ep6.キミと歩む物語
苦しみに耐えても、また悲劇はやってくる。
何を犠牲にしても、福など帰ってはこない。
だけど、一つ、二つ、守りたいもののために我慢することは正義だ。
犠牲にすれば、きっと自分も報われるはずだ。
リンは、そんな人生のために、今日も相棒とともに歩み続ける。
「まさか、お前…….!」
「お主……」
『龍の末裔だったのか!(我の末裔であったか!)』
メディはキョトンとしていた。
「なんですかそれ?」
龍の末裔とは、文字通り竜の眷属の子孫の一族だ。
この一族の特殊な力は、先祖である竜
との融合が可能ということだ。
「そんなのどうでも良いのでぶっ倒しときますね」
勝負は一瞬にして、メディが勝った。
相手は跡形も無く吹き飛んでいた。
そして、メディは倒れた。
「メディ!」
俺は反射的にメディの元へ走っていた。
幸い死んではいなかった。装備になっていたアイン
も元の姿に戻り、メディを背中に乗せた。
「多分初めて此奴はこの力を使ったのだろう。
今は休ませるのが良い」
「わかった」
俺はアインの背中にいたメディを自分の背中に乗せ、そのまま洞窟の出口へと向かった。
出口の近くへとやってこれたが、
胸に穴が空いた。
まるで、
リンの心の隙間のようにぽっかりと空いた。
言葉も出ず、メディごと倒れ込むだけだった。
そして目の前にいたのは、前回メディを殺した
男達だった。
「ここにすっげぇ奴がいるって聞いたのによ、
ガキ2人だぜ? チョロすぎないか?」
「そうだな! こんなチョロい依頼で報酬ガッポガポ! 今夜は宴だぜ〜」
「オマ、エ……」
俺は男の足を掴みながら必死にもがいた。
「なんだおめぇ?」
「こいつもう死んだぜ。 金品は取っとけ」
……次こそは絶対に守る。何をしてでも。
そのまま2人の命は一瞬にして消えた。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
「これが……リン様の紹介したかったものですか」
「貴様がメディとやらか。よろしくな」
ここは、大洞窟に入った時に戻ったのか。
「よろしくお願いします! やったー竜だー! ありがとうございます」
メディはペコリとお辞儀をし、アインの元へ向かった。
「それと、今回目的はお前の力を試す事だからな。忘れるなよ」
俺はその時、気が楽になったような気がする。今回は無事に帰れるといいな……
「じゃあ試しに、装備してあそこの岩を殴ってくれ」
「わかりました」
メディが装備し、岩の目の前に立ち、大きく呼吸した。その時メディは一発、岩に拳を当てた。
岩は粉々に砕け散った。
(こいつの素の力もこれほどか……)
それと同時に装備も砕けた。
こいつ、こんなに強かったのかよ。
しかも新品も壊れた。
「リン様ー! 装備が壊れてしまいましたー。
どうしたら良いのでしょうか?」
「わかった。あとで作るから我慢しろ」
その時、奥に空間が広がっていた。
この奥にアレがいる。用心して進もう。
その中に入っり、探索した。
「確か前回はここらへんで……」
そして、出ようとした時、後ろから何かが来た。
それは狐だった。
「リン様これキツネですよー! 可愛い♡」
メディが狐を撫でようとした時、
「そいつに近づくな! さっさと離れろ!」
何とか斬撃は回避できた。
「なんなんですかあの生き物!?」
この後どうしたら良いか……懐に入る? いいや、そもそも入れるのかどうかだ。
今のあいつは変身前の小さな狐だ。
なら魔法を打つしかない!
「アイテムボックス。 水拳銃」
アイテムボックスから出した弾は狐にあたり、見事変身した。
これなら倒せる!
その瞬間。
ブシャッ……
リンの首と胴は別れた。
カマイタチは俺をゴミでも見るような目で見つめ、笑顔で鎌についた血を舐めた。
死んだのかよ……次はどうしよう。
メディが泣きながらこっちへ向かい、必死に首と胴をつなげようとした。何度取れてもまたくっつけようとしたが、
(逃げて……!)
後ろにいたカマイタチにメディも首がとられた。
……
死んだリンは泣いて、後悔して、繰り返されるまでの一瞬がまるで数年と感じるぐらい、その間におびえ続けた。
「もう嫌だ……このまま殺してくれよ……!」
だが世界は、彼の力は慈悲などくれず、同じ時をまた繰り返そうとしていた。
リンの顔は、メディの涙と血で汚れた。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
「これが……リン様の紹介したかったものですか」
「貴様がメディとやらか。よろしくな」
また、戻っちまった……
死んだときに流れた情報と、今の現実に耐え切れず、嘔吐してしまった。
「おっえぇぇ」
「リン様! 大丈夫ですか!?」
「リン! 貴様大丈夫か!」
俺は息もできない中、2人に目的を伝えた。
「今回の目的はカマイタチを殺すことだ」
俺はその時、気が楽にならなかった。苦しい……辛い。
その中に入っり、探索した。
「確か前回はここらへんで……」
後ろから何か気配が来る。
それは狐だった。
「リン様これキツネですよー! 可愛い♡」
メディが狐を撫でようとした時、
「そいつに近づくな! さっさと離れろ!」
ビュンッ
何とか斬撃は回避できた。
「なんなんですかあの生き物!?」
出てきやがったな……
「今回は絶対てめぇを殺す!」
実戦で一回も使ったことはないが暗殺者の力を使うしかなさそうだ。
「影飛」
リンはカマイタチの背後に回り、ナイフで首を切ろうとした。
その瞬間。
ブシャッ……
リンの首と胴は別れた。
カマイタチは俺をゴミでも見るような目で見つめ、笑顔で鎌についた血を舐めた。
死んだのかよ……また……!
メディが泣きながらこっちへ向かい、必死に首と胴をつなげようとした。何度取れてもまたくっつけようとしたが、
(止めて……!)
後ろにいたカマイタチにメディも首がとられた。
……
もう嫌だ……イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ。
どうかお願いします。もうやめてください。
そう心の中で叫んだ。もちろん誰も聞いてはくれなかった。
自分でも何をほざいているのかわからなかった。泣いて、後悔して、繰り返されるまでの一瞬がまるで数年と感じるぐらい、その間におびえ続けた。
リンの顔は、メディの涙と血でまた、そして心さえも汚れた。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
スキル発動ー〈load〉実行完了ー
スキル発動ー〈load〉実行完了ー
スキル発動ー〈road〉実行完了ー
スキル発動ー〈road〉実行完了ー
スキル発動ー〈king road〉実行完了ー
「なんなんですかあの生き物!?」
「今回は絶対殺す」
「死んでくれ」
リンはカマイタチの背後に回り、ナイフで首を切った。
カマイタチは反撃したがびくともしなかった。
俺はただひたすらカマイタチにナイフを突き刺した。
カマイタチの顔が青ざめても攻撃し続けた。
そしてようやく殺せた。
リンの感情は、嬉しさと、安心だった。
そしてメディのもとへ向かい、倒れた。
守れてよかった。
リンは泣きながら倒れた。
気が付くと、俺はメディの膝の上だった。
「大丈夫でしたか? リン様」
「うん。じゃあ帰ろっか」
俺は起き上がり、メディと手をつなぎなら帰った。
「リン、洞窟の入り口に怪しい輩どもがいたが、追い払ってよかったか?」
そうだ、こいつに任せればよかったのでは?
今思いついてしまった事だから、もう関係ないか。
外は雪が降り始めた。
「もう12月になったのか」
リンたちは真っ白な道を、ただ家まで歩いた。
ーーー数日後
リンのプロフィールに通知が来た。
気になりながら開いてみると送り主は、
路歌。
「えっ」
リンは急いで手紙を読みだした。
『燐へ
もうすぐ12月ですね! 元気にしていますか?
私は……多分元気です。
あなたがこの手紙を読んでいるということは、私は死んでいるでしょう。
そしてあなたは今も泣いているんじゃないかと思います。
でも安心してください! 私は天国でも元気に笑顔で過ごしていますから。
燐はきっと、頼もしくて、寂しさを絶対紛らわせるような素晴らしい仲間に出会えるはずです。
これからも笑顔で、いつもの燐のままで世界救っちゃってください!
あなただけの彼女 華築路歌より』
ー追加事項ー
送り主:ミチカから一件のギフトを受け取りました。
追加メッセージ:燐へのクリスマスプレゼント! 私は絶対この中にいるはずだから安心して!
アイテム名:愛のナイフ
所持者:(ミチカ→リン)
攻撃力:8/10
耐久力:6/10
特殊効果: 恋:一度装備すると外せなくなる。
愛:装備(異世界)と一緒に装備した場合、攻撃力、耐久力、本人の魔力上限100%up)
路:影代燐が装備した場合のみ、特殊技の発動が可能。
歌:装備している間、全ての能力付与を無効化。
以上
リンの目には無数の涙がこぼれ落ちていた。
これは現世で路歌が持ってた護身用ナイフだったな。
これで一つ分かった。
もう路歌はいない。もう会えない。だけど路歌はこのナイフの中にいる。今も一緒にいる。
「ありがとう、そしてこれからもよろしく」
そう、これは復讐譚なんかじゃない。間違えなんかでもない。
君と歩む物語だ。
これを作ってる自分さえも泣いてしまいました。
これがどうか、誰かの手に、これがどうか、人生をやめようとしている誰かに届いてほしい。
また明日。この物語を読みたい、読んでみたいっていう欲でも構いません。
ただ、生きて明日も笑いましょう!