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精霊の国の危機3

 翌日、目を覚ました僕にもたらされたのは吉報だった

 ガンちゃんが帰って来たのだ

 彼はもう間もなくエルリウラ様が来ると言った

 ムラサメはきっと助かるはずだ

 キーラも治療魔法の使える魔族たちを派遣してくれている

 心強いな

 

 それからすぐにエルリウラ様が来てくれた

 魂の修復と言う神様の力でムラサメの傷を魂の底から癒していった


「これで危機は脱したよ! シルフェインちゃんの眷属、無事に巣食えてよかったよ。 あとは、みんな、治療魔法で魔力を分けてあげて」


 エルリウラ様の言われた通りに治癒魔法の使える精霊や魔族たちと協力して治癒魔法を一斉にかけた

 ムラサメは目を覚ます


「大丈夫かムラサメ!」


 ガンちゃんもよっぽど心配だったのだろう

 真っ先に抱き着いていた

 体格差のせいか、まるで人形を抱えているみたいだ


 ムラサメも立ち上がれるほどに回復し、無事危機を脱したみたいだ


「ごめん、私は力になれない。 今ので力使い果たしちゃって、結構限界。 顕現するのももう無理そう」


 エルリウラ様は力を使い果たしたみたいで、体を維持するのもきつそうだ

 母さん含め、僕や精霊たちが何度もお礼を言う中、エルリウラ様は帰ってしまった

 

 龍のリーダーは逃げている

 また攻めて来るのは目に見えているので、警戒はまだ解けない

 キーラの派遣してくれた魔族たちも交代で見張りをしてくれている

 

「私も、見張りします」


 ムラサメはそう言ったけど、まだまだ病み上がりの体だ

 僕と母さんが止めたことでしょぼんとしながらもベッドへと戻った


 それから数日が経った

 案の定、また龍たちが攻めてきた

 今度は前よりもさらに多く、一族全てがやってきているようだった


「今度は前のようにはいかん。 貴様らもこれで終わりだ」


 あれだけの大敗を期したというのに、この自信はどこから来るのだろう

 そう思っていると、彼らの後ろに別の大隊が見えた

 数は40名ほどと、龍より圧倒的に少ないんだけど、その雰囲気は異質だった

 全体的に服装の色は黒く、肌の色は透き通るように白い

 彼らからは龍たちよりももっと邪悪な気配を感じた

 

「あれは…。 どうして今…」


 母さんはおびえるかのように後ずさった


「クウダ、みてみなさい、堕ちた闇がいるから」


「ほんとだねミヤあいつらが僕らのご先祖を」


 母さんは震えていた


「母さん、あれは、一体何なの?」


 人の形はとっているが、人ではない何か

 そうとしか思えなかった


「あれは、闇。 かつて悪魔と呼ばれた黒族を操り、神々と戦争を起こした邪悪の塊です」


 闇? たしか前にも聞いたことが…

 でも、どこで聞いたのか思い出せない


「残念、ちょっと違う。 私たちはその眷属、闇であったご先祖様によって作られた。 そうね、闇人(やみうど)とでもいうべきかな」


「僕らはね。 ご先祖様の敵をとるんだ。 手始めにさ、元神様であらせられるあんたから殺させてもらうよ」


 闇人達のリーダーらしき二人はいやらしく笑った


「そんなこと、させない!」


 僕は母さんを後ろに隠すように彼らの前に立った


「邪魔」


 闇人が僕を払いのけるように手を振った

 そのとたん、何かに弾き飛ばされるように僕は吹き飛んだ


「はい、あんたは終わり」


 闇人の女が母さんを狙っている

 助けないといけないのに、僕の体は動かない

 今の一撃でエレメント体にまで響くほどダメージを負ってしまった


「やめ、ろ」


 手を伸ばすけど届かない


「させるかよ!」

 

 今度はガンちゃんが母さんを守る盾になった


「えいっ」


 お構いなしに黒い塊を放った

 それをガンちゃんが聖なる結界で受け止めたんだけど、受けきれなかった衝撃がガンちゃんを襲った


「ぐぅ、くそ、なんて威力だ」


 笑う闇人


「神様は無理だけど、お前らくらいなら簡単に消せるんだよ。 でも、その元神様は苦しめて殺す。 お前たちはその様子をただ見てるしかないんだよ」


 男の闇人が母さんの目の前まで一瞬で間合いを詰めた


「おらぁ!」


 傷を負った体でガンちゃんが男闇人につかみかかった


「邪魔しないでよ」


 そのガンちゃんの腹部に軽く拳を入れると、ガンちゃんはその場で崩れ落ちた


「さて、邪魔もいなくなったし、どうやって苦しめよっかなぁ」


 母さんに手を伸ばす闇人


「やめろ!!」


 僕は痛む体を動かした


「四大精霊!」


 テュネたちを召喚し、合図もなしに一斉に攻撃させた

 長年一緒にいる彼女たちにとって連携は造作もないことだ


「合成魔法! クワトロプロ―ジョン!」


 四つのエレメントを合成した彼女たち最大の魔法だ

 まばゆい閃光が辺りを包み込む


「な! 精霊程度のくせに!」


 光が戻ると、片腕を失った闇人の男の姿があった


「クウダ!」


「油断したよミヤ。 一時撤退だ」


「撤退だと! 今なら攻め落とせる! 俺は撤退などしない!」


 龍のリーダーは闇人に怒った


「四大精霊に聖竜、それに魔族や精霊の精鋭、そして王女が控えてるんだ。 ちょっと分が悪いんだよ」


「何を馬鹿なことを! この好機、逃す手はない!」


 龍は一斉にこちらに向かって襲い掛かって来た


「させるものか!」


 僕は力を振り絞って魔法を放つ


「合成魔法、エレメントレイン!」


 様々なエレメントを練り、合成し、雨のように降らせる

 一人で合成魔法を使うのはあまりにも危険だと言われたけど、これしかない、ここしかないと思った


「なんだと!」


 龍たちに降り注いだエレメントは正確に龍だけを撃ちぬき、リーダーを含めた全てを撃ち落とした


「ほーら、だから言わんこっちゃない。 私たちは逃げさせてもらうから」


「それじゃぁ元神様、今度は苦しんで死んでもらうから、それまで残り少ない生を謳歌しておくといいよ」


 闇人達は空間を裂き、その隙間へと入っていった


スローライフじゃなくなってきちゃった

ちゃんと戻すので、もうしばらくお付き合いください

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