恋ワズライとは死に至る病である
部活が終わって、帰り道。
空は夕焼け、学校の近くだから、私たちと同じ制服を着た人たちばかりだった。
私と、ハーフアップの華恋はコンビニでフライドチキンを買い、自転車置き場で食べていた。いつも、部活が終わったら、私がここにこれば、少し遅い華恋が来てくれて、2人で少し話して帰る。
その、3メートルほど横に、華恋の好きな人がいる。
野球部のみんなで話しているようである。向こうは気づいていない。
華恋は、彼を一回見たが、それから気づかないふりをして、チキンを黙々と食べている。
華恋の好きな人である空は華恋のことに全く気づかない。
野球部のその集団? は、話が区切りついたのだろうか、じゃーなってみんなで手を振り合って、チャリ組と電車組で散って行った。
華恋が私にボソッと呟いた。
「私ね、明日、放課後に3Bの教室で空くんに告白するの」
華恋は入学してからずっと、空くんに片想いしている。
華恋は良くも悪くも、恋愛やゴシップに疎くて。
私は華恋と3年から同じクラスになったけど、華恋は、ずっと空くんと同じクラスだったのに、私でも知っている空くんの‥恋愛経験を全く知らない。
これを言うべきか言わないべきか、ずっと迷っていた。華恋は、空くんに彼女が過去何人かいたこと、それも全く気づかなかったみたいで。
「じゃ、じゃあ私帰るね」
目が少しだけ笑っている華恋。
「あ、うん」
そう言って私は見送った。
次の日。
華恋と私はいつも通り授業を受けていた。
夕方。
私は、いつも通り、コンビニの駐輪場でチキンを食べながら、華恋を待った。
華恋は、全く来ない。
野球部の集団がだべっている。
少しだけ、声が聞こえてきた。
空くんが話している。
「さっきさあ華恋に告られて、全然好きじゃないから振ったら、1年のころからずっと好きだったとか言い出して!」
かはは、と笑いながら、他のメンバーに茶化されながら話を続けた。
「あいつ、俺に彼女がいたりしたことも全然知らなかったらしいよ、それ言ったら泣き崩れて、知らんけど無視して」
怖くなった。
3Bの教室まで走った。
夕焼けに染まる中、そこには私が見たくない光景。
恋煩いって、恋って、ときめきのように描かれる。
みんな、楽しそうに話す。
失恋だってなんだって、キラキラしたものみたいに。
でも。
恋ワズライは、死に至る病だ。
誰を恨むとかではない。
ただ、私は、彼女がいなくなった世界で、明日から生きていかなければならない。それだけ、たったそれだけの、ことなんだ……。
涙が。
涙が止まらない。
それから大学生になっても社会人になっても私は、恋バナを聞いて不快感を覚えたり、嫌になったり、恋愛の歌やドラマもアニメもマンガも小説も全て避けるようになった。
みんなには不思議と言われる。
けれど、私は、恋愛がトラウマ。
恋愛がトラウマ、それさえも美談のように語られる。
そんなこの世界の恋愛が、全て嫌いだ。




