ep5.Are you Painful?
こんなに苦しかったのは、不幸だったのは、悲しかったのはいつぶりだろう。
命の灯火が消えた時、悲劇が繰り返された時、
大事なものを失う時、彼にはどんな感情が残るのだろうか。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
「ここここんにひは! リン様の奴隷をやっているメディです! 本日はよろしくお願いします」
マスターは少し笑いながら、
「俺はライン・エルメス。ここではマスターか親父って呼んでくれ! てかリンちゃんが奴隷か……
友達でも欲しかったのか? ってお前本当に大丈夫かよ⁉︎」
目覚めたリンの瞳には涙が出ていた。
「大丈夫だ」
誰かを失うってこんなに悲しいことなのか?
また会える。そう思っても苦しく、笑顔を作ることができなかった。
「で、メディちゃんの職業は?」
「格闘家」
即答した瞬間、マスターは驚いていた。
「まじかよ⁉ こんなちっちゃい子が格闘家? 格闘家ってレア中のレアだぞ!」
「格闘家となるとウチにも装備が少ないんだよな……」
「ひとまずここの一つしかない装備 (竜の牙)でいいか?」
「大丈夫」
最悪俺が作れる。
「ありがとうございます!」
メディは喜びながら大きい声で礼を言った。
手が震えて、心臓の鼓動が速くなった。
俺は怯えているのだろうか? 足も重くなり、動けなかった。
「メディ」
「はい! なんでしょうか?」
俺は深く息を吸い、
「装備の性能を試してみないか?」
日が沈みかけ、だいたい5時ごろだろう。
この時間をどこか別のところでやり過ごせば
死なずに済むはずだ。
「わかりました! 楽しみだなー」
そして俺たちはアストラ大洞窟へと向かった。
中には誰もいなくて、モンスターもスライムぐらいだった。
「その前に、お前に紹介したいのがいるんだよ。
出てこい、アイン」
リンの影から大きな竜が出てきた。
その姿を見たメディは腰を抜かしていた。
「これが......リン様の紹介したかったものですか」
「貴様がメディとやらか。よろしくな」
こいつ、性格は良いんだけどな......威圧感があって、メディも馴染むのには時間がかかるだろうな。
「よろしくお願いします! やったー竜だー! ありがとうございます」
メディはペコリとお辞儀をし、アインの元へ向かった。
「それと、目的は装備の性能を試す事だからな。
忘れるなよ」
俺はその時、気が楽になったような気がする。
「じゃあ試しに、装備してあそこの岩を殴ってくれ」
「わかりました」
メディが装備し、岩の目の前に立ち、大きく呼吸した。その時メディは一発、岩に拳を当てた。
岩は粉々に砕け散った。
「は?」
それと同時に装備も砕けた。
こいつ、こんなに強かったのかよ。
しかも新品も壊れた。
「リン様ー! 装備が壊れてしまいましたー。
どうしたら良いのでしょうか?」
「わかった。あとで作るから我慢しろ」
その時、奥に空間が広がっていた。
二重ダンジョンだったのか?
ひとまずその中に入って、探索した。
「二重ダンジョンって言っても何もなしか......」
そして、出ようとした時、後ろから何かが来た。
それは狐だった。
「リン様これキツネですよー! 可愛い♡」
メディが狐を撫でようとした時、腕が飛んだ。
「え?」
「メディ!」
俺は咄嗟にメディの元へ向かい、回復をした。
もしやあいつは、
「カマイタチかよ!」
狐の両手から鎌が出てきて、さっきの狐とはまるで
別物のモンスターに変わり果てた。
こいつを殺すのは難しすぎる!
ハヤク、逃げないと......
その瞬間、リンの腕の中にいたメディが消え、
目の前にいた。
メディの腕は完全に治っていて、白髪になっていた。
そして彼女から今までに見たこともないオーラが
漂っていた。
「お前、本当にメディなのかよ」
メディは笑顔でこっちを向き、
「はい。あなたの奴隷、メディです。少しアイツにムカついたので、殺して良いですか?」
そしてアインがいなくなっていた。
「リン! 我はここだ!」
声がしたのは、メディの手につけられたガントレットだった。
背筋が凍り、冷や汗も出ていた。
「まさか、お前......!」
「お主......」
『龍の末裔だったのか!(我の末裔であったか!)』
すいません!
これだけは言っておきます。ほんと予定が重なり、
全然投稿できませんでした!
話が変わりますが、リンと、メディの関係性だったり、新たな要素だったり、まだまだこの作品を面白くできそうなので! これからも読んでいってください!