表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/464

2 獣人の国7

 ライラに案内されて竜の襲ってきた場所を訪れる

 そこは既に荒れ果てており、ところどころが焼けこげていた


「わたくしの雷には草花を活性化させる作用があります。 ここは、花々が咲き乱れる美しい花畑でした…」


 悲しそうな顔でライラがつぶやいた


「ウォンはこちらです。 この先の巨樹の洞に匿っております」


 そこには焼け焦げた大樹があった。 既に生命活動を停止しており、枯れ果てているようだ

 その大樹の下に少し大きめの洞がある

 その中に入ると男型の精霊が横たわっていた。 体中を走る爪痕のようなものと焼けて炭化している手足がうかがえた

 苦しそうに呻いているウォン、テュネが言うには精霊がここまで傷つくのは特殊なことなのだそうだ

 恐らくその竜は邪竜の一種だろうとのこと


「わたくしを、かばってくれたのです。 どうか、お救い下さい」


 悲しそうなライラを見て僕は力強くうなずいた

 

「リディエラ様、精霊召喚をいたしましょう。 癒しの精霊を呼び出すのです!」


 テュネが精霊召喚を優しく教えてくれる

 これは精霊王の血統である僕だから使える技術で、この世界にいる出会ったことのある精霊ならば誰でも呼び出すことができるらしい

 今回呼び出すのは僕が生まれたときに母さんに挨拶をしに来ていた精霊の一人、癒しの精霊ヒーリルのカイユだ

 彼女ならよく覚えている。 母さんの目の前で派手に転んでいたちょっとドジな精霊だ

 僕はテュネに言われるがままに精霊召喚をしてみる

 文様の入ったサークル、魔法陣?のようなものが現れ、そこから足、胴、腕、頭の順に女性が現れた

 

「ふわわ、しょ、召喚に応じました! ヒーリルのカイユです~」


 ビシッと敬礼のようなポーズをとり、歩き出そうとした瞬間、思いっきり転んだ


「はぅ~、痛いです~」


 顔面で着地を決めたため相当痛そうだ。 傷を自分で癒している

 

「それで~リディエラ様~、癒してほしい方はどちらに~?」


 可愛らしく首をかしげるカイユ

 僕はこっちだよとウォンの元へと案内した

 苦しそうなウォンを一目見たカイユはうなずくと癒しの魔法を彼に施した


「このくらいちょちょいのちょいですよ!」


 エッヘンと胸を張るカイユはすごく誇らしげだ

 それも納得の結果で、ウォンは傷一つなく回復した

 さっきまでの苦しそうな顔がウソのように穏やかになっている

 

「ありがとうございます! ありがとう、ございます…」


 涙ながらにお礼を言うライラ。 ウォンの手を愛おしそうに握っている


 それからしばらくするとウォンは目を覚ました

 かなり元気そうで、ライラと手を握り合っていた。 ほほえましい限りである


「ありがとうございました。 おかげで俺もこの通り動けるようになりました」


 頭を下げて礼を言うウォン

 それから彼らは邪竜の飛び去った方向を教えてくれた

 僕らは怒っている

 精霊は皆家族だ。 仲間意識が強い。 それは僕も同じことで、その意識がしっかりと遺伝子に刻まれている

 それに、精霊が育む土地をここまで破壊しつくす邪竜を許すことなんてできない

 

 しかし相手は邪竜という精霊を傷つけることのできるモノの一つだ

 念のためカイユにもついてきてもらうことにした

 彼女の癒しの精霊魔法なら死なない限り回復してもらえる

 しかし戦闘力は皆無なので僕が守りながら戦うことになる

 油断ならない邪竜が相手だ。 気を引き締めていこう


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ