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白黒 鬼姉妹の冒険18

 呂洞賓さんはかつて十試という試練を漢鍾離おじさんから与えられたらしい

 どれも心を試す試練で、その全てに全く動じなかったことでおじさんから認められて仙人になったって話してくれた

 すごく優しい人で、誰に対しても丁寧な人だった


「それじゃぁ行こうか。 僕たちがこれから行くのは裏山にある岩石地帯だよ」


 裏山の奥地にある大きな岩がそびえる場所

 その一番開けたところで修業が開始された


「僕の修行では君たちに宿った仙力を操ってもらおうと思うんだ」


 リョさんは背中に背負っていた剣を抜く

 すると剣が宙に浮き始めた


「この剣は神剣でね。 まぁここでは能力は使えないけど、今回はこんな風に武器を手に持たずに操る天遁剣法というのを学んでもらうよ」


 宙に浮いた剣は自在に動いてまるで生きているかのよう

 それにあらゆる方向から攻撃できるから便利そう!


「じゃぁまずそれぞれそこの剣を手に取って…。 あ、君たちは自分専用の武器を持っているみたいだね。 そっちの方がなじみやすいからそっちでやってみようか」


 私たちはそれぞれ愛用の刀を抜き、地面に刺した


「それじゃぁ仙力を体に充実させて、出来たらそれを放出して剣を持つイメージね」


 リョさんは簡単に言ってるしやってたけど、これが思った以上に難しい

 仙力をが充実するところまではできるんだけど、それを放出させると、強すぎて地面がはじけたり弱すぎて刀を持つこともできなかったりと失敗続き


「む、難しい…。 お姉ちゃんはどう?」


 お姉ちゃんを見てみると、もう刀がかすかに動き始めていた


「すごいお姉ちゃん!」


 もう少しで浮きそうなんだけど、お姉ちゃんの限界がきてダメだった


「く、もう少し、なんだけど」


 悔しそう

 私も頑張らなきゃ

 数時間後、最初に刀を浮かせたのはアカネだった

 やっぱりこの子、天才なのかも


「やったっす! やりましたよハクラ様! クロハ様!」


 コツをつかんだアカネは刀を器用にくるくると飛ばして自由自在に操っていた


「アカネってこういうとこ本当に天才的だね」


「ほんとですよ。 私たちの努力がばからしくなるじゃないですか」


 キキが悔しそうに地団駄踏んでる

 可愛い


 でも、努力の甲斐あってアカネに遅れること数時間、私たちもある程度操れるようになっていた

 ただ一人を除いて


「ふえ~、浮かないです~」


 ソウカは泣きながら一生懸命仙力を込めてるんだけど、刀を揺らすことすらできていなかった

 こればっかりは自分でコツをつかんでもらうしかない

 ソウカを応援しながらその時をじっと待った

 

 そして半日後、ようやくソウカも刀を操れるようになった

 どうやら原因は刀の重さにあったみたい

 そりゃそうだ

 ソウカの刀は私の背丈よりも大きくて、ソウカと同じくらいの大きさなんだもん

 いつもはソウカ自慢の筋力で操ってるけど、今回は仙力で操らなきゃいけないから余計に難しかったんだと思う

 あとで普通の剣でやってみたらあっさりと成功してたから間違いない


「一人時間がかかったけど、普通の仙人に比べればはるかに速いよ。 さて、少し休憩しようか。 汗もかいてるみたいだしね」


 リョさんは私たちを連れて岩石地帯を抜けた先へと歩いた

 なんだか卵を数百個腐らせたようなにおいが鼻を突いてくる


「なんだか、変なにおいがするっすよ」


 人一倍鼻の良いアカネが鼻を抑えて顔をしかめてる


「さ、これがその匂いの正体だ」


 そこにあったのは、大きな露天風呂!

 これは嬉しい

 すぐに私たちは服を脱ぎ散らして飛び込んだ


「ちょっとちょっと、僕が男だってこと忘れてないかな?」


 顔を真っ赤にしてるリョさん

 別にリョさんは仙人だから見られても問題ないと思うんだけど

 でもすごく恥ずかしそう

 あ、そうだ


「リョさんも入りましょうよ!」


 私たちはリョさんを誘った


「僕はいいよ。 あっちで休憩してるから出たら言ってね」


 そう言って逃げるようにリョさんは走っていった

 恥ずかしいのかな? コクウなら一緒に入ってくれるのに


「ハクラ、殿方をこのような場に誘ってはダメよ。 コクウは家族だからいいけど、普通の男性は一緒には入らないの」


 そうなんだ、知らなかった

 

 温泉でさっぱりした後、修行を再開

 数時間後にはみんな自在に操れるようになっていた

 これが天遁剣法、通称飛翔剣の術

 飛翔する神刀はとても凶悪なものになりそう


 リョさんの修行を終えてまた八仙たちの元へ戻った


「お、もう終わったっちか。 速いっちね」


「ああ、この子たちすごいよ。 次はランだったね」


「そうだし。 楽しみだし」


 今度は藍采和さん

 ランちゃんとよぶといいしって言ってるからそう呼ぶことにしよう

 それにしても小っちゃくて可愛い

 抱っこしたい


「抱っこ、する? べつに構わないし」


 あ、心読まれてる

 お言葉に甘えて抱え上げる

 ほっぺぷにぷにで柔らかい体

 それに良い匂い


「あたいら女仙は花の香りのお酒を飲んでるし。 体臭も花の香りになるし」


 なるほど、それでこんなに良い匂いが

 思いっきり香りを楽しんでランちゃんを降ろした


「ん、じゃぁ明日また会うし」


 八仙のみなさんはまだやることがあるそうなので、私たちはお先に就寝することにした

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