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白黒 鬼姉妹の冒険3

 精霊様と別れた私たちはまず妖狐族の術士の元へ行くことに

 術士と言うのは、妖術を扱う人のことで、妖怪族の人達は魔力とは別に妖力を使って魔法のようなものを使うことができるんだけど、それが強力なんだって

 実はこの妖力、私たちのような鬼人族も使うことができる

 私も少し使えるんだけど、白い霧を少しの間だけ発生させる程度で、凄く弱い

 だからここで妖力を操るすべを学ぶのです!


「お姉ちゃんの妖術、見たことないんだけど、どういう力なの?」


「あぁ、そう言えばハクラには見せたことなかったわね」


 そう言うとお姉ちゃんはついてくるように言った

 向かったのは人のいない大きな空き地で、ここは妖術の練習をするための場所なんだって

 

「見てて」


 お姉ちゃんは自分の刀である黒刀“クロアゲハ”を抜いて妖力をこめた

 すると当たりが夜のように暗くなってくる

 段々とお姉ちゃんの姿も見えなくなり、何も見えないほどの暗闇に閉じ込められた


「あれ? お姉ちゃん? アカネ、キキ、ソウカ…」


 名前を呼ぶけど返事はない

 アカネなんてすぐそばにいたのに手を伸ばしても触れることができなかった

 あとで聞いた話だけど、アカネたちも同じような状況だったらしい

 キキなんて涙ぐんでたし、不安だったのね

 

 やがて暗闇は晴れて、皆の姿が見えた

 アカネが私に抱き着いてきた


「よかったっすよハクラ様~。 もう会えないかと思ったっす」


「ちょっとやりすぎちゃったわね。 これが私の妖術、“黒”よ。 他にもあるんだけど、危険だからここでは使えない」


 お姉ちゃんのこの“黒”という妖術は敵を暗闇に閉じ込めてしまう力で、閉じ込められた人は周囲の一切を認識できなくなる

 つまり、本当に暗闇に覆われたわけじゃなくて、全ての感覚を分からなくさせられてしまう

 お姉ちゃんには相手の姿が見えていて、相手には何も認識させない

 お姉ちゃんの独壇場になるわけだ

 でもまだ未完成らしくて、相手が妖術で対抗してきた場合に破られる可能性があるんだって

 だから今回はお姉ちゃんもその完成を目指した修行をする

 完成すれば“黒”は“獄黒”となって永遠に黒い世界に閉じ込める力になるって言ってた

 かなり怖い術だと思いますはい


「ここよ」


 空き地から数百メートルほど離れた大きな道場

 妖狐族の子供はこの道場で妖術を習っていて、小さな子がたくさん通っていた

 私たちはお姉ちゃん以外に妖術を使えないから幼年コースの子供達と一緒にまずは妖力を掴む修行からすることになったよ

 まぁ私の場合は感覚でやってるだけだから詳しく習わないとまともに使えないもんね

 ちょっと恥ずかしいけど、これも強くなるためだし仕方ないよね

 それに、子供たちはすぐに私たちに懐いてくれた

 すごく可愛いですはい


 早速修行が開始された

 お姉ちゃんはこの道場の管理人でもある白狐族の先生の所に行ってる

 白狐族は妖力以外にも神力も使える種族で、神社の巫女や神官をやってる人が多い

 九尾族であるクノエ姫も神力を使えるけど、神降ろしに特化してるから神様の声をよりよく伝えられるのは白狐族らしい


「では、まず目を閉じて妖力を掴む訓練をしますよー。 先生と同じようにしてねー」


 先生は化け狐族の女性。 幼狐たちに教えてるからか、すごく優しそう

 私たちはその先生に習って目をつむった


「目を閉じたら、頭の中で赤い光を思い浮かべてね。 思浮かべたら今度はそれを手で包みこんで」


 言われた様に想像して、手で包み込んでみる

 すると、手のひらがあったかくなった


「はい、手が温かくなってきた人は手をあげて~」


 みんなが手をあげた

 小っちゃい手で一生懸命あげてる姿がとってもかわいい。 ネネコを思い出しちゃうな


「みんなできましたねー。 それじゃぁ今度は、手の中に玉を作りますよー。 頭の中で今度は玉を思い浮かべて、手の中に握ってくださいねー」


 想像して玉を手で握ってみた

 あ、手のひらに何か握られたみたい

 手を開くと、赤く光る玉が出現していた


「それが、皆の妖力ですよー。 それじゃぁ今度は、その玉を持ってきてねー」


 幼狐たちが先生に玉を見せに行く

 

「モミジちゃんの力はー。 狐火ですねー。 ツヅリくんはー。 変化。 イチョウくんはー。 幻術!」


 それぞれの幼狐たちの能力を教えてるみたいね

 私はどんな力なんだろう?


「はい、ハクラ姫はー。 白? ちょっと先生も知らない能力ですねー。 あとで校長先生にみてもらいましょう。 フフ、お姉さんも私にはわからなかったんですよねー」


 え? 私の力、不明なの?

 校長先生ってたしかお姉ちゃんが会いに行った人だったよね

 その人ならわかるのかな?


「アカネさんはー。 眷属大召喚! すごいですねー。 なかなか珍しい能力ですー。 で、キキさんはー、王守盾(おうまもるたて)、おー、絶対的な防御を誇る妖術ですねー。 これも珍しいですよー。 それからソウカさんはー。 蒼天! これはこれは、また珍しい能力ですー」


 先生はそれぞれの能力を説明してくれた


 アカネの眷属大召喚、これは自分の眷属となる妖魔を生み出す術なんだけど、アカネの場合は角の生えた狼を無制限に生み出せるみたい。 一人で軍が作れちゃう


 キキの王守盾、こっちは絶対障壁で、敵の攻撃をほぼ完全に防ぎきるらしい。 しかもこれのすごいところは、全方位を完全に守り切れるってところ。 キキちゃんすごい


 ソウカの蒼天、空が晴れていれば光を集めて超高温の熱を照射できるっていうなんだか凶悪そうな力

 ソウカ、おとなしい性格に対して恐ろしい能力ね


 私のはまだ分からないからあとで校長先生に聞きに行くことになった

 あ、ちなみに先生の力は分析で、どのくらいの強さで、どんな力を持っているのかが見抜けるらしい

 先生も凄いのね

 私の力、どんな力なんだろう? すごく楽しみだなあ


能力を考えるのってなんか楽しいですね

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