ep2.revenge
リンは考えていた。何がしたいのか、何を成し遂げたいのか。でももうそんなことはどうだっていい。
世界へ、あいつを殺したやつへの復讐一つだけだから。
あいつのためになることしないといけないのだから。これはお願いではない。命令だ。愛の束縛だ。
呪いだ。もう誰も愛したくはなかった。
「まちがえ勇者の英雄譚」ep2
リンは宿屋のベッドで一人考え込んでいた……
もしもこの世界が(レジェンズファンタジー)と同じ世界なら、あの裏コードが使えるはずだ。
レジェンズファンタジーには10年前、本来宿屋でしか表示できなかったステータスを常に表示できるコードが運営から漏れ出した。運営はその5年後にコードを消したが、(トリック)がいるという事は、
コード削除のアップデート以前のバージョンがこの世界なのかもしれない。
だったら使えるかもな。
「システム:裏コード、ステータスナンバー10551」
その瞬間リンの目の前にステータスウインドウが表示された。
そして
プレイヤー:リン カゲシロ。登録完了
適正職業:暗殺者
実績:無し
出身:異世界
所持スキル:アイテムボックス
所持装備:異世界のパーカー、異世界の靴、黒い牙、魔力装置搭載拳銃
ー称号〈復讐スル者〉獲得成功ー
ー称号〈勇者〉獲得成功ー
ー称号〈元勇者〉獲得成功ー
ー称号〈異世界人〉獲得成功ー
ー称号〈暗殺者〉獲得成功ー
ー称号〈冒険者〉獲得成功ー
ー称号〈S級〉獲得成功ー
ー称号〈憎マレタ人類〉獲得成功ー
…ー称号〈 〉獲得成功。それに伴い勇者スキル〈オートセーブ&オートロード〉を獲得しましたー
頭の中で何度も同じような電子音が流れた。
オートセーブ&オートロード? 確かゲームでは誰でも使えた基本行動だ。
だったら、路歌はこのスキルがあれば救えたはず……なのか? だったら初めから覚えとけば……
いや、今死んだらあの時までロードできるんじゃないか?
リンは手に持っていた武器を思いっきり胸に突き刺し、その武器はリンの胸部を貫通した。
リンは何度も何度も何度も胸を突き刺し、やがて上半身は人間とは思えない形になっていった。
皮膚は破れ、ずっと出血し、内臓は破れ、骨が体を突き破り、腸は体から飛び出ていた。
……痛い、熱い、イタイ、アツイ。そんな感情が交わる中、希望もあった。
ようやく路歌に会えると。
そしてリンは命を絶った。だが遺体は笑っていた。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
リンの目が覚めたところは今いた宿屋だった。
「……は?」
もしかして、スキルを入手したときに同時にセーブされたのか?
「なんでだよ……俺と路歌は会っちゃいけないのかよ? 何で合わせてくれないんだよ」
リクの目から光は完全に消え、絶望に呑まれた。
「もうどうしよっか……」
モンスターを殺し続けるか? それとも人間を……? いや、それは路歌は悲しむだろうな。
そうだ、俺はいくらでも死ねる。だったら難易度の高いクエストだけを受けて、路歌の墓を作ろう。
そうしよう。(トリック)も全員殺そう。
そう決めたリンはギルドへ向かった。
「ようこそ! クエストですか? 依頼ですか?」
受付の女にリンは聞いた。
「今ある中で最も難易度が高いクエストは?」
受付は新入りなのだろうか? 戸惑いながら答えた。
「クエストはありますが……命の保証はできません」
「それでいい」
受付はすぐにクエストの紙をを持ってきた。
「これが今ある最難関のクエストです。レベルは❘災害級、❘鉄竜
の討伐です」
この世界には5つのクエスト難易度が存在する。
初心級、これは主に薬草採取やスライム討伐など。
勇者級、これは主に❘竜の討伐や高難易度❘遺跡の攻略など。
災害級、これは❘鉄竜などの国に被害が及ぶモンスターの討伐。
厄災級、これは今のところクエストが存在しない。
ゲーム内だと、魔王や期間限定最難関ボスがこの難易度だったはずだ。
レベルが4つしかないって? あぁ、これは
運営が作ってしまったエイプリルフール難易度。削除されたはずの難易度だ。
天使級。これはゲーム内だとクエスト失敗で、データが削除される難易度だ。
この世界ではあるのかどうかすらわからない。
早速このクエストの場所へ行こうと思う。
アストラ大洞窟。あいつが死んだ場所だ。二度と行きたくなかった。仇が取れるといいな。
ひとまず、この洞窟の最下層、10層へ行くことにした。
目に映るモンスターを、全員殺しながら……
残念ながら、トリックには合わずに10層まできてしまった。
そして目の前には❘鉄竜がいた。
モンスターにもレベルが存在し、
E級、Ⅾ級、Ⅽ級、B級、A級、S級の五つ。これは冒険者も一緒だ。
あいつは確かS級なはず。
俺が❘鉄竜に近づくと、❘鉄竜はしゃべりだした。
「そなたは人間か?」
「ああそうだが」
「我がしゃべるのを見て怖気づかない人間は初めてだ」
「だって聞いたことあるからな」
ゲームでは、確定でこのセリフを吐いていた。
「そなたは何故ここへ来た」
「お前を倒しに来た。それだけだろ」
❘鉄竜は少しにやけながら答えた。
「我に戦を申すか。甘く見られたもんだな。良かろう、我も本気を出すぞ」
その瞬間❘鉄竜は姿を消した。
……どこだ。
背後に奴が現れてリンの首をはねた。
「外の世界か。行ってみたいな」
最後にあいつが言った。
そしてリンは死亡した。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
ここは❘鉄竜と出会った場所。セーブされたってことか……
「そなたは人間か?」
「ああそうだが」
「我がしゃべるのを見て怖気づかない人間は初めてだ」
「だって知ってるからな」
さっき聞いた。
「そなたは何故ここへ来た」
「お前を倒しに来た」
❘鉄竜は少しにやけながら答えた。
「我に戦を申すか。甘く見られたもんだな。良かろう、我も本気を出すぞ」
その不気味な笑顔いい加減やめろ。
その瞬間❘鉄竜は姿を消した。
背後に奴が現れてリンの首をはねようとしたが……
「アイテムボックス! 黒い牙!」
❘鉄竜の爪を受け止めた。
「ほほう、我の爪を弾くとはな! だったらこれはどうだ? 竜の息吹!」
❘鉄竜の口から炎が出てきて、リンを焦がした。
「未完成だが、我にここまで太刀打ちできたものは貴様が2人目だ」
リンは死亡した。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
「そなたは人間か?」
「ああそうだが」
「我がしゃべるのを見て怖気づかない人間は初めてだ」
「だって知ってるからな」
またか。飽きたな。
「そなたは何故ここへ来た」
「お前を倒しに来た。それだけだろ」
❘鉄竜は少しにやけながら答えた。
「我に戦を申すか。甘く見られたもんだな。良かろう、我も本気を出すぞ」
その瞬間❘鉄竜は姿を消した。
背後に奴が現れてリンの首をはねようとしたが……
「アイテムボックス! 黒い牙!」
❘鉄竜の爪を受け止めた。
「ほほう、我の爪を弾くとはな! だったらこれはどうだ? 竜の息吹!」
❘鉄竜の口から炎が出てきて、リンを焦がそうとした。
「アイテムボックス! 拳銃!」
リンは拳銃を出しブレスを跳ね返した。
「はぁ、はぁ……。結構本気だったのだがな。まさか跳ね返すとはな……」
❘鉄竜にスキができた。俺はそこを狙って殴りにかかった。
「まさか竜相手に拳とはな……無理だろうぞ」
俺は少しにやけながら答えた。
「拳か……だったらいいけどな。アイテムボックス! 応用技〈❘嘘の拳〉!」
リンの拳から黒い牙が出てきて❘鉄竜を突き刺した。
「ぐふぁ……人間ごときが我を倒せるとはな」
「さっさと死んどけ」
❘鉄竜はまたにやけた。
「だといいがな。死の歌」
そいつは……⁉ 確定死亡技だと……まぁ、でも死んでもいいんだけどな。
リンは死亡した。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
「そなたは人間か?」
「ああそうだが」
「我がしゃべるのを見て怖気づかない人間は初めてだ」
「……」
「そなたは何故ここへ来た」
「お前と少し交渉がしたい」
❘鉄竜は少しにやけながら答えた。
「我に交渉か。甘く見られたもんだな。良かろう、聞いてやる」
俺がやってみたかったこと……❘鉄竜を仲間にできるかだ……
「それで? 交渉とはなんだ」
「交渉、それは俺の❘仲間《奴隷》になることだ」
「なぜだ」
「まずこっちはお前が高難易度クエストとしてそこらじゅうの冒険者の的になっている。
だから俺が倒したってことにすれば、お前は解放されるぞ」
❘鉄竜は少し不満のあるような顔で答えた。
「それだけで貴様の❘仲間《奴隷》になろうとは思えないのだが」
俺はさらなる提案をした。
「お前、本当は外の世界を見たいんだろ……」
「なぜ貴様がそのことを……⁉」
図星だったようだ。
「よかろう。本体では無理だが、影としてならともに旅ができる」
「交渉成立」
そして❘鉄竜は体から魂が出て、❘影竜となり、リンの影の中に入っていった。
おれはギルドで、討伐証拠のうろこを見せた。
「本当ですか⁉ 討伐、おめでとうございます! 早速金貨20枚、ご用意させていただきます」
俺は金貨20枚を受け取った
そしてこの金で家を買った。
多少は豪邸にも近い家だが金は大丈夫だろう。
「ここが貴様の住み家か……広いな」
「そりゃあ高い所買ったんだから」
でも少しここにいて居心地が悪い。気晴らしに散歩にでも行こう。
夜にリンが町のはずれを歩いていると、一人、それも小さな子供がいた。
「おいお前」
「ひっ!……」
よく見ると少女で、とてもおびえていた。服装はぼろい布に手錠……奴隷か。
「飼い主は……捨てたんだな」
少女は、こちらに細い声で話してきた。
「タス、け、て……」
なぜか俺はこの子を放っておけずにはいられなかった。
「助けてやる。だけどそのかわり、俺の奴隷になれ」
その瞬間だった。
グサ……
後ろを見ると男が俺の胴体を貫通していた。
「は?」
俺はその出来事に声も出なかった。
なんで俺が死ぬんだよ……まさか飼い主?……そんな考えがずっと続いていた。苦しみながら。
多分人生で一番最悪の死に方だ。
あいつだけでも逃げてくれれば俺の命は別に要らないんだがな。
そう思っていた時だった。
あの少女も刺され倒れた。
その瞬間俺は見たことのある光景だったのかもしれない、とてつもない不安と寂しさでいっぱいだった。
同時に、あいつを殺したい。同じ目にあわせてやる。という感情も出てきた。
でもなぜすぐにあったばかりの少女にこんな感情が出てきたのだろう。
まぁいいや。
俺の目的は、路歌の死への復讐。路歌の代わりの異世界満喫。
だから俺自身の死は、
「命は軽いんだから」
リンは命を落とした。
スキル発動ー〈ロード〉実行完了ー
同時に呪いの付与が可能になりましたー
こんにちは、無事に投稿できそうな作者っす!
ダーク主人公ってかっこいいけど話が難しいと思っております。
まってこれ言っちゃちゃダメなやつ……
まあ話変わりますけど、「この主人公ってどう思うかな?」とか「物語はこうなるかも!」
みたいな意見はやってもらっても構わないです。でも一つ。この作品を絶対完結まで読んでください!