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2-白々しい太陽

空はわざとらしいほどに青かった。

こべりつくような暗闇を洗い流したつもりか、太陽は傲慢なまでの光を地上に叩きつけている。ただその光が映し出すのは希望ではなく、壁に刻まれた深い爪痕と、乾いて黒ずんだ血の跡だけだ。


広場の隅、石段に腰を下ろした家族が遅い朝食を囲んでいた。

母親が差し出したのは、灰色の、石のように硬いパンだ。それを薄塩の濁った湯でふやかして口に運ぶ。

「ねえ、父ちゃん。勇者が来たら、パンはもっと柔らかくなるの?」

幼い息子が、泥の味がする塊を無理やりねじ込みながら尋ねた。

父親はパンを千切ろうとした手を止めた。

その指先は、昨夜私が見た、あの姿と同じように、ボロボロに剥けていた。剣を握り続けたせいで爪の間には泥と凝固した血が入り込み、手の甲の皮膚は寒さと恐怖でひび割れ痛々しく赤らんでいる。その手が、震えを隠すようにパンを握り直した。

「……ああ。勇者が来たら、パンは雲みたいに白くて、温かくなるはずだ。」

子供は、父親の傷だらけの手には気づかないように味のしない食事を続ける。

「ねえ、母ちゃん。勇者が来たら夜もずっと明るいの?」

母親は、自分の分のパンを子供の皿に分け与えなが、無感情な声で答えた。

「そうね。勇者が来たら、太陽が沈まないくらい明るくなって、もう夜を気にしなくてよくなるわ。」

「ねえ父ちゃん。勇者が来たら、みんな笑うの?」

父親は、ひび割れた指先で子どもの頭をそっと撫でた。そのゴツゴツとした手の感触は、およそ慈愛と言うには程遠い、戦い続けた男の硬い質感をしていた。

「そうだ。勇者が来たら、誰も震えなくていい。みんな今みたいに無理に食べるんじゃなくて、笑いながら食卓を囲めるようになる。」


家族のささやかな「勇者への願い」は乾いた広場に虚しく響く。それは救いのない現実を塗りつぶすための、縋るような嘘だった。



家族の会話をよそに、村の昼は淡々と、そして無機質に過ぎていく。広場の向こうでは自衛団長のガクソンが次の松明に使う油の量を、苦虫を噛み潰したような顔で数えている。井戸端では、女たちが昨夜の犠牲者の名を出すこともなく、ただ機械的に血のついた布を洗っている。ハンは、刃こぼれした剣を磨きながら、虚ろな目で「……次は、誰が食われるんだろうな。」と小さく零した。


太陽はそのすべてを等しく、残酷なほど明るく照らし続けた。


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