表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
143/464

白黒 鬼姉妹の冒険10

 今度は崖を登り切った森に気配があった

 森は木々がうっそうと茂っていて薄暗い

 道はなく、木々草花をかき分けて進んでいった


「痛っ!」


 うぅ、手を葉っぱで切っちゃった


「大丈夫? ハクラ」


「うん、このくらい平気」


 真っ赤な血が流れ出る

 意外と深く切れちゃってたみたい


「もう、ほら見せて」


 お姉ちゃんが傷口に手を当ててくれた

 指をスッと引くと傷は綺麗に消えた

 昔からそう、私とお姉ちゃんだけにできるおまじない

 これをやるとちょっとした傷なら消えちゃうの


「何ですか、それ…」


 ミズキ先生が目を丸くしている


「これは姫たちだけが使えるおまじないっすね。 原理とか全く分かんないっすけどね」


「これは、妖術や魔力を使ったものではありません。 一体どんな力なんですか?」


「さぁ、それは私たちにも分からない。 ただ、物心ついた時には使えたな。 母様はこれは大切な力だから時が来たら教えてくれると言っていたが…。 その前に病気で死んでしまったから」


 思い出した。 小さなころ母様からよく聞かされてた

 これは父様からの贈り物だって

 父様も私が幼いころに母様の後を追うように亡くなってしまった

 でも、私にはお姉ちゃんがいるし、アカネたちも一緒に育ってきた家族だ

 コクウだって父様のようによくしてくれる

 寂しくはない

 

「そうですか、とにかく、悪い力ではなさそうですね。 この修行が終わったら校長に聞いてみましょう」


「はい、よろしくお願いします」


 おまじないの正体、結局母様にも父様にも聞けなかったもんね

 校長先生が分かればいいけど


「あ、開けた場所に出たみたいですよ」


 キキが周囲を警戒しながら広場を指さした

 その広場の中央に男の人が立っている

 手には長筒、確か火薬を使って鉛の弾を発射する武器だったかな?


「来たか」


 ただ一言そう言うと、長筒を棒術の棒のように回し始めた

 男の人はおとら狐族のアガセ先生だ

 この先生の教える科目はそれぞれに合った武器の扱い方らしい

 つまり、どんな武器にでも精通してるってことかな?


「俺に、指だけでも、触れることができれば、終わりだ。 来い」


 先生は長筒を普通に構えることはしなかった

 弾も入っていないみたい

 でも、鉄も使われてるから当たれば大けがするかも


「全員武器を構えなさい。 素手では不利です」


 お姉ちゃんに言われた通りにみんな武器を抜き放った

 お姉ちゃんは黒刀クロアゲハ、私は白刀散雪、アカネは赤小太刀閃を、キキは黄大太刀円を、ソウカは青広幅刀断をそれぞれ構えて先生と相対する


「ふむ、魔刀に、神刀、か」


 まずはソウカが断で強襲

 空から一気に振り下ろすと、地面が大きく揺れて抉れた

 しかし先生は体勢を少しも崩すことなくソウカを長筒で殴り飛ばす

 断で防ぐも木に思いっきり打ち付けられてしまった


「あう~、痛いです~」


 次にキキが先生を王守盾で閉じ込めた上に距離を詰めた

 キキの円が自動で相手を切りつけ始める

 それを先生はほんの少しの動きだけで避けて、長筒で防ぎきる


「力を、生かしきれていない」


 今度はキキが殴られた

 アカネは吹っ飛んだキキをキャッチして威力を殺した


「ありがとうアカネ」


「問題ないっすよ! 今度はあたしの番っす!」


 キキを抱えて大きく下がると、閃をその場で振り始めた

 見えない斬撃が先生を襲う

 それでも先生は気配で斬撃を察知しているのか、すべて躱している


「くっ、これならどうっすか!」


 アカネは眷属大召喚で赤い狼に乗ると、そのまま広場を駆け回りながら四方八方から斬撃を繰り広げる


「どこから来ようとも、同じこと」


 これでも一切が見切られているみたい


「アカネ、合わせて!」


 お姉ちゃんが黒で視界を奪った

 そしてアカネの狼に一緒に騎乗すると、近づいたり離れたりしながら一緒に先生を斬り始めた


「これでも、ダメなの!?」


 お姉ちゃんが悔しそうな声をあげる


「視界も、戻って来たな」


 今度は先生が動いた

 一瞬、ほんの一瞬瞬きしただけ

 それでお姉ちゃんとアカネは二人同時に吹き飛ばされていた


「見えなかった。 一体なにが起こったの?」


 先生の姿が見えない

 キョロキョロしていると、後ろで足音がした


「そこ!」


 散雪で斬りつけたけど、空を斬っただけ

 先生は既に私の後ろに回り込んでて、あえなく私はみぞおちを突かれて崩れ落ちた


「う、ぐ、ゲホッゲホッ」


 息が詰まる

 でも何とか立てる


「それ~!」


 いつの間にか復帰したソウカが空から断を落としつつ、焼けるような光を降り注がせた

 光りは器用に私たちを避けている 


「まだまだ、だ」


 先生の声はするけど相変わらず姿が全く見えない

 とんでもないスピードで動いてるのか、それとも…


「そうだ!」


 私は白を広範囲に発動させた

 みんなも妖術を使えなくなるけど、先生も使えなくなったようで、姿が現れる

 予想は当たってたみたい

 先生の妖術は、透明化だ


「ほほぉ、よく、気づいたな」


 先生は満足そうに微笑んでいる


「今!」


 お姉ちゃんの声に合わせた私とキキは連携を放った

 キキの王守盾で二人を覆い、先生の攻撃を防ぎつつ、キキは円で斬りつけていく

 そして私は


「散雪、解放!」


 神刀たる散雪の力を完全開放した

 辺りに舞い始める白雪

 周囲の温度が一気に下がった


「形態変化! 二刀一対の型!」


 次に散雪の形態を変化させる

 右手に大剣、左手に小太刀を逆手に持つと、大剣で地面をうがつ

 その反動で回転を始めた

 風を斬り、回転を速めながら先生に近づいて行った


「せりゃぁアアアア!!」


 先生は長筒で攻撃を受け止めた

 でも、私の回転は止まらない

 火花が散りつつ、先生の長筒が凍り付いて行く


「く、これが神刀の、力…。 面白い」


 パキーンと音がして長筒の中央が砕けて先生に刃が突き刺さる

 まずい、やっちゃったかも…

 

「ふぅ、合格、だ」


 突き刺さったと思われた刃は先生が着ていたオリハルコン製のかたびらによって止められている

 よかった、刺さってたら先生自体が凍って、悪くすればバラバラに…


「次に、行くと、いい」


 アガセ先生は嬉しそうにニコニコと笑っている

 ミズキ先生が言うには、武器マニアな先生は神刀の力を見れてうれしいんだって

 うん、いろんな人がいるもんですね


クロアゲハの力はまた出します

斬りつけて幻覚を見せるっていうのは以前にも紹介したと思いますが

神刀なのでまだ能力があります


おまじないについてはもうちょっと先かな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ