2 獣人の国4
ミューニアを発ってから約半日、街道をゆっくりと歩いたため時間はかかったけどその分景色を楽しめた
もう間もなく隣町のワオニシアにつく。 既に街を囲う塀が見えてきた
門の前にたどり着くと、門番らしき犬耳の兵士たちがにこやかに対応していた
犬耳可愛い…
そんなことを思ううちにふと思いついた。 人間に化けれるなら他の種族にもなれるのではないだろうか?
そしてその考えは正解だった
人目に付かないところで僕らは獣人に化けると街に入る人の列に並んだ
ぴんと立った僕の犬耳、僕だけの犬耳、そして尻尾、ちゃんと筋肉も再現できているのかフリフリと尻尾を動かすことができた
意気揚々と街に入るとまずは少し見て回ることにした
まさに子犬と言っていいような小さな獣人の少年少女が駆けまわっている。 可愛い!
猫人の子たちもすごくかわいかったが、犬人も可愛すぎる
眼福とばかりにちっちゃな犬人たちを見、お土産物を売るショップを回っていると、とある喫茶店のような店が目に飛び込んだ
リンゴを使った料理専門店のようだ。 早速入ってみると「いらっしゃいませ~」と犬耳少女の元気な声が響いた
小腹もすいてきたので早速何か食べようとメニューを見てみると、一つの料理が目を惹いた
リンゴの炊き込みご飯、説明書きには砂糖とハチミツ、リンゴのエールと牛乳でお米を炊き、グラニュー糖とバターで炒めたリンゴをフランベしたものを炊ける直前にご飯の上にのせて炊き上げたものだそうだ
物は試しとばかりに一つ注文してみた
他にもリンゴのタルト、ケーキ、ゼリー、カスタードパイなどを頼んだ。 飲み物はもちろんリンゴのジュースである
それぞれを五人でシェアすると、まずはリンゴのタルトに口をつけた
口に含んだ瞬間広がるリンゴの甘い香りと焼きあがった香ばしい香りが非常によくマッチしていていくらでも食べれそうだ
次にケーキ、こちらはイチゴのショートケーキのリンゴ版みたいな感じで食べやすかった
シャクっとした生のリンゴの食感がとても気持ちよく歯を包んでくれる
お次はゼリー、切ったリンゴがゼリー内に浮かんでおり、スプーンですくってみるとラム酒の香りが鼻をくすぐった。 中のリンゴはシロップ漬けにしてあるらしく、甘さも程よく調整されていた
そしてカスタードパイ、リンゴのパイは食べたことがあるけど、カスタードが入ったパイは初めてだった。 カスタードの甘みがリンゴの酸味と調和を取り、相乗的にうまい!
そして、いよいよ、リンゴの炊き込みご飯だ
見た目は本当にリンゴの乗った炊き込みご飯のようだが、全体的にリンゴの香りがしており、ホクホクと湯気を立てていた
恐る恐る一口食べてみた。 その瞬間全身を駆け巡るリンゴの爽快感と美味しさ
甘いご飯に少し抵抗はあったものの、食べてみるとそんな不安は体を駆け巡るリンゴの風にかき消されてしまった。 考えてみればおはぎ、牡丹餅もご飯をあんこでくるんだものなんだから甘いものが合わないわけがない。 先入観なんて捨ててしまおう
そんな感じでリンゴ料理に舌鼓をうちつつ満腹になった僕らは再び街に繰り出した
次は宿を探すつもりだ。 お金なら結構ある(母さんが旅をするならと結構持たせてくれた)ので少し高い宿にしようか、それとも極力節約するため安い宿にしようかと迷っていた時、ふと目についた宿があった
ドゥギードゥーと書かれた看板にすいこまれるようにして入ってみると、中は手入れが行き届き、犬耳と猫耳の少女が接客していた。 この二人は姉妹で、父親が犬人、母親が猫人なんだとか
その両親も奥の調理場とカウンターに姿が見えた
二人とも人のよさそうな優しい顔をしている
なんだか雰囲気がとても心地よかったのでこの宿にすることにいした
値段も一般的な宿より安く夕飯と朝食がつくので良心的である
チェックインした後はしばらくまた街の観光をして妖精たちへのお土産を買い、宿に戻って夕飯をいただいた
出た料理は魚の香草焼きと野菜炒め、魚は白身魚で塩加減が絶妙、油も乗っていて口の中でほどけてとろける。 野菜炒めは野菜の甘みを存分に引き出している。 ここの親父さん、すごく料理がうまい
こうして大満足のうちにその日はベッドにもぐりこんだ
五人全員は一部屋に収まらなかったので二部屋に分かれている
僕とテュネ、ほか三人という分け方だ
手入れされてほのかに花の香りのする布団にもぐりこむとすぐに眠りについてしまった
翌朝すっきりした気分で起床、今日は観光名所を聞きそこに向かう予定だ
リンゴの炊き込みご飯はとある番組で見たものです
めっちゃ美味そうだった




