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ただのにゅうしつ

哲也と鹿島は病院に車で乗り付けた。時刻はそろそろ夕刻を指している。

「ここの病院に入院しているみたいです。」

鹿島が運転席から降りながら話す。


「その被害者の名前は?」


「名前は青葉あおは 隆平りゅうへい、年齢は17歳ですね。塾の帰りに何かに襲われて、逃げている最中に車に轢かれたそうです。」


「そうか。何か犯人に繋がる証言があれば良いんだがな。」

2人は病院の受付に行くと、青葉あおは 隆平りゅうへいの病室を聞きに行く。


警察手帳を出しながら、「事件の捜査をしているのですが、青葉あおは 隆平りゅうへい君の病室はどこでしょうか。」と、哲也は受付の看護婦に確認する。


「事件の捜査ですか?ああ、はい。あの子ですね。ご案内致します。矢島さ~ん、受付を少しお願い。」


看護婦は後ろに居た別の看護婦に声を掛けて、受付から出てくる。

「伊藤と申します。それではご案内致します。」そう言いながら、パタパタとサンダルの音を出して先を歩く。2人はその後ろをのそのそとついて行くのであった。




 伊藤は2人を案内しながら話しかける。

「彼、こちらに搬送された時、酷い状態だったんです。」


「酷い状態ですか?」

哲也は聞き返す。


「車に轢かれたので体はもちろんなのですが、それよりか精神状態の方が深刻でした。彼が搬送されてから3日間は、ほぼ錯乱状態でしたの。何でも化け物に襲われる、とか一日中叫んでました。」


「その化け物のことを、”黒男(クロオトコ)”とか言っていませんでしたか?」


「ええ、そんなことも言っていました。ようやく最近になって、かなり安定してきたみたいです。少し前までは、お友達が来てもすぐに錯乱していましたから。」


「大変でしたね。」


「これも仕事ですから。」

伊藤は微笑みながら言葉を返す。


「こちらが彼の病室です。」

伊藤はある個室の前で立ち止まる。


「彼、今は安定していますが、急に錯乱し始めるので、話を聞くのは出来るだけ短くお願いします。」


「ええ、分かりました。」


「では、失礼致します。また何かありましたらナースコールでお呼びください。」

そう伊藤は言うと、来たときと同じように、パタパタとサンダルの音を響かせながら消えていった。


 「よし、じゃあ入るぞ。」

哲也が病室の扉に手を掛けた。


扉を開けると、右足が吊られ、腕にギプスをした少年が夕日に照らされながらベットで寝ていた。


「君が青葉あおは 隆平りゅうへい君だね?」

そう哲也は優しく話しかけながら、ベットの脇の椅子に座るのであった。

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