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6 黒の国8

 ポリオンに戻り、依頼は達成

 ギルドからの報酬の他に商人たちからもお礼として金貨をもらった

 結構な枚数だったけど、命には代えられないとのこと


 ひとまず問題は解決できたけど、また黒い魔物が出てこの街道で暴れるとも限らない

 僕はそれなりに強い精霊を召喚してしばらくの間見まわってもらうことにした

 召喚したのはこの間の龍との戦いにも参加していた弓の精霊アロイだ

 見た目は優男で、一見するとナルシストのような雰囲気を持ってるけど、結構真面目な性格だから適任だと思うんだ


「巡回して黒い魔物が出たときに討てばいいのですね? お任せください。 必ずやこの任、やり遂げて見せましょう」


 アロイ一人だと大変だろうからもう二人呼んでおこう

 まず砂の精霊ピスカを呼んだ

 この子は僕より年上だけどまだ幼い精霊で、アスラムの妹だ

 アスラムと同じくかなりしっかりしているし、力も強い


 次に呼んだのはシノノの部下で、木陰の精霊コノハだ

 彼女には黒い魔物の調査をしてもらう

 

「それじゃあみんな、頼んだよ」


「「「はい!」」」


 三人ともやる気満々だね

 街道を三人に任せて僕らは再び馬車で妖怪族の国へ向かう

 

 それから三日で妖怪族の国カゲミヤに到着した


「うわ、凄く発展してるんだね」


 一目見てあまりにも大きな国で驚いた

 領土は一番人口の多い人間族の国と同じくらいらしく、相当に広い

 それもそのはずで、妖怪族のは細かく分けるだけでも相当な種族がいるだけでなく、その人口も半端じゃない。 人間族と同等くらいいるんじゃないだろうか


「ようこそ! わちきたちの国カゲミヤへ!」


 どや顔でクノエちゃんが胸を張ってる可愛い


「何あの門! おっきいね!」


 馬車が国に近づくにつれて巨大な門が見えてきた

 羅生門と呼ばれるその門は真っ赤で、高さは50メートル弱

 てっぺんには監視のための小屋がある

 門の守りには牛頭族と馬頭族がついていて仰々しい

 

「お、姫様、戻ったか。 カンナさんが偉く怒ってたぞ」


「バオン、カンナはどこへ?」


 バオンと呼ばれたのは馬頭族の男性だ

 筋肉隆々で背丈も大きい。 その横に立っている牛頭族の女性もがっしりとした筋肉の鎧をまとっていて、見上げるほど大きく手威圧感がある


「カンナさんならさっきまでここにいましたよ。 相当怒ってましたので覚悟しておいた方がいいですよ」


「う、カウラ、一緒に来てよ。 カンナが怒るとすごく怖いの…」


「私たちは門の守りがありますのでそれは無理ですね。 素直に怒られてください」


 カウラと呼ばれた馬頭族の女性は淡々とそう告げた


 門をくぐって入国

 建物は鬼人族の国と一緒で純和風だった

 ただ違うところは、美しい赤色で統一されてるところだ

 全ての建物が見栄えする赤、赤、赤


「綺麗だね~」


 僕は素直にその景色に感激した

 京都みたい? そうだ、京都みたいなんだこれ

 高さが揃えられ、神社が入り乱れ、碁盤目のように正確に均等に並んだ建物

 歩いてる妖怪族も和服を着ている


「それじゃぁわちきがこの国を案内するぞ」


「え? カンナさんのとこへ戻らなくていいの?」


「…。 や、やっぱりいったん戻らないとね。 カンナにも心配かけてるし」


 カンナさん、怒るとどれだけ怖いんだろう

 ひとまず妖狐族の街へとクノエちゃんと一緒に行くことにした

 ハクラ姫たちは修行のためここでお別れ

 何かわかったらオーブで連絡をくれるそうだ


 妖狐族の街に戻るとすぐにクノエちゃんの部下と思しき人たちに出迎えられた


「何やってるんですか! 会議があると言っていたでしょう!」


 うわ、カンナさんの顔が般若みたいになってる

 本当に怖い

 と言うか後で聞いた話なんだけど、カンナさんは妖狐族と般若族ののハーフだそうだ

 怒ると般若の顔になるらしい

 なるほど、怖いってのは納得できた。 すごく怖いです

 ちなみにクノエちゃんはさんざん怒られて涙目になっている


「もうこんなことはしないでくださいね」


「はい…」


 お叱りも終えたようだ

 それにしても2時間は長いよ…


「申し訳ありません精霊様、お待たせいたしました」


 カンナさんの顔は元の可愛らしい顔に戻っていた

 般若族は普段は普通、というかむしろ美人の顔なんだけど、怒るとまさしく鬼の形相

 僕も怒らせないように気を付けよう

 あの顔はもう見たくないしね


 カンナさんにこれまでのいきさつを話すと、早速国の文献を集めてくれると言ってくれた

 調べるのに時間がかかるのでそれまではこの街に滞在しておいてほしいと言ってる

 他の街はまた今度回ってみるとしよう 

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