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6 黒の国4

 リザードマンの国に入国

 素朴な感じで、国と言っても豪華な建物はない

 格闘家が多くて、世界でも有数の強者が集まる

 なんでも、年に1回格闘技の大会が行われ、そこで優勝すると、賞金にくわえて格闘王の称号がもらえるらしい

 その称号は世界でも指折りに強いと言われる称号で、誰もがそれを目指して修行をしている

 ここはそんな修行の総本山的な国なんだとか


「それにしてもリザードマンって男の人が多いんだね」


「いえ、女性も同じくらいいますよ。 ただ、リザードマンは女性を守るために男性が様々なことを行う種族です。 狩りはもちろん、家事も育児もです」


 イクメン

 しかも彼らは女性に優しいみたいで、徹底したレディファーストが行われている

 僕らが歩いていてもドアを開けてくれたり、道を譲ってくれたり

 なんだか少し恥ずかしい


「でも最近は女性も少しずつ社会進出をしてきていますね。 なんでも、格闘技大会で10大会連続優勝を果たした女性がいるからだとか」


 へぇ、そんなすごい人がいるんだ

 是非ともあってみたいな


「それはそうと、とりあえずおなかがすいたから何か食べようよ」


「はい、でしたらこの国は魚料理が有名ですね」


「いいね、魚」


 確かにそこかしこに魚の看板や、料理屋の看板が掲げられている

 その中に和食のいさりという看板が見えた


「あそこにしてみよう」


 中の様相は純和風

 畳の敷かれた座席とカウンタータイプの席

 座席に通される

 畳のいい香り、なんだか懐かしい


「おすすめはお造り、塩焼き、煮つけです」


 店員さんはリザードマンのお姉さんだ

 すらっとした切れ長の目の美人で、服は和装だ

 

「じゃぁ僕はこのウード鯛の煮つけ」


 ウード鯛はキンメダイに似てる魚、でもキンメダイと違って高級じゃない

 テュネはお刺身の盛り合わせ、エンシュは焼き魚の山もり (どれも大きい)

 フーレンはマリツオという魚のたたきで、このたたきはその名前の由来通り、塩を叩き込みながらまぶしている本格的なもの、アスラムはタコの姿焼き

 アスラムのタコ、すごく大きいな…

 で、クノエちゃんはトロラと言う魚の西京焼きだ


「お待たせしました」


 運ばれてきた料理はどれもこれも懐かしみのあるいかにもな和食

 食器も陶器で、料理を映えさせている

 顔を出さないけど、ここの料理人は日本人だろうね


「私の亭主の料理はどれも最高ですよ。 どうぞ、ご堪能下さいね」


 どうやらこのリザードマンの女性はここの店主の奥さんだったみたい

 

 煮つけを一口頬張る

 咀嚼すると、程よい弾力の白身魚で、味がすごく濃厚

 ご飯によく合う甘辛い味付けだ

 ふと左を見ると、エンシュがおしとやかながらも魚をみるみる胃袋に収めている

 すごい速さだ

 骨も食べてるみたい

 フーレンはたたきを口に入れてから動かなくなった


「ハッ、あまりの美味しさに~、ボ~ッとなってしまいました~」


 ボ~ッとしてるのはいつものことだけど、そんなにおいしいの?

 僕も一口もらってみた

 

「んまい!」


 口の中に広がる魚の油の甘みに程よい塩加減で絶妙な塩梅

 香ばしさも美味しさの相乗効果となっている

 これ、大当たりだ

 僕もこれにしておけばよかった

 まぁまた来た時に頼んでみよう


 テュネの刺身盛り合わせは新鮮な朝とれたばかりの魚を使っているらしい

 その中に、オレンジ色の刺身があった

 まるで鮭のような身

 テュネが僕にも一口食べさせてくれた


「リディエラ様、あ~ん」

 

 いや自分で食べれるんだけど…

 まぁいっか

 僕は口を開けて刺身を食べさせてもらった

 

「わぁ、これもおいしい!」


 生臭さは無くて、特有の甘い香り

 とろけるような食感

 お醤油とわさびがベストマッチ!


「こちらもどうぞ」


 アスラムがナイフとフォークでタコを切り分けて、テュネと同じように僕に食べさせてくれた

 これも美味しい!

 弾力があって、吸盤はコリコリ

 この世界のタコは始めた食べたけど、前世と変わらない味だね


「あなたたち、仲いいわね」


 クノエちゃんがニヤニヤ笑ってる

 いや、別にそういう関係じゃないからね


 すっかり食べ終わってお会計

 その時には店主らしき男性が顔を出していた


「どうでしたか? うちの亭主の料理」


「マイリ、お客さんに失礼だぞ」


「おっと、ごめんなさいね」


 この夫婦、仲がよろしいようだ

 イチャイチャはしていないけど、お互いを信頼しあってるのが分かる


「とても美味しかったです。 またこの国に来た時に今度はもっとゆっくり楽しませてもらいますね」


「口にあってよかったよ。 私は異世界から来たものでね。 この世界の人達に受け入れてもらえて本当によかったよ。 それに、こんな別嬪の妻をもらうこともできだしね」


「もう、別嬪だなんて」


 マイリさん、照れてる

 旦那さんの背中をベシベシとすごい勢いで叩いている

 うわ、痛そう

 旦那さんは時折ぐふぅ、がふっ、という声を出して少し困った顔をしていた


 店を出て、今度は妖怪族の国へ行く道を尋ねて馬車の停留所へ行った

 そこで、僕らは思わぬ再開を果たすことになった


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