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2話 猫狩りだーーー!!

 男がそう言うと目の前がまた真っ暗になる。しばらくするとまた明るくなり、話し声が聞こえてくる。


 目を開くとそこはさっきまでいた空間ではなく中世のヨーロッパみたいなファンタジー的な街の中を沢山の人が行き交っていて賑わっている。


 しかし、その中に数万人の俺達プレイヤーが街にいるNPCに重ならないように突如現れた。


 NPCはチラッと見てたり見なかったりするくらいで驚いたりしなかった。


 さすがVRMMOだと思う。周りに見える建物や行き交う人々、どれも現実とそっくりだ。前もってVRMMOと知らなければ現実と勘違いしそうである。


 うーん、これからどうしよっか。ログアウトは出来ないし、この世界で死ぬと現実でも死んでしまう。


 まずは情報集めかな。いつもなら攻略サイトなんて見ないのだが今回は絶対に死んではいけない。


 最初は攻略サイトでも見てみるか。





 どうやらこのVRMMO『RO』にも職業が存在するようだ。Lv10になると選べるらしい。職業を選ぶと職業Lvというのがあり、その職業Lvが上がるとその職業にあった効果は付与されたり、技や魔法を覚えるらしい。Lvがあがる条件は本体のLvが上がる条件と同じだそうだ。


それと武器スキルというのもあり、これも武器スキルLvが上がるとその武器系統に関係する効果や技、魔法を覚えるそうだ。このスキルは本体Lvと同じ条件+その武器を使えば使うほど経験値がたまりLvがあがるそうだ。


あと、『RO』には称号というシステムがあるらしい。称号は条件をクリアすると手に入ることがある、称号によって条件をクリアすると100%の確立で手に入るものもある。称号にはLvと効果があり、本体のLvと同じように敵を倒すと経県値が手に入り一定以上になるとLvがあがり、効果が高くなっていったり、あらたな効果が付いたりする。稀に技や魔法を覚えることもある。


 HPはヒットポイント、敵などから攻撃を喰らうとHPゲージが減少し、HPゲージが0になると死ぬ。CPはチャージポイント、技や魔法を使うときに必要になる。技や魔法によって消費する量は変わり、CPが0になったとしても死んだりはしない。


 大体こんなところだろう。


 せっかくだし敵と戦ってみるか?


 サイトを見たところこの街の周りにはいろんなフィールドがあり、東のフィールドが初心者Lvの敵しか出ないらしい。

 

 なら東のフィールドでもいってみようか。


 俺はログアウト出来ない、この世界で死ぬと現実でも死ぬという事を聞いてこの場所に来てからもギャーギャー騒いでいるプレイヤーの間をサクサクの縫うように通り抜けて東のフィールドを目指した。



  



 街の東の門を通り抜け東のフィールドにやってきた。東の門を通り抜けると人工的なものが何一つ見えない自然が広がっていた。見える景色の半分位が草原でもう半分位が木が生い茂っており林や森になっていた。


「よし、いくか!」


 草原をすこし進むとすぐに敵が現れた。敵の頭上にはHPゲージが表示されている。敵の見た目は小さい猫?だ。


 は?と言いたくなるかもしれないがどう見ても小さい猫だ。チーターや虎には全然見えない、むしろ普通の猫より可愛いと思えるほどだ。


「まぁ、仕方ないか」


 なにが仕方ないか分からないが俺はそうつぶやくと小さい猫に近づき初期武器の鎌を振りかぶり、振り下ろす。


 振りおろされた鎌に斬られた小さい猫のHPゲージが半分より少し多い位まで減っていた。


「さすがに一撃じゃ死なないのか」


 もう一度振り下ろされる鎌。


 ザシュと言う音と共に小さい猫のHPゲージがあと少しというところまで減っていた。


 あれ、さっきから小さい猫何もしてきていない気がする。逃げもしないし、攻撃したりもしない。


 初心者Lvだからなのか?


 攻撃したり逃げたりしないというのはこっちにとってラッキーなことだし気にしないでおこう。


 俺は小さい猫に鎌で3回目の攻撃をして止めを指した。


 小さい猫のHPゲージは0になり小さい猫はいくつかの光の玉になり消えていった。


 小さい猫が消えると同時に『ポーン』という電子音が鳴り響いた。


 頭の中に画面を出すように念じる。そこで俺はステータス画面を表示して見てみた。


【クー:Lv2】

職業無し


装備

・錆びた鎌

・布の服

・皮のサンダル


武器スキル/鎌Lv1


称号

無し



 どうやらLvが上がったらしい。


 しばらく此処で猫狩りをしようではないか。


 俺は東のフィールドにいる小さい猫狩りを始めた。




 数時間は狩っていただろう。空を見上げると空は既に黄昏始め、一日の終わりを告げていた。俺は先程まで振り回していた錆びた鎌を肩に担ぐ。数時間の内に小さい猫を狩れるだけ狩った。敵が攻撃してこないというラッキーがあり、HPは無傷のままで済んでいる。


 数時間狩りのみをしてきたこともあってかLvも4つ上がっていた。Lvが4つ上がったことにより現在のLvは6である。6LvになるとなかなかLvがあがらなくなってきた。恐らくだが、小さい猫のLvが5位で、そろそろ次の敵と戦ってもいいかもしれないと思っている。


 武器スキルも2つあがってLv3になった。新たな技は覚えはしなかったものの、鎌での攻撃時ダメージ3%UPと言う効果が付与された。ダメージ3%UPって結構でかいと思うんだよね、それにLv3で3%って事は1Lv上がるごとに1%ずつ増えていくってことなのか?


 そうそう、敵を倒すとイベントリの中にドロップアイテムが自動で入れられるんだけど今回倒した小さい猫からは小さい猫の皮という素材を57個も手に入れました。

 

 あと、敵を倒してもお金は手に入らないということが分かりました。お金が欲しいなら手に入れたアイテム(素材)を売れ!ってことだと思います。


 薄暗くなってきている草原に一人で思考の湖に浸っていると不意にぐぅ~となんとも恥ずかしい音が自分の腹から聞こえてきました。お腹はすくみたいですね。この分だと睡眠や疲労などもありそうですね。


 お腹もすいたことですし街に戻って宿にでも泊まりましょうか。


 俺は薄暗くなってほんの少し不気味な草原を少し早足で街を目指して歩きだした。別に薄暗いのが怖いから早足とかじゃないんだからねっ!!ただ、お腹が……そう!お腹がすいて早くご飯食べたいだけなんだから!!……うっ、自分でやると吐き気がする。まぁ、他人がこんなキャラでも余り好きじゃないけど。


 すいません、今のことは忘れてください。


 とにかく、俺は街を目指して歩き出した。



 次の日、俺は東の初心者フィールドにある草原からさらに東に進んでいた。


 昨日と同じ小さい猫を狩らないのには理由がある。その理由はLvは上がるが戦闘経験が全くと言っていいほど鍛えることができないからだ。攻撃してこない小さい猫では俺のステータスや技などの強さではない強さを鍛えることができないし、Lvも小さい猫よりも強い敵と戦ったほうが効率よく上げることができる。


 そういった理由から違う敵を探すことになり、探していたのだが昨日みたいな街のすぐ近くでは小さい猫しか居なかった。なのでもうすこし遠出してみようと思ったのだ。


 そして俺は東へ、東へと進み気が付くと森の中に居た。いや、ここに来るまで小さい猫以外一度も出会ってなくてもう少しすすめば違う敵がいるはずと思いここまで来てしまった。そして迷ってしまった。


「はぁ……。どうしよう……帰り道がわからん」


 東へ東へと進んでいたのだが今ではどの方角が東なのかもわからない。太陽は森に生い茂る大樹によりほとんど見えないから太陽で方角を知ることはできない。


「仕方ない……適当に進むか。いつかは抜け出せるはず」


 俺はそう言うと適当な方へ向かって歩きだした。だがその向かった方角は東であることは誰も知らない。


 

 俺は歩きながら周りに生い茂る大樹に目をやる。大樹は樹齢何年だよ!!と言いたくなるような大きなの大樹が何本も生えている。もちろん大樹だけではなくその周りには草が生い茂っていたり、大樹に蔦が絡まっていたりと、自然ハーレム状態である。


 さらに歩くこと数十分、遠くにギリギリ見える程度の大きさの人型のシルエットが見えた。そのシルエットに人間であることに希望を込めながら駆け足で近づいていく。


「すいませーん! ちょっといいですか?」


 そこに居たのは杖を持った老人だった。頭は見事な輝きを放ち日の入り込まないこんな森だというのに眩しい位光っていた。


「これはこれは、冒険者様ではありませんか。なに、何も言われなくても言いたいことはわかりますぞ。場所はあっちの方角に進むとたどり着きます」


 俺が見事な輝きを放つ老人に訪ねようとすると老人は言いたいことは分かっている、それはあっちにいけばたどり着くとまだ何も行っていないのに場所を教えてもらった。


「ありがとうございます!」


 俺は礼を言って教えてもらった方向へ走って突き進む。





 最初の2日間位は敵は一回も現れなかった。しかし2日目位に食料が底をついて空腹に耐えながら森を歩いていた。すると今まで現れて来なかった敵が現れたんだ。


 その敵の見た目は犬で空腹で今にも倒れそうな俺を見つけるとすぐに襲いかかってきた。俺は腰の革ベルトで固定している鎌を構え襲いかかってきている犬にタイミングを合わせて力の入ってない腕で鎌を振り下ろす。


 すると犬はなぜか一撃でHPゲージが全てなくなり光の玉となって消えていった。

 俺は犬が何をドロップするのか確かめるためにイベントリを開き確認した。


 イベントリ

・小さい猫の皮×24

・生肉×2


イベントリの中には初日に狩っていた小さい猫の皮×24個と生肉×2個が入っていた。どうやらあの犬は生肉を2個ドロップするらしい。いつもならば大して使い道のない生肉だが今は違う。


「これって食べれる気がする…」


 そう、俺は今ドロップした生肉を食べようとしている。現実では生肉や生魚(刺身や寿司)、野菜が苦手で食べたりなんてしたことがなかった。現実ではそれ以外にも食べるものがあった。しかし今は違う。今は生肉しか食べれるものはない、ならば食べてみようと俺は思いイベントリから生肉を一個取り出してみる。


「え? 生肉でかっ!!」


 イベントリから取り出した生肉は思ったよりもでかかった。それは食べれる量が増えるということだ。

俺は出てきた生肉を掴み大きく口を開けて少しでも多く食べようとする。

 生肉を噛みちぎると血がブシャァっと飛び散るが俺は気にせずに生肉を食べ続ける。


 生肉は数十分で跡形もなく俺の周りに赤い染みを残して無くなった。


「生肉って結構おいしかったな。よし、また出口目指して歩くか」


 俺はそう言うと立ち上がり、服についた土を払い落とし、2日位前に出会った老人の教えてもらった方へ歩き出す。



『ポーン』 

 Lvが上がったことを教えてくれる電子音が聞こえる。


「ふぅ、やっと10lvか」


 そう言うと俺は光の玉になって消えていく犬を見ながら鎌の手入れをしていく。


 俺はいまだに森の中にいる。多分2週間位迷っていると思う。寝る所はないから野宿だし、飯も街に戻ったときに買っていたものが少しだけあったが2日目位にすぐ底をついた。だが俺はさっき倒した犬のドロップによって生きている。


 そういえば確か10Lvになると職業を選べるんだっけ。


『おめでとうございます。10Lvになりましたのでこれからの職業を選んでいただきます』


 突然頭の中に女性の声が聞こえてきた。その声は再び聞こえてきた。


『職業には職業Lvがあります。職業は何度でも変更出来ますが、一度変更されると職業Lvは初期化されます』

 

 聞こえてきた声の内容は攻略サイトで知っていたものもあったが知らないものもあった。職業は何度でも変えることが出来るが一度帰ると今まで育てた職業Lvが初期化される。つまり、最初Aという職業でAの職業Lvを上げていたがBに職業を変更し、再度Aに変更するとAの職業Lvは初期化されてLv1に戻るということらしい。


『では、どの職業に就きますか?』


 頭の中に聞こえてくる声はそう言うと頭の中に選択肢が沢山出てくる。


 この選択肢は俺が就くことができる職業だろう。


 俺が就ける職業は戦士、ランサー、アーチャー、ウィザード、僧侶、錬金術師、鍛冶屋、……。

 多すぎる。だけど、ランサーとかアーチャーって俺槍や弓もってないんだけど。それでも転職できるんですか?


 俺はそう言いながらオレが就ける職業の選択肢の下へと下げていく。


 すると、付与師と言う職業を見つけた。なんとなく俺は付与師の詳細を開いた。


・付与師…自分や味方に支援魔法を掛ける。支援魔法には攻撃力UPや回避UPなどがある。付与師は人を強化する職業であり、武器などには付与する事は出来ない。ただし、自分の武器に一時的なものならば可能である。


「おぉ、なんか面白そうだ。それに戦士とかにならなくても戦えるしそれなら支援魔法で自分を強化したほうが効率がよさそうだ」


 俺はそう言うと迷わず付与師を選び、付与師になった。


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