ、私はアルマ。 別世界の勇者だよ!」


 なるほど、この力の流れは勇者の力…。 この世界の勇者アイシスさんと同等かそれ以上?


「さぁ、一斉にどうぞ! すぐに倒してあげる!」


 アルマちゃんはショートソードを抜いた


「神剣、クレセレビラ」


 ただのショートソードだと思っていた剣が青く光る。 まるで夜に輝く月みたいだ

 アルマちゃんの一振り、たった一振りでその場に大量の斬撃が舞った

 三日月のような斬撃は一度防いだだけじゃ消えず、その後も僕らを襲い続けた

 いくら叩き落そうが、結界で防ごうが、魔法で撃ち返そうが消えない

 斬撃を何度か攻撃することでようやく消えるみたいだ


 今の一振りだけですでに僕らはボロボロ、テュネとエンシュは赤くなっていた

 次の斬撃が来ないうちに回復して体制を立て直す


「むむ、防ぎきるとは思いませんでした。 でも、次の攻撃は防げないでしょう!」


 アルマちゃんがまた構えた。 今度はさっきとは違う構えみたいだ


「さっきのはただの斬撃、剣術や技ではないですからね。 次からが私の本当の力ってことですよ」


 あれでまだ力を出してなかったってこと?


「クレッセントタスク」


 三日月のような斬撃が今度は爪のように襲い掛かる

 これは全く防ぐことができなかった。 重い上に速いし、まるで生きているように動き回る


「う、止まらない…。 どうすれば」


 いまだ動き続ける三日月型の斬撃は再びこちらに向かってきた


「さっきも攻撃を加えれば消えてたよね? 一斉にあれに攻撃してみよう」


 今度は防御ではなく斬撃を攻撃することに集中した。 すると段々と斬撃が小さくなり、消えた


「うー、やっぱり一筋縄じゃ行かないね。 でも、まだまだ本気じゃないもん!」


 今度はこちらに走って来た。 どうやら剣の力じゃなく、自分の力を振るうみたいだ


「フレアブロー」


 今度は剣が燃え上がり、やがてそれは灼熱となって僕らに降り注いだ

 

「ウォーターウォール!」


 フーレンの魔法でその炎を防いだけど、水がどんどん蒸発して熱い蒸気が立ち込める

 その蒸気によって姿が見えなくなった


「クレッセントターン」


 素早い回転によって蒸気が切り裂かれ、アルマちゃんの剣術がテュネを襲った

 それをハープの剣で受け止め、はじき返すテュネ


「激奏、魔のアンダンテ」


 今度はテュネの反撃。 弾かれたアルマちゃんの胴へと吸い込まれるように入り込んだ

 でもそのアルマちゃんの姿が揺らいで消えた


「え?」


「あなたの負けです!」


 突然アルマちゃんがテュネの目の前に現れて、まともに斬撃が入ってしまった

 当然、テュネは戦闘不能になる


「不覚、でした」


 テュネを倒したばかりで油断しているアルマちゃんの背後からフーレンが魔法を撃つ


「マッドボム!」


 粘着質な泥を弾けさせる魔法だ。 相手の足止めに有効なんだけど、アルマちゃんの姿はすでにそこになかった


「クレセルアクセル!」


 つかみどころのない動き、そこにいるはずなのに気配がなくて、直ぐ近くで気配がすると思って振り返るといない

 まるで幻と戦ってるみたいだ


 魔法を連弾していたフーレンもあっという間に切り伏せられて戦闘不能になった


「九尾式体術奥義、神獣化!」


 クノエちゃんが四足歩行になり、臭いをかぎ始める。 どうやら惑わされないように臭いだけで相手を判別しようとしているみたい


「そこ!」


 クノエちゃんが刀を振ると、カキンという金属音。 何もいなかったはずの場所からアルマちゃんが現れ、今見えていたアルマちゃんの姿が揺らいで消えた


「う、見破られてる」


「九尾式神獣術、八痕一つ目!」


 クノエちゃんの動きが今まで見たこともない動きになった

 まるで居合抜きのように相手を待っている。 そこにアルマちゃんの剣が迫るんだけど、動かない。

 剣は通り抜けて消えた。 どうやら幻だったみたいだ


「てりゃぁ!」


 また何もないところを斬るクノエちゃん。 そこにアルマちゃんが姿を現した


「また!?」


「二つ目!」


 アルマちゃんを逃さないよう続けて攻撃。 今度は片手で刀を振るう。 その速さは正に神速だ


「ひぅ、ちょ、ちょっと待って」


「待たない! 三つ目!」


 両手に持ち直すと、からたち割に一刀両断


「あわわわ、待って、待ってってば!」


「四つ目!」


 アルマちゃんに背を向け、そこから回転して切りつける。 何とか防いでいるみたいだけど、クノエちゃんの怒涛の攻撃にたじたじだ


「五つ目!」


 低く沈み、低姿勢から足を薙ぐ。 間一髪で飛んで避けるアルマちゃん


「六つ目!」


 そのとんだところへクノエちゃんが迫り、上空から地面へ叩きつけるように斬り降ろした


「七つ目!」


 地面に打ち付けられたアルマちゃんを串刺すように刀を突き入れる

 アルマちゃんはうまく逸らして避けたみたい


「八つ目! これで終わりよ!」


 逸らされた刀は急激に軌道を変えてアルマちゃんの首へと滑り込んだ


「ひっ!」


 防御が間に合わず、アルマちゃんは回転しながら洞窟の壁に打ち付けられた


「う、くぅ…。 お姉ちゃん、ごめん、止められなかった」


 クノエちゃん、すごい。 一人でアルマちゃんを倒しちゃったよ

 でもやっぱり体に相当な負荷がかかるみたいだ


「あーあ、負けちゃった。 次の階層は特殊な武器が手に入るはずよ。 これを持って行って」


 渡してくれたのは地図

 もう一枚の地図と合わせると隠された協力な武器の場所が分かるようになってるみたいだ


「お姉ちゃんはもっともっと強いわよ。 がんばってね!」


 どうやらアルマちゃんの言うお姉ちゃんは八魔人が言ってたリーダーみたいだ

 次のフロアで手に入る武器で果たしてそのラスボスたる人を倒すことはできるのかな?

前にいた女神や双子の神は一度死んで蘇った存在なので本来の力を出せません


だからアルマより弱いんです

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