表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/464

白黒 鬼姉妹の冒険15

 酔八仙は拳法を使う集団時の名前で、通常は八仙と呼ばれる

 その八人の仙人はそれぞれ、李鉄拐(りてっかい)漢鍾離(かんしょうり)呂洞賓(りょどうひん)藍采和(らんさいか)韓湘子(かんしょうし)何仙姑(かせんこ)張果老(ちょうかろう)曹国舅(そうこっきゅう)の名で知られ、それぞれの動きがその拳法の動きへと直結している

 そういえば聞いたことがある気がする

 酔拳という、酔えば酔うほど強くなる拳法

 あ、だから酔八仙…。 酔八仙拳だよ!

 父様が昔教えてくれたんだった

 この世界のどこかにある国では、とんでもなく強い人たちがいて、その人たちは独特の力と拳法を使う

 その一つが酔八仙拳…。 父様も使ってた拳法

 お風呂でそんなことを考えているとのぼせてしまった

 アカネが私をパタパタと手拭いで仰いでくれてる


「もー、ハクラ様真っ赤になってるじゃないっすかー。 あたしとおんなじっすねー」


 アカネの声を聴きながら気を失った

 

 気が付くと朝

 今日は八仙に会いに行くことになってる

 どんな人たちなんだろう? ちょっと楽しみ

 あ、でも、テンセン先生みたいな修行だったらいやかも

 

「さぁ、行きますよ」


 伏羲さんが馬車で迎えに来てくれた

 こんなに至れり尽くせりでいいのかな?

 この後もしかして地獄のような修行が待ってるってことなのかな?


「地獄? 八仙は割と常識的な人ばかりなので、死ぬような目には遭わないと思うよ」


「え?」


 心を読んだ!?

 え? どういうこと?


「あ、失礼だったかな? ごめんね。 ちょっと癖になっててね」


「いえ、大丈夫です。 でも安心しました。 なにせ以前二回ほど死にかけたもので」


 でもあの時は本当に死んだかと思ったよ

 河みたいなところで父様と母様が手を振ってた

 その横に不思議な姿をした人も立ってた気がする

 桃の絵柄が入った着物を着た男の人で、角はなかった

 ひょっとするとご先祖様なのかな?


 そんなことを考えているとどうやら目的地に着いたみたい

 そこは大きな格闘場のある屋敷で、何人かの仙人と思しき若い人達がところどころに歩いていた


「ここでは有望な仙人族の若者が修行をしていてね。 ほら、あそこで型を練習しているだろ? ああやって体に動きを叩き込んで酔っても自然に動けるようにするんだ」


 なるほど、酔拳にはお酒は欠かせないから完全に酔っちゃっても大丈夫なように体に叩き込むのね

 そういえば私、お酒なんて飲んだことないけど大丈夫なのかな?


「ほらハクラ、行くよ」


 お姉ちゃんの後について屋敷の中に入った

 中はシンプルで、あるのは壺くらい

 でも手入れは行き届いてて、すっごくきれい

 部屋の数は…。 いっぱい!

 門下生?の人達には二人で一部屋が与えられてるらしい

 ここの門下生の数は200人ほどだから、単純に計算しても100部屋はあるってことになるね

 それ以外にも師範代の部屋や、掃除や炊事をしてくれる女仙の人達の部屋もある


「こっちだよ。 迷うからしっかりついてきてね」


 門下生たちの部屋を通り過ぎて、給仕室、大浴場などの部屋をさらに通り過ぎた先にある一つの部屋

 

「ここに今八仙全員がいるから、とりあえず中に入ろっか」


「え? もうみなさんいらっしゃるんですか?」


「うん、あ、敬語は使わなくていいよ。 八仙は気さくで陽気な人たちだからね」


「そうなんですか。 でも、師匠になる人たちですし」


 お姉ちゃんは結構礼儀を重んじる人だから気になるんだね


「まぁとにかく中に入って。 あとお酒臭いと思うから心しておいてね」


 そう言って伏羲さんは去って行った


「ドキドキ~しますね~」


 ソウカも緊張してるみたい

 キキなんてカチカチになってるし


 扉を叩いて開いた


「お、来たね」


「ふむ、仙力も申し分なさそうだよ」


「あたいのお酒仲間にするし」


「もう、采和(さいか)はすぐそうやってお酒に誘おうとするっちね。 てか、最初のお酒はわちと酌み交わすっちね」


 男性と女性の声がする

 それとものすごくお酒臭い

 うっ、なんだか吐き気が…


「ささ、入るし。 ここに座るし」


 小さな女の子?

 私より背の低い女の子が席に案内してくれた

 五人分の席は既に用意されていて、そこには様々なお酒が用意されている

 そして、八仙だと思われる人たちは全員顔を真っ赤にして酔っぱらっていた

 ん? 今案内してくれた女の子も顔が真っ赤!


「ん? あたいの顔に何かついてるし?」


「あ、いえ、酔ってるのかなって」


「そりゃぁ酔ってるに決まってるし。 あたいら酔八仙だし。 お酒無くしてあたいらなしだし」


 独特な話し方をするこの女の子もどうやら八仙の一人らしい

 それにしても、どう見ても幼女にしか見えないのに、手に瓢箪で出来た水筒を持ってる。 きっとお酒入り

 

「ま、とりあえず飲むといい。 わしらの話はそれからだ」


 お腹の大きなおじさんがお酒を勧めてくれた

 渡されたのは盃

 そこになみなみとお酒を注ぐ白くて長いひげのおじいさん


「さぁ飲みな」


 ニコニコと笑う八仙の皆さん

 すごく優しそうな人たちばかり


「では、お言葉に甘えて」


 お姉ちゃんが口をつけた

 それに習ってアカネ、キキ、ソウカがグイッと杯を飲み干す

 私も思い切って飲み下してみた


「う、んん? あ、れ? めがまわ…」


 視界がグニャグニャと回って、私とお姉ちゃんは一緒に倒れた

酔八仙の性格とか文献を読んで参考にしつつ、考えてます

まぁ全然違う性格にしちゃうかもしれませんが(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ