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白黒 鬼姉妹の冒険19

 翌日、ランちゃんの自室へと呼ばれた私達。 扉を開けると花の香りに包まれた

 様々なお酒が入った陶器が置かれ、そこから花の香りがしてるみたい

 

「ほら、これなら大丈夫だと思うから、これ飲むといいし」


 それは桃の花の香りがするお酒?


「お酒じゃないし、果汁を発酵させてアルコール? とかいうのを抜いたものだし」


 一口飲んでみると芳醇な桃の香りが体を突き抜ける。 体が温かくなって力がみなぎってくる感じ


「よし、うまくいったし。 それなら酔わなくても酔拳を十分に扱えるようになるはずだし」


「もしかして、私たちのために造ってくださったのですか?」


「それも師匠の務めだし、気にしなくていいし」


 私たちは酔わなくても酔拳を十分に扱える術を手に入れた


「それじゃぁ、その薬果汁を入れる瓢箪を作るし。 ついてくるし」


 ランちゃんについて訪れたのは裏にある畑。 そこには様々な果物や野菜、そして瓢箪が植えられていた

 

「そこに瓢箪があるし。 そこから好きなのを選ぶし」


 綺麗な瓢箪。 形も様々で、ひょろりと長いものや小さくて可愛いもの、人よりも大きなものや刺々しいものまである


「あたしはこれにするっす」


 アカネは真っ赤な瓢箪、大きさは普通でアカネの髪の色と同じですごく合ってると思う


「では私はこれを」


 キキは丸くてほんのり黄色い瓢箪で、その丸さはまるで人工的に作られたものみたい


「私は~、これを~」


 ソウカは身の丈ほどもある大きくて青い瓢箪。 それに薬果汁入れて持ち歩けるの?


「じゃぁ私はこれかな」


 私が選んだのは輝くように白い瓢箪で、まるで私が手に取るのを待っていたみたい


「私はこれにします」


 お姉ちゃんが選んだのは光沢のある黒い瓢箪。 金属のような質感がある


「みんな選んだみたいだし、次は数日干して中を掻き出さなきゃだからこっちで作業するし」


 今更気づいたけど、ランちゃんの授業はこの瓢箪作りだったみたい

 

 作業場では何人かの生徒が瓢箪を加工していた

 う、なにこの臭い…。 鼻がもげそうなほどきつい臭い


「ん、臭いがだめならそこのマスクをつけるといいし。 ちょっとは和らぐし」


 せっかくだからつけさせてもらった

 この臭いは瓢箪を干す過程で中の実が腐った臭いらしい。 どうりで臭いわけだよ


「まず干すし。 瓢箪をここにぶら下げるし」


 瓢箪をここに数日から数週間干して中身を掻き出してきれいに洗い、また数日干す。 そのあとで瓢箪を鉄のように硬くする仙術を施せば出来上がりらしい

 出来上がりが楽しみだなぁ


 数日後、私たちの瓢箪の中身を掻き出す作業を始めた

 これがまた臭いがすごくて、マスクをつけててもきつい。 何度も吐きそうになるのをこらえてようやく試練を終えた

 そのあとはきれいに洗って、臭い取りのために桃の薬液に付け込んでまた干した

 桃の薬液に付けた後は臭いも消えてて、逆に良い匂い


「あとはまた干して、ランちゃん師匠の秘技をかけて出来上がりだし。 すごく上出来だし。 今日はいいものを食べさせてあげるし」


 出来栄えに満足してくれたらしいランちゃんはその夜、私たちに特製手料理をごちそうしてくれた

 基本的には薬膳料理のようなものなんだけど、質素に見えつつすごくおいしかった

 漢方で使われる野菜を使ってるみたいで、体にもすごくいい食材ばかり

 たとえば普段は苦くてとても食べれないヨウカニンジン、このニンジンは摂取することで体の中の老廃物を体外に排出してくれる作用があるみたい

 苦すぎるんだけど、ランちゃんが調理してくれたヨウカニンジンは程よい苦みで食べやすかった

 他にはクジュウタケ、九回も苦しむほどまずいと言われるキノコなんだけど、こっちはカラッとてんぷらにされてて、甘みのある味付けがされてた。 非常においしくいただけました

 そのほかにもたくさんの漢方食材を使った料理をふるまってくれたランちゃん。 料理が好きで普段から研究に余念がないらしく、プロと言っても何ら遜色なかった


「どうだったし?」


「すごくおいしかったです!」


 それに体に力がみなぎってる。 今なら裸で雪山に行っても生き残れそう


「馬鹿な妄想してないで、今日はお風呂に入って寝るし」


 今の妄想、読まれてたんだ…。 顔から火が出そう


 数日後、乾ききった瓢箪にランちゃんが仙術をかけてくれて私達専用の瓢箪が完成した


「その瓢箪は中に入れたものが永久的に腐らないし。 そういう仙術もかけてるし。 しかも鉄より硬いから武器としても扱えるし。 有効活用するといいし」


 そう言ってランちゃんはお姉ちゃんのほうを向くと両手を差し向けた。 まるで抱っこしてくれと言わんばかりに

 あ、抱っこしてほしかったんだ


「あの、何か?」


 あ、お姉ちゃんは分かってなかったみたい

 ランちゃんが私の方を向いたので抱き上げる


「ん、クロハちゃんの方が気持ちいいね。 でも、ハクラちゃんもあったかくていいし」


 幸せそうな顔をするランちゃん。 私も柔らかくて気持ちいい抱き心地のランちゃんを抱っこ出来て嬉しいです

 ちなみにランちゃんの暗八仙は花かごで、薬草や花々を自在に生み出せるらしい。 何それ便利そう

久しぶりに鬼仙をね

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