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ただのようぎしゃ

 哲也と鹿島が現場に到着した時には既に、鑑識と同じチームの人間がその現場である一軒家の調査をしていた。


「何があったんだ?」

哲也は1番近くに居た顔なじみの仲間に尋ねる。



「テッちゃん、中を見れば、見れば1発で分かるよ。」

そう言いながら、その家の居間へ2人を案内する。

廊下を見ると、何か黒いタールのようなものが乾燥して続いていた。




居間には、白骨化した死体が2体あった。それもばらばらにされ、綺麗に整理されて置かれていた。

居間の床には何かの記号の様なものが書かれており、廊下の黒い跡はその記号の中心から続いていた。

そして、黒い跡を見ると、ミルワームやその成虫であるゴミムシダマシの死骸が混ざっていた。



 「何か、呪術的な儀式でもしたのか...?」

哲也はそうつぶやく。鹿島の方は、仲間と少しばかり話し込んでいたかと思うと、すぐに哲也の元へ来た。



「テツさん、ここの家族のことなんですが、鍋島(なべしま) (ひろし)58歳、妻は秋江(あきえ)52歳、長女 めぐ29歳の3人家族だったみたいです。」



「発見状況は?」



「近くで遊んでた子供が、庭に入ってしまったボールを取りに来たら、カーテンの隙間から見えてしまったそうで。」



 哲也は白骨死体を観察しながら、鹿島に尋ねる。

「近所の人間は、ここの家族をどのくらい見ていないんだ?」



「あまり、近所と交流がなかった家族みたいなんですよ。最後に見たのは去年の夏ぐらいだとか。」



「この事件、2つのパターンが考えられるな。」



「2つのパターンですか?」



「1つ目は家族3人でこの儀式をしてどこかに雲隠れしたパターン。そしてもう1つは2人の家族を残った1人が殺したパターンだ。そして恐らく今回は後者のパターンだろう。」



「何故です?」



「仏さんの頭蓋骨を両方共見てみろ。どちらも正面からかち割られているだろう?被害者が後ろから攻撃されていないから恐らく、犯人は身内の誰かだ。」

「たぶん犯人は娘だろうが。」



「何で娘が犯人だと言えるんですか。」



「片方の頭蓋骨を見ると、頭骨の形から男だと分かる。それに歯がヤニでよごれているからな。もう片方は頭骨の形からいって女だろう。」



「しかし、それだけでは母親か娘かどちらかか分からないのでは?」



「こっちに来て歯をよく見てみろ。金歯が何本もある。金歯をするのは大体年配の人間が多いからな。」

そう哲也と鹿島が検証していると、二階を捜査していた顔なじみの仲間から2人は呼ばれた。


 「テッちゃん、気になるものを見つけたから、見に行ってくれないかい?」


「何を見つけたんだ?」



「恐らく、娘の日記と...」

「なんかの魔道書みたいなのを。」


その言葉を聞き、鹿島と哲也は顔を見合わせると、二階へと上がっていった。



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