2 獣人の国9
ホーエンには大きな城があり、城下町には様々な獣人が暮らしている
犬人、猫人はもちろんのこと、狐人、狸人、といった獣人種も平和に暮らしているようだ
耳やしっぽを見て興奮していたが、自分も変化しているので耳やしっぽを持っていることを忘れていた
仕方ないので自分の尻尾をもふもふしていたら変な目で見られた
どうやら通常獣人は尻尾を触られるのを極端に嫌がるらしい
そんなことをするのは変態くらいなんだそうだ
次からは誰にも見られないところで触るとしよう。 僕は赤面しながらそう思った
まずは街の観光だ。 区画整理された美しい街を見学した
見ているだけでも十分楽しめるのだが、商業区から攻めてみることにした
妖精や精霊たちにお土産を買うのはもちろん、珍しい食べ物も食べてみたい
まずはご飯だ。 周りを見渡すとたくさんの飯処があるのでかなり迷ったけど、パンとシチューの店と書かれた店に惹かれたので早速入ってみる
「おお~、いいにおい」
入った瞬間鼻をくすぐる香りに思わず涎が出てくる
エンシュもほぉが緩み切っており、早く食べたそうだ
メニューを見てそれぞれに気になった料理を注文する
僕は生クリーム(甘くないモノ)のかかったビーフシチューで、パンはガーリックパン
テュネは鮭のような魚が入ったクリームシチューとこんがり焼けた二きれのバケット
エンシュはお肉たっぷりで量もある激辛レッドシチューにまるで唐辛子に漬けたような真っ赤なパン
フーレンは鶏肉の入ったポトフに外はカリカリ、中はフワフワのバタートースト
アスラムは香草や薬草など野菜のみをじっくり煮込んだ精進料理風のシチューに丸い黒パン
しばらく待つとみんなに料理がいきわたった
みんなでシェアしてそれぞれのシチューに舌鼓を打つ
どれもこれも非常に凝った料理で、店主の力量がうかがえた
ただ、エンシュの激辛シチューはとてもじゃないけど食べれない
味は素晴らしいんだけど辛すぎてね、エンシュは平気な顔をして平らげているが、辛い物の苦手なテュネとフーレンは悶絶していた
おなかもいっぱいになり満足して今度は商業区を探索
ホーエン国立公園があるため動物に関するグッズが多く、ぬいぐるみも大量に売っていた
僕は感激した
前世では目が見えなくなってからはぬいぐるみをモフモフすることはなかったが、僕は可愛いものが大好きだ
男だった前世では変な目で見られるかもしれなかったが今は違う
大手を振ってモフれるのだ
色々な種類のぬいぐるみを買いあさり、その中でお気に入りの一つは持ち歩くことにした
見た目が少女なので誰も気にしないだろう(道行く女の子もぬいぐるみを持ち歩いてる子は結構いた)
一番気に入ったのは梟のような鳥のぬいぐるみだ
目がニコッと笑っているようでとても愛嬌がある
この鳥の名前はセルズクというらしく、夜行性なので昼間に見かけることはめったにない
夜も鳴き声は響くが、姿はなかなか現してくれないらしい
これは是非ともホーエン国立公園で探してみようと思う
他にも麒麟、ユニコーン、ペガサスなど神獣のぬいぐるみも買っておいた
これらも公園にいるらしいのだが神獣なので本当に滅多なことでは姿を現さないらしい
ユニコーンに至っては女性の前にしか姿を現さないので男性で見たことがあるのは10年前に国立公園の見回りをしていた人を最後に今までいない
それと、彼ら神獣はおとなしく、怒らせなければ危険性はないのだが、この公園には危険地区もありそこは一般人は立ち入り禁止だという
そこには竜やコカトリスやケルベロスなど人を襲う魔物などが自生しているらしく、危険度はAランク
一流の冒険者でも入るのをためらう場所だ
管理も元Sランク冒険者や国の精鋭が行っているらしい
元とはいえSランク冒険者ともなれば竜を単独でも倒せるため申し分ないだろう
その日は商業区を見て回り、お土産を買い、おいしいものを食べて満足した
明日はいよいよホーエン国立公園だ。 たくさんの動物と触れ合おうと思う
国立公園はリアルにもあるように普通の公園とは違います
アフリカに多いのですが、主に自然や野生生物を密猟者などから守るためのものです




