1.美奈にララバイ
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尚美と拓也と美奈の恋を、暖かく見守ってやってください。
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では本編へどぉぞ→→→
1.美奈にララバイ
「メールしてよね」
「うん」
「電話もしてよ?」
「うん」
目の前で、今にも泣き出してしまいそうな美奈。
そのうるんだ瞳に映る、同じように泣き出しそうな私。
間も無く発車すると、ホームのアナウンスが流れた。
「困ったこととかあったら、すぐに連絡しろよ」
言いながら、美奈に荷物を渡す拓也。
「ありがとう」
美奈は、ゆっくりと電車へと乗り込んだ。
「二人も、また遊びに来てね」
「うん、絶対行くから」
私の言葉に、安心したように美奈は目を少し細めた。
「元気でね」
プシューという音をたてて、電車の扉が閉まった。
美奈と私達を隔てるようにして。
「…美奈!」
走り出す電車を追い掛けようとした私を、拓也が腕を掴んで止めた。
「美奈!」
行ってしまった幼馴染み。
別れの最後は、美奈の優しい笑顔だった。
「いい加減泣き止めよ」
駅の近くにあるファーストフード店。
その禁煙席の隅の席で、私と拓也は向かい合うようにして座っている。
「別に一生会えないとかじゃねえんだからさあ」
言いながら、ケロリとポテトを一本食べる拓也。
「なんであんたはそんなに平気な顔してんのよ」
「なんでって、別に平気なわけじゃ」
「北海道よ?!美奈が北海道に行っちゃったのよ?!」
「そうだな」
「そうだなって…幼馴染みがそんな遠くに行っちゃって寂しくないわけ?!最低!この薄情者!」
一通りけなしてやって、またわーんと子供のように泣き始める。
そんな私を、困ったように見る拓也。
そう。
私達は幼馴染みなのだ。
私、宮崎尚美と、今目の前でポテトを食べている木高拓也。
そして、北海道へ行ってしまった笹塚美奈。
小学校からいつも一緒で。
それが当たり前だった。
勿論これからもそうだと思ってた。
それなのに。
未来なんて、ほんと何が起こるか分からない。
「尚美」
「…なによ」
「そんなデカイ声で泣いたら目立つ」
「なっ…!」
に言ってんのよ!って怒鳴ろうとしたけど、周りからの迷惑そうな視線に気が付いて、その言葉をぐっと呑み込んだ。
「尚美」
「もうほっといて」
「ハンカチ」
言われて顔を上げると、拓也が紺のハンカチを差し出した。
「尚美にはまだ俺がいるだろ」
「ふん」
拓也のクサイ言葉を鼻息で吹き飛ばして、ハンカチを受けとる。
「たく。可愛くねえの」
呆れたように少し笑って、拓也はまたポテトに手を伸ばした。
わたしはその言葉に少しイラっとして、拓也のハンカチで思いきり鼻をかんでやった。