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6 黒の国25-6

 97階層

 先の戦いでボロボロになったクノエちゃんとテュネを復活させ、道を歩いた

 魔力を一気に使ったけど、少しずつ回復はしていくから多分大丈夫だと思う

 いざとなれば回復アイテムもある。 このアイテムはなるべく使いたくないんだよね。 最後の戦いは何が起こるか分からないし、大量の魔力消費を覚悟しておかないといけないもんね


 ここはまるで上も下もないかのような真っ白い空間

 そこに笑い声が響いてくる。 女性の声だ


「ようこそ、女神の間へ」


「こんなとこまでたどり着くとかやるじゃねぇか」


「うんうん、すごいね!」


「まぁここで終わりにする」


「我ら、強い、倒せる」


 口々にこちらへと言葉を飛ばす女性たち。 道から開けた場所へと抜け出るとようやく女性たちの姿が見えた

 そこには鏡の欠片が浮かんでおり、様々な世界が映し出されていた

 宙に浮かぶのは8人の女性


「私たちは下位女神。 八姉妹の女神です」


「私は長女、0番目のノル」


 ノルと言う女神さまは褐色の肌を持ち、金と銀のグラデーションの少しカールのかかった長い髪、マントと鎧を着こんだ騎士風の女性だ


「わたくしは1番目のアンリです」


 ノルさんによく似てるけど、こっちは白い肌で、白髪のミディアムストレート、同じく鎧とマントを着こんでいる


「2番目、デュオリム」


 無口なデュオリムさんは水色に目の隠れるショートカットの髪、まるでくノ一みたいな恰好をしている


「三番目のー、トレーシャですよー」


 ニコニコとふんわりした印象のトレーシャさんはオレンジ色の縦ロール、西洋の姫様みたいな髪型で、ドレスを着てるからもうお姫様にしか見えない


「吾輩は4番目のフィーアである!」


 何か怒らせるようなことしたかな?ってくらい険しい顔立ちのフィーアさん、軍服を着てて、ダークブルーでポニーテールの髪型


「俺は5番目のファイだ! よろしくな!」


 ファイさんは活発そうな印象、燃えるような赤髪でウルフカット、格闘家のような服を着てる


「わらわは六番目、ロクシアでございます」


 おしとやかそうなロクシアさん、深い黒髪に和風なお姫様みたい。 着ているものも着物だ


「そして最後! あたしは七番目のシエティよ!」


 最後に自己紹介したのはぱっちり目が可愛い少女、僕と同じくらいの見た目かな? 金色のツインテールに魔法少女のような服を着ている


「さぁ、我ら女神の力、乗り越えてごらんなさい!」


 全員が一斉にそれぞれの神具と思われる武器を手にした。 その神具はハクラちゃんやクロハさん、姉妹童子が持っていたモノとは比べ物にならないほどの力を感じる

 ノルさんとアンリさんは金と銀に彩られた輝くロングソード

 デュオリムさんは忍者刀、トレーシャさんは大きなハンマー、フィーアさんはレイピア、ファイさんはナックル、ロクシアさんは太刀、シエティちゃんは大杖だ


「行きます。 アンリ」


「はい、姉様!」


 二人の息はまるで機械のようにピタリと噛みあい、僕らを襲う

 結界で受けるけど重たすぎる。 すぐに打ち破られた

 間一髪で剣の軌道をクノエちゃんとエンシュがずらしてくれたことでダメージは免れたけど、今の威力を見るに、一撃一撃が致命傷になるかも


「ここは、ポチちゃんにも手伝ってもらおう」


 僕はポチちゃんを召喚しようとするけど、どういうわけかできない


「させないわよ。 あなたたちのアイテム、すべて使用禁止にさせてもらったから」


 シエティちゃんがいつの間にか大杖を振るっていた。 これじゃぁポチちゃんどころか回復アイテムもゴーレム召喚もできない

 ぐぬぬ、まずい


「ほらほら、気を取られすぎだっての!」


 今度はファイさんによる鉄拳。 直線的だったから避けれたけど地面が大きくえぐれている

 こちらも一撃で致命傷になりそう

 などと思っている暇もなくトレーシャさんのハンマーが上から打ち据えられた

 アスラムが超硬質化した土壁で防いでくれたけど、数秒で砕け散ってしまったからこちらの防御の手立てとしては不十分みたい


「あららー、外れてしまいましたねー」


 その笑顔、怖すぎます


「ゴッドノウズ!」


 げっ! シエティちゃんの魔法が僕に!

 巨大な光球、こんなの当たったらひとたまりもない

 光の弾はまっすぐ僕の元へと飛び、砕け散った

 どうやらテュネが奏でた聖盾のペザンテによって防ぐことができた。 重厚な盾だ


「うそ、防いじゃった!」


「甘いぞシエティ、やる時は、全力でだ!」


 こんどはフィーアさん。 音速をはるかに超えるレイピアの付き。 神獣化したクノエちゃんがギリギリで防いでくれるけど、どんどん突きのスピードが速くなり、ダメージを受け始めてあっという間に赤色の危険ラインになった

 すぐに回復魔法をかけて後ろに下がらせる。 その際にフーレンが魔法をいいタイミングで放ってくれたおかげでクノエちゃんは危なげなく下がることができた


「ハァアアアア!!」


 いつの間にエンシュの目の前にいたのか、ロクシアさんの必殺の居合がエンシュを薙ぐ

 それを足裏を合わせて受け止めたエンシュはさすがだと思う

 

「やりますね…。」


 防がれたのが悔しかったのか、ロクシアさんはもう一度踏み込んで居合抜き

 それも足で受け止めた


「まさか、わらわの居合を…。 みえているのですか?」


「ロクシア! 本気で行けと言っているだろう!」


 すごい声、フィーアさんに怒られてロクシアさんの目つきが変わった

 動きが洗練され、蹴り上げようと近づくエンシュを居合で振りぬいた


「な! 動きが、変わっ」


 エンシュは飛ばされてフーレンと共に壁に打ち付けられた

 

「う~、エンシュさん、重いです~」


 よかった、戦闘不能にはなってないみたい。 すぐに回復させて二人を立ち上がらせた


「申し訳ありませんリディエラ様、不覚を取りました」


「大丈夫、それにしてもさすが女神様、一筋縄どころか倒せるイメージが浮かばないよ」


 それでもここまで来た。 ここまで来たからには、勝たなきゃね!


 みんな僕の意思を読み取ってくれたのか、再び立ち向かう


「神速光玉脚!」


 エンシュの脚撃、それは迫っていたトレーシャさんのハンマーを打ち砕いた

 

「あらー、ハンマーがー」


 そのまま蹴りをトレーシャさんの胸元に抉りこむ。 ゴシャッていうえぐい音がしたけど大丈夫かな?


「戦闘不能ですー。 すいませんお姉さまー」


 そっか、ここではリアルなダメージは受けないんだった

 でもこれで1人、あと7人だ


「トレーシャ姉様、また油断を…。 いつも言ってるでしょう! 油断ばかりするからそうなるのです!」


 フィーアさんがすごい剣幕でトレーシャさんを叱ってる。 可哀そうに、トレーシャさん落ち込んでるよ

 でもここがチャンス!


「リリススレイブ~!」


 うわ、フーレンの見たことのない魔法。 それがフィーアさんを直撃した


「う、そん、な…。 吾輩、油断、うぅううう」


 あれ? あの怖そうなフィーアさんが泣き始めた


「よしよし、ほら、泣かないのフィーア」


 ノルさんが慰めるとすぐに泣き止んだ


「さぁほら、そっちで休んでなさい」


「はい、申し訳ありません、姉上」


 さてはフィーアさん、本来の性格は甘えん坊だな


「いきなり二人も倒されるとは思わなかったけど、まだまだ俺たちがいるからな。 全く、フィーア姉貴もトレーシャ姉貴も不甲斐な」


 あ、ファイさんがクノエちゃんに突かれて戦闘不能になった


「お前も油断してるじゃないか」


「はい、すいません」


 これでファイさんも戦闘不能。 でも、女神様なのに油断しすぎるってのはどうなんだろう?


「てりゃぁ!」


 うわ、いつの間にかロクシアさんが僕の前に!

 慌てて杖でガード、ダメージは防げたけど杖が真っ二つになってしまった。 このままじゃ呪文が唱えれない! 変えの杖も今はシエティちゃんに封じられてるせいで取り出せないし…


「リディエラ様!」


 テュネが僕とロクシアさんの間に入り込む


ペザンテ(重々しく)! レガート(滑らかに)! グランディオーソ(壮大に)! エネルジコ(力強く)! フィナーレ(終われ)!」


 何やら唱えると、音符が次々と出現し、ロクシアさんに降り注いだ

 まるで隕石のような音符はロクシアさんを貫いて戦闘不能にした


「ぐ、このわらわが…。」


 ロクシアさん、ものすごく悔しそう


「そこ」


 え?

 今何が起こったのか分からなかった

 ディオリムさんの声がしたと思ったらテュネが倒れていた。 戦闘不能…。

 デュオリムさんの速さは光速を超えていた


「次」


 見えない。 声だけが聞こえる。


「九尾流体術秘奥義! 天駆神落(あまかけるかみおとし)!」


 う、こっちも見えない

 金属音だけが響き、それが二人の打ち合いを表していることが分かった


 やがて鳴りやむ金属音、クノエちゃんが立ち、ディオリムさんが倒れ伏した


「ふぅ、ふぅ、すーー、はぁーーー」


 相当に体力を消耗するのか、息が荒いクノエちゃん


「不覚、強いな」


 クノエちゃんを見て笑ってる。 自分を倒せたクノエちゃんを嬉しそうに見るデュオリムさん


「まさか、デュオちゃんまで…」


「ノル、姉、アンリ姉、私も、やられちゃった」


 ふと後ろを振り返るとシエティちゃんがアスラムに倒されていた

 どうやら至近距離でハンマーを振りぬいたらしい

 シエティちゃんが壁にめり込んでいた


「残るは私達二人と言うわけですか…。」


「ノル姉様、どうすれば…。」


「大丈夫よアンリちゃん。 私に合わせて!」


 二人は金と銀の剣を重ねる


「「ダブルライトニング」」


 二人が金と銀の光の線となる

 速すぎて残像が戦になって見えてるんだ


「グッ」


「あっ」


 後ろでフーレンとクノエちゃんの声がした

 振り向くと二人は戦闘不能になっている


「あと3人」


金色魔天(こんじきまてん)

銀色聖天(しろがねせいてん)


 空中高く飛び上がる二人

 金と銀の光が、堕ちてきた


反護天堕脚(はごてんだきゃく)!」


 エンシュのカウンター。 相手の力を利用してそのまま反射させる脚撃が見事にきまった

 それによってまずノルさんが戦闘不能に


「ガイアホール!」


 あ、アンリさんが地面にあいた穴に飲み込まれていった


 それから数分後


「あう、ひどい目に、遭いました…。」


 泥だらけになったアンリさんが戻って来た

 戦闘不能に放っていないもの、フロア外へ出たため失格扱いになった


「まさか、下位女神と言えど一応女神の私たちが破れるとは思ってもいませんでした」


「これを持っていきなさい」


 ノルさんが渡したのは地図だった


「必ず役に立つはずです。 次も頑張ってくださいね」


 8人の女神は僕たちの魔力と体力を全回復してくれると笑顔で見送ってくれた

 そういえば、神具の力を開放してない気がする。 もしかして手加減されてた!?

女神達の名前は世界各国の数字の数え方になってます

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