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6 黒の国7

 サリーシアからまた馬車に揺られている

 正直馬車は嫌いかも。 これお尻痛い

 クッションもないから木で出来た椅子がもろにお尻に

 仕方ないからお尻だけエレメント体に戻して宙に浮いて座ってる風を装ってる


 途中途中で休憩をはさみながら進み、野宿もして、ようやくホビットの住む国ポリオンへ到着した


「うわぁ、何もかも小っちゃいね」


 建物も人も1メートル以下で、いかにも小人族って感じで可愛い

 チマチマとせわしなく動き回っている

 それと、楽天家的な性格らしく、そこかしこで歌い踊っている人たちがいた。 楽しい国だ


「ここまでくればあと少しですね。 3日ほどで着くはずです」


「そうなの?」


 いやクノエちゃん、君は知っておこうよ。 隣国なんだし…


「あ! あそこ入ってみようよ」


 クノエちゃんが何か見つけたみたいだ

 指のさす方向にはケーキ屋さんがある

 どうやら彼女、ケーキが食べたいらしい。 国では和菓子ばかりでケーキなんて食べたことがないそうだ

 仕方ないなと僕らはケーキ屋でおやつを食べることにした

 中で食べれるみたい。 ケーキセットが一番人気で、飲み物とケーキを選べるみたいだ


「僕はレモンケーキとホットレモンティーにしよっと」


「わちきはこのいちごのしょーとけーき、にするぞ。 あと、ほっとみるくてー? っていうのにしよう」


「私はクリームチーズケーキにホットミルクを」


 ハクラ姫、白いモノづくしだ


「では私はブラックチョコレートケーキにカフェモカを」


 反対にクロハ姫は黒い。 このふたり、自分の色と同じ色の食べ物が好みらしい

 

 僕らのお付きである四大精霊と三獣鬼もそれぞれ自分の好きなケーキと飲み物を頼んだ

 

 しばらく待っていると、ケーキが運ばれてきた

 レモンケーキって初めて食べるけど、シロップ漬けのレモンが上に乗っててレモンの良い匂いがする

 中にもシロップ漬けのレモンが入ってるね

 フォークで一口分すくって口にほおばる

 レモンの風味の爽快感とシロップの甘み、それをクリームが優しく包み込んでくれる

 レモンの皮の苦みがより一層甘さを引き立ててる

 紅茶ともよく合ってて素晴らしい


 食べながらチラッと奥が見えたんだけど、いかにもパティシエと言った風貌の男の人が働いていた

 異世界人? 多分そうだと思う。 パティシエの本場、フランスの人かも

 厨房が見える仕組みで、その洗練された作業に思わず見入ってしまった

 飴細工、チョコレート細工、デコレーションされていく大きなホールケーキ

 プロの妙技を見れて満足満足


 どうやらみんなも食べ終わったみたいで、ハクラ姫とクロハ姫は姫らしく口元を手拭いでぬぐっている

 ちなみにクノエちゃんは顔をクリームでべとべとにしていたのでテュネが優しくふき取っていた

 

「わちき大満足!」


 うん、僕もクノエちゃんの可愛い食べ姿を見れて眼福だよ

 この子の食べ方って、小動物みたいですごく可愛いんだよね


 店を出ると、ホビットたちが何やら騒いでいた

 聞くところによると、いつも運ばれてくる物資が到着していないんだそうだ

 最近街道に変な魔物の目撃例があるので心配だと言ってる

 よし、ここは僕らで見に行くことにしよう

 ちょうどギルドでその依頼が張られていたので迷わず依頼を受けた

 

 外に出て、妖怪族の国カゲミヤまで続く一本道の街道を進んでいく

 すると前方から小さな人影が走ってくるのが見えた

 カゲミヤから戻って来た商人の一人らしい


「冒険者のかたですか? どうか、お助け下さい!」


 彼は僕らを見つけるなりそう言った


「何があったの?」


「はい、カゲミヤからこちらに戻ってくる途中で真っ黒な魔物に襲われまして、今護衛の方たちが応戦しているのですが、全く歯が立ちません。 急がなければ犠牲者が!」


「分かった。 すぐ助けに行くよ!」


 僕らは馬車を飛び降りて、風のようにその現場へと走った

 そこでは真っ黒な狼が今まさに倒れた護衛の人にその牙をかけようとしていた


「あぶない!」


 僕が結界をその人に張り、ギリギリのところで攻撃を防いだ

 黒狼は僕に狙いを変えて走って来る。 そこをカウンターのように魔法で迎撃した


「ホーリーレイ!」


 カウンターは見事に成功した

 黒狼は脳天を貫かれて倒れ、消えた


「死体すら残らないとは、面妖ですね」


 エンシュが狼の倒れた地面をさすって調べている


「た、助かりました」


 商人たちと護衛はどうやら全員無事みたいだけど、この先もまた襲われないとも限らないので僕らで護衛しながらポリオンへと帰った


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