千年前のプロローグ
初投稿です。よろしくお願いします。
目を開けると、星空が広がっていた。
「ここは?」
ボンヤリする頭を抱えながら起き上がる。ふと視線を下ろすとボロボロに腐った死体の腕と足が見えた。 「うわっ!なんだこりゃ!」
咄嗟に後ろに下がると死体の腕と足も一緒についてくる。
「何でだ!あれ、これって・・・」
右腕を動かそうとすると目の前の右側の腕が動く。左足を動かそうとすると目の前の左側の足が動く。
「ひょっとすると俺の腕と足か?」
次に自分の顔を触ってみる以前とは違うカサリとした軽い、およそ生物の物とは思えない感覚。
「まさか・・・そんなこと。」おそるおそる近くにあった水溜まりを覗きこむ。そこで俺が見た物は記憶にある自分の顔とはまるで違っていた。皮膚は腐りボロボロになり頭には僅かな頭髪がこびりつき、虚ろな目には生気が全く感じられない。俺の目に写ったのはまさに映画やRPGで見るゾンビそのものだった。
「嘘だろ!まさか俺死んだのか?確かになんか車に轢かれた記憶あるけどまさかあれで?ドッキリとかじゃなくて?あれ、でも・・・」
よく考えてみると、いやよく考えなくてもこの状況はおかしい。
「普通人間って死んでもゾンビにならないよな?」
明らかな異常、さらにさっきから感じる露骨な違和感。
「てか明るすぎないか?今、夜だよな」もう一度、空を見上げる。それは、子供の頃から知っていたものとは明らかに異なっていた。
「まさか、ここって異世界?」
空に浮かぶ二つの月の下で起き上がったばかりのアンデッドは呆然と呟いた。
「落ち着け。落ち着け俺。」
無い頭を必死で振り絞って今の状況について考える。って今の俺は本当に脳味噌がないんじゃないか?
「いや、そんなこと考えてる場合じゃ無いだろ。そもそも何なんだこの状況は。」
そもそもここは本当に異世界なのだろうか。交通事故とゾンビ、それに二つの月というそれっぽいシチュエーションのせいでそう思ってしまったが実は2つの月がある惑星とか夢とかそんな可能性も有るんじゃないか。このリアリティー的に夢落ちはない気はするが。
「そもそも異世界なら天の声とか神様とかそんなナビゲートが有るんじゃないのか?」
ここが何処かも分からず案内も無し。かなり絶望的な状態だ。
「まあ一度死んだ身だ。出たとこ勝負で行ってみるか。」
2つの月に照らされた墓地の真ん中で、後の史上最悪のアンデッドの物語が始まった。
種族 ゾンビ
レベル 1
スキル
半不死レベル1
死亡してもかなりの時間を掛ければ復活できる。
弱点属性の攻撃を受けた場合やダメージが大きすぎた場合はその限りではない。
ゾンビレベル1
倒した相手をゾンビにして使役できる。(ステータスは劣化する)
かなり弱い相手にしか効かない。