英雄章
ある本の一節です。
読まなくても大丈夫ですが、読んだ方が内容が分かりやすいと思います。
昔々……
剣を使う者と魔法を使う者は対立していました。
お互いに領域があり、目に見えない壁が両者の心を分けているのでした。
あるとき、魔法を扱う動物が現れます。
人々はそれをこう呼びました。
……「魔物」
と。
魔物は動物を圧倒し、気づけば動物は魔物よりも少なくなっていきました。
動物が減ると今度は人間にも手を出し始めました。
人々は魔物の長である魔王を倒すことで魔物の力を抑えようと考えます。
しかし、
剣を使う者が倒そうとしても魔物の動きを止められず、
魔法を使う者が倒そうとしてもトドメを刺すのには至りません。
人々は絶望しました。
あるとき、一人の少年が立ち上がります。
少年の名前はクリア。
剣の才能に長けた少年でした。
少年の知り合いは全員反対しました。
お前一人では勝てないと。
しかし、そんな事は物ともせず、クリアは旅に出ます。
またあるとき、別の領域でも少年が立ち上がりました。
魔法の才能に長けた少年、ソレイ。
二人は出会い、時に喧嘩をし、ぶつかり合いながら成長します。
そしてついに二人は魔王を倒すことに成功するのでした。
動きを制御でき、援護もできる魔法と
トドメを刺すことに優れた剣。
今までの常識を覆した瞬間でした。
人々は二人を勇者として祭り上げ、
二つの領域は無くなりました。
それから大人になった二人は二つの国を建ちあげます。
剣を使う金の国。
魔法を使う銀の国。
両者は永遠に友情を誓い合い、
それは二人が亡くなった世界でも続いています。
金国初代国王 クリア・ゴールド・フェンデアード
銀国初代国王 ソレイ・シルバー・シルエード
英雄章第十章より