6 黒の国2
エルフの国まで戻って来たけど、彼らは相変わらず僕らに尊敬の目を向けてくれる
そこまでしてくれなくてもいいのにってくらいにだ
「文献、ですか? それでしたら国立図書館に収められています。 お読みになられますか?」
事情を説明して読ませてもらうことになった
「それにしても、精霊様を襲うなど不届き旋盤。 私達エルフもそやつらを見つけ次第ご連絡いたします」
「ありがたいけど、危険なことはしないでくださいね。 相手は僕たち精霊と同格かそれ以上の力を持っていますから」
そう、もし見つけても僕たち以外は手を出しちゃだめだ
彼らが傷つくのは見たくない
文献を調べに図書館へ
よく手入れされていて、ほこりもない
虫干しされている本もある
その図書館の最奥にこの国最古の文献や本が貯蔵されている
その中に黒族についての記述があった
事態は数千年前のこと
魔王が一時期おとなしくなった時期があった
その時にまだ世界が出来たばかりのころに封じられた悪魔が復活したのだ
その悪魔を当時異世界から来たルーナと言う少女が闇を払うことで本来の黒族という姿に戻したとされている
だからこの国は彼女に感謝して国の首都と歴代の女王の名前に彼女を刻んだらしい
ここまでは話を聞いていたので知っている
この文献には続きがあった
本来の姿を取り戻した黒族は、静かに暮らせる土地を求めて世界を旅してまわったと書いてある
どこに行ったかまでは書かれてないなぁ
「あまり参考になりませんでしたね」
テュネもがっかりしてる
「仕方ないよ。 せめてどの方向に向かったのかでもわかればなぁ」
「それなら、確か西の方だったと伝え聞いています。 恐らく妖怪族の国辺りかと」
「妖怪族の国? たしか部族ごとに王様がいて、それぞれの種族が手を取り合って仲良く暮らしてるって妖狐族、九尾のクノエちゃんが言ってたなぁ」
そういえば、クノエちゃんにお守りをもらってたっけ
二人をつなぐって言ってたけど…
僕はお守りを取り出してみた
繋げるってどういう…
あ、お守りが光ってる
「どうした? リディエラ」
お守りがしゃべった!
「あれ? この声、クノエちゃん?」
「そう! わちきこそ超絶最強ナインテール美少女、クノエなのだ!」
「あ、はい」
「なによ、テンション低いなぁ」
あぁ、普段のクノエってこんな感じなのか
「で、何か用? もしかして会いたくなった? じゃぁすぐそっちに行くね」
「あ、いやそうじゃなくて」
通信が途絶えた
それと同時にお守りから光が溢れ人型になる
そこから現れたのはクノエ自身だった
「いやぁ、行事も終わって暇だったの。 遊びに行くなら付き合うよ」
「ちょ、ちょっと待って、話を聞いて欲しいんだけど」
「あ、そうね、まだ要件を聞いてなかった気がする」
せっかちだね
僕はこれまでの話を聞かせた
「なによ! 私の友達を傷つけるなんて許さない!」
すごく怒ってくれてるけど、炎が漏れ出ている
森に囲まれた国だから火はやめて欲しいかな
「で、黒族のことなんだけど」
「あ、あぁ、そう言えばうちの古い書物にそんな記述があった気がするわ。 読みに来る?」
「うん、そうしたい」
「じゃぁさっそく今から来なさいよ。 わちき含め妖狐族が歓迎するから!」
クノエちゃんも旅に加わり、妖怪族の国へ行くことになった
お守りの力で戻れないのか聞いてみたけど、一方通行らしい
あっちから来ることしかできない
まぁクノエちゃんは楽しそうだしいいか
というか、ものすごく引っ付いてきますねあなた
まさしくべったりと言った感じ
「それにしても、リディエラと一緒に旅ができるなんて、嬉しいぞ!」
「僕もだよ」
そう答えると、さらにべったりと…
まぁ、いいか
ルニサニアさんにお礼を言って、僕らは妖怪族の国へと出立した




