ep1.喜怒哀楽が消えた日
彼女と高校へ向かった燐。異世界召喚され勇者になった。
彼を何が襲うのか、彼の異世界とは、何なのだろうか。
「まちがえ勇者の英雄譚」ぜひ読んでいってくださーい
俺の名前は影代燐。今日から高校生! しかも彼女と同じ高校になった!
これは何と嬉しいことか。このためだけにゲーム、アニメ、マンガ全部捨てて(から離れて)勉強一本
に絞ったかいがあった。俺自身はもう死んでもいい。だって、日本一の高校(私立華日水津高等学校)に世界一可愛い彼女とともに入学できるのだから!
「いい天気だね! 燐。まさか君とおんなじ高校に行くとはね……成績ヤバかったのにね」
少しクスッと笑いながら話してくれた。可愛すぎ。
俺の彼女の名前は華築路歌。華築グループの社長令嬢であり、成績トップ。
運動神経も抜群が彼女がなぜ俺と付き合っているかって? 実は、罰ゲームで告白して、偽の彼女やってたら、本気で好きになっちゃったらしい。俺ってそんな魅力あんのかな?
「そのために頑張ったんだよー。ほーめて!」
「わかったよー燐。お疲れ様♡」ヨシヨシ……
彼女の手が俺の頭にー! 最高だ……
「じゃあ燐! 私にもなでなでして!」
「わかった。お疲れ様♡ 好きだよ」なでなで……
最高だ! これゆめじゃないよね⁉ しかも路歌はすごい溶けそうな表情で……猫みたい。可愛い……
そうして2人でイチャつきながら横断歩道を渡ろうとした瞬間……
目の前が眩しくなった。
「うわぁー⁉」
何が起きた⁉ それよりも路歌は無事なのか⁉
でも、俺の右腕には、なんか柔らかいのがくっついている。まさか……いやなに考えてんだ俺!
「路歌! 無事か?」
「うん! 大丈夫」
そして周りを見渡すとそこは中世のような近代のような外国の城のような場所に立っていた。
「王! 勇者の召喚が成功しました!」
「ではそなたらが勇者なのだな。では名乗ろう、私はヴァルリア王国国王ヴァルリア・ⅹ世
そちらも名乗ってはくれぬか?」
これって、マンガでよくある異世界召喚ってやつ⁉ てことは、魔王を倒すRPG系か
俺TUEEE系のどっちかってこどだよな⁉ それだったら裏切りあるってこと⁉たのむRPGであってくれ!
「俺は影代燐です」
「私は華築路歌です」
国王は名前を聞いた後、表情を柔らかくした。
「では、簡潔に伝えよう。そなたらは勇者であり、今から魔王を倒してきてほしい」
よかったーRPGだわ。しかもこの世界観、俺がやりこんでいたゲーム(レジェンズファンタジー)
だ! これならクリアまで短いかも。
「はい! わかりました」
「では、騎士! 金貨50枚を用意しろ」
「承知いたしました」
騎士たちから金貨50枚を受け取り、城から出た。
「どうしよっか? 勇者になっちまったよー」
「ほんとにどうしようね……でも、燐がいてくれてよかったな」
その言葉がとてもうれしかった。ぜったい路歌だけは守ろう。
そして世界を救おう。と決めた燐であった。
「まずは、装備を買おっか。多分鍛冶屋にあるし」
「あっ! ゲーム好きの燐がいてくれれば簡単に倒せるかも!」
路歌がすごい無茶な考えをこちらにもってきた。でもできるかも。
そして鍛冶屋についた。
「多分俺は剣士で路歌は魔法使いかな?」
「多分……?」
俺たちは装備を買い、早速クエストを始めた。
依頼内容は、アストラ大洞窟にいるメタルスライムと、アイアンスライムの討伐だ。
「ここがアストラ大洞窟か。広いなー」
中は思ったよりも広くて、どのくらいだろう。東京ドーム1つ分ぐらいかな?
「燐、メタルスライムいたよ!」
あれがメタルスライム。よくあるような外見だ。
「じゃあ、行くよ! うぉー!」
「火玉!」
2人の連携が合ったのか、メタルスライムは溶けて、中からきれいな石が出てきた。
「これは……魔力石だ」
魔力石。これは、基本的に魔物からドロップするアイテム。これは、ギルドでお金と交換したり、
武器への魔法付与、武器や装備作成に使える。
「燐! 今度は奥にアイアンスライムみたいなのがいるよ! すっごい硬そう」
路歌はその方向に向かって走っていった。
あれ、この階層には確かメタルスライムしか出現しなかった気がするのに……
「まって路歌、気を付けて! この階層にはメタルしかいないから」
「えっ……じゃああれって?」
俺らがメタルスライムだと思っていたものは、S級モンスター(トリック)だったのだ。
「路歌! ひとまずこっちに来て!」
路歌はこちらに急いで戻ってきたが、あれは倒せるのだろうか。
「だったら先手必勝! 行くぞ!」
俺は剣をモンスターに当てたが、びくともしていなかった。
俺はやられそうになったが、傷一つない。そう思って目の前を見ると……
路歌の胴体が貫かれていた。そのまま2人とも壁へと吹き飛ばされた。
「路歌! 路歌! 大丈夫かよ⁉」
回復魔法がわからない俺を、自分を今は憎んでいた、後悔していた。
「大丈夫だよ燐、命の終わりぐらいわかってる。だって社長令嬢だもん。
だから、最後に伝えます。あなたを好きになった理由」
俺はずっと戸惑っていた。
「実は小学生の時、社長の娘だからってみんなからいじめられていたの。でもあなただけが私を守ってくれたの。だから、中学生で、あなたに告白できるチャンスが来て、私はあなたの彼女になったの。
でね、今までずっと守ってくれていたんだからさ、たまには燐を守らせてよね……」
「まだ生きる可能性だってあるだろ! なんでそんなに悲しい顔を済んだよ路歌! 一緒に帰って、
高校生活しようよ! デートにだって行こう! まだやりたいことは山ほどあるのに……死んじゃ嫌」
俺は泣きながら必死に叫んだ。生きていてほしいから。
「……テレポーション。 生きて」
その瞬間、俺を光が包んだ、そして初めての口づけをされた。
「バイバイ、燐」
そういった路歌はモンスターに引き裂かれた。
「路歌ー!」
目が覚めると、国の真ん中に立っていた。早く救援隊を呼ばないと……国王に知らせないと……
そして城の中に入り、国王にこのことを伝えた。
「それは災難だった。だが朗報じゃ、お主は勇者であり、勇者ではない。あの娘もじゃ」
「え……」
俺は頭の中にいくつもの感情が入り混じった。じゃああいつは、路歌はなんのために死んだのか。
「こい、利津」
「はい」
そうして現れたのは、中学生ぐらいの美青年だった。
「実は、お主らには勇者適性のない異世界人だった。いわば、‘巻き込まれ‘だ。そして城を出た後、
直ぐに異世界人が来たのじゃ。しかも勇者適性がある異世界人だったんだ。だからお主には、
勇者をやめてもらいたい」
「は……」
「ごめんね? あとは僕が魔王を倒すから」
美青年、利津といったか。あいつは、嫌がらせのようなしぐさで謝ってきた。
俺の中には怒りでいっぱいだった。
「ああ辞めてやるよ! どうぞ勝手にやってくださいガキとジジイはな!」
そういって城から走って抜け出した。
それから1か月がたったのだろうか……俺は宿でひたすら泣きながら自傷行為を続けていた。
あいつを忘れないように。ストレスで白髪にもなってしまった。
「久しぶりにギルドに行くか……」
ギルドに行って、冒険者登録をしに行った。
俺は表を見ると、俺の適正職業はS級暗殺者だった。
あぁあいつを殺したのは、職業を確認せずに巻き込んだ俺だったんだな……
その瞬間、俺はどうでもよくなった。だったらこの世界で生きよう、復讐しよう。
……全部壊そう。
俺は勇者装備をすべて売り、制服の中に来ていた黒パーカーを着て、武器も買った。
「全部壊そう、路歌の分まで異世界満喫してやるよ」
こんにちは、「異世界の探偵さん」さくしゃ、たぬきうどんです。
今回はダーク主人公を書いてみました。
どうでした? 感想もらえると助かります。
私の作品たちも、ぜひよんでいってね!