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ただのまどうしょ

 哲也はその黒い本を開く。開いた瞬間、本からヘドロのような臭いが立ちこめる。


「これは英語か...?」

哲也は本を開くと1人つぶやく。


「いや、ラテン語みたいですね。」

横から鹿島が本を覗き込んで答える。



「鹿島、お前読めるのか?」




「いや、読めませんよ?ただ、よく映画に出てくるので分かっただけです。」



「なら、あまり意味ないな。」

そう言いながら哲也はパラパラとページを捲ると、あるページにメモが挟まれているのを見つけた。




 メモには「気高き主」と一言だけ書かれていた。

そのページの挿絵には、蠅のような化け物が、人間を喰らっている様子が描かれていた。

そして、その次のページを捲ると、魔方陣に横たわる人間にナイフが突き立てられている様子が描かれていた。


「この挿絵の魔方陣は...居間で見たやつと同じだな。娘がこの黒い本の儀式をしたということか。」




「この挿絵から見て、ベルゼブブに関連した儀式みたいですね。」

鹿島が横から口を出す。

「気高き主っていうのも、”悪魔”ベルゼブブの別名ですから。」



「お前、詳しいな。とりあえず、これは専門家に見てもらうか。これは証拠保管箱に入れておいてくれ。」

哲也は本を閉じると、鹿島に渡す。



「ええ、はい...うおっ」

鹿島が本を取り落とす。



「おい!何やってるんだ!」



「いや、これ何か、指を挟まれたんです...」



哲也はいぶかしみながら裏表紙を良く見てみた。


「うっ」

哲也も呻く。

その裏表紙には、顔があった。人間の顔の皮膚を使った、所謂人皮本であった。


「悪趣味が過ぎるな...」


そう言いながら、哲也は改めて、この本を証拠保管箱に入れた。



「とりあえず、ここの娘のDNAを持って帰って、今までの証拠と比較するぞ。」



そうして2人は他の証拠がないものかと、部屋の探索を続けるのであった。

少しして、ここの娘である鍋島 めぐのDNAと、今まで殺害現場で採取された虫のDNAとが一致したことが報告された。


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