5 魔族の国19
ホラーハウスをクリアして外に出ると、中にいた人?たちが拍手で迎えてくれた
モニカさん、エリナさん、トモエさんもそこにいる
結構恐ろしい光景なんだけど、みんな笑顔だから何とか大丈夫
エンシュの顔は引きつってたけどね
「おめでとうございます! あなた方は七組目の攻略者です!」
花束と拍手
恥ずかしいけど心地いい
「また来てくださいね~」
最後にエルナリア姫が手を振ってくれた
今度はアトラクションとしてじゃなくて友人として遊びに来るとしよう
友人としてなら怖がらせないよね?
大丈夫だよね?
街に戻ると時間は夕食時だった
さて、ご飯処を探すとしよう
この町の名物は熟成肉だ
短いもので数ヵ月、長いものだと数十年なんてものがあるらしい
腐ってるんじゃなくて熟成
チーズや鰹節みたいなものらしい
表面に体に影響のないカビを繁殖させ、中身を熟成させてうま味を出す
「熟成肉を出すお店が多いですね」
「ステーキ、焼き肉、やっぱり焼いてるのがいいね」
というわけで、一番人気だというステーキ屋さんに入った
入った瞬間漂う肉の香り
なんて良い匂い
香ばしい香りが鼻をくすぐる
「もう涎が止まらないです」
エンシュ、肉好きだもんね
「いらっしゃいませ~」
ん? あれ?
この声…
「またお会いしましたね~」
なんでエルナリア姫がここに?
「ここ、わたしがオーナーのお店なんですよ~」
「そ、そうなの? びっくりした~」
どうやら僕たちがここに入るのを配下のアンデットさんたちに聞いてテレポートしてきたらしい
「なんでも~、お好きなものを頼んでくださいですよ~。 お金はいただきますけど~」
うん、払います
さて、メニューは…
「熟成肉のステーキは300gからかぁ、大きいね。 食べきれるかな?」
「食べきれなかった分は私がいただきますよ」
「いえ私が!」
「なに言ってるんですか~。 私がもらいます~」
「ハハハ、寝言は寝てから言いましょうね」
何やってるんだこの四人は
とりあえず、僕は一番小さいイサイズの300g
テュネとアスラム、それにフーレンは500g
エンシュに至っては5㎏
5㎏!?
なんてお姉さんだ
細いあの体にこれが入るのだろうか?
数分で焼きあがったお肉が出てきた
良い匂い
おっとよだれが
ナイフとフォークを手に、ナプキンを胸にいざ臨戦態勢
お肉にナイフを入れると、意外なほどあっさり切れた
切れたお肉を口にほおばる
肉のうまみ凄い!
一噛みごとに味が広がっていく
普通のお肉よりもうま味が多い気がする、というより多い
お塩だけで十分においしい
でも、これには付けダレがついている
もちろんそれに浸して食べてみた
「ウマー!」
思わず声が出る
あぁ、お肉とタレのハーモニー
夢中で食べ進んで、あっという間に食べきった
お腹いっぱ…
あの、エンシュさん? そのお皿の量は何でしょう?
エンシュの目の前にお皿タワーが建てられている
5㎏のお肉を一体何枚食べたんだ
20枚ものお皿を空にしてようやく
「ふぅ、非常においしかったです。 久しぶりにお腹がいっぱいになりました」
おしとやかに笑ってるけど、店にいるすべての人があっけに取られていた
一体その細い体のどこに100㎏ものお肉が消えたんだろう?
お腹、膨らんですらいない
「すごいですね~サラマンダー様。 この店の専属キャラクターになりませんか?」
エルナリア姫がそう言ってるけど、目立つわけにはいかないのでお断りした
エンシュはお肉食べ放題の魅力に負けそうになってたけどぐっとこらえたみたいだ
「お代ですが、うわ~、結構なお値段ですね~」
「で、でしょうね」
まぁ結構持ってるから大丈夫
テュネは財布を開いた
「リディエラ様、これでお金がほぼ無くなります。 明日は街のギルドでお仕事を探しましょう」
しょうがないよね。 よし! 明日のためにも今日は早く宿に帰って寝よう
「毎度アリ~ですよ~」
エルナリア姫がアトラクションクリア記念でなんと3割引きにしてくれた
さすが姫、太っ腹
「リディエラ様、また来てくださいね。 精霊様のお友達になれるなんて思ってもみなかったです~」
「じゃぁ僕のことは呼び捨てにしてよ。 僕もエルナリアって呼ぶから」
僕たちは握手をして別れた
連絡用のオーブもあることだし、いろいろとお話もしよう
さて、明日はお仕事だ
頑張ろう!
実はご飯や食事は私が食べたいものだったりします




