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画家な僕たち  作者: 田月
戦士の国ガナ編
6/6

6筆目

 ドシンッドシンッ


 渡白「よし行くぞ、準備はいいか」


 クロ「OKっす」


 バッッ


 クロ「こっちだ、ブタ野郎」


 イノシシ「…!フンス、フシューフシュー」


 クロ「追いついてみてみろっす…」


 ダッダダッダ


 渡白「意外と足速いんだな、あの見た目で。あっちの世界のイノシシよりも数倍デカいな。体毛の一部分だけ色が違うのもおもしろい。メモしとこう。僕たちを追っかけてくるということは食性は…」


 ダッダダッダ


 クロ「ハアハアちょっと、シロさん冷静に観察してる場合じゃないですって。目の前で大事な弟子が、死にかけてるんですけど」


 ダッダダッダダッダダッダ


 クロ「げっ、イノシシのスピードが更に速くなってる。やばい、そろそろ本格的にやばいっすシロさん」


 渡白「…あの毛皮の鋭さに注目して、一枚描くのはどうだろうか、いや注目すべきはやはりあのパワフルな体躯と野性味か…」


 クロ「聞いてないし。あっ」


 コツン


 クロが小石につまずいて、宙に体が浮く。


 ドンッ


 直後に大きな音がして、イノシシが落とし穴に落ちる。


 クロ「ゲホッゲホッ、あっぶね~。死ぬかと思った。ってシロさん、オレが囮やったんですから、ちゃんと落とし穴にイノシシ誘導してくださいよ」


 渡白「おいクロ」


 クロ「なんすか?」


 渡白「もっとよく見たかった!」


 クロ「…………」


 ゴンッ




 渡白「いや~悪かった悪かった。この世界の動物全部が規格外すぎて、観察したくなるんだよ」


 クロ「何してくれてんですか全く」


 渡白「すまんすまん」


 僕たちはとある場所に向かうために、森で野宿をしていた。


 渡白「よし。晩飯用に何か他の動物探してみるか。観察もしたいし」


 クロ「勘弁してください。今度こそオレ死ぬっすよ」


 クロが強く首を横に振る。


 渡白「それもそうだな。落とし穴掘る時間もバカにならないしな」


 クロ「シャベルも消えちゃったんで、描きなおすところからですしね」


 僕たちは、村を出てから()()の能力について様々な検証を行った。


 異世界メモ

 ・画家が、能力で作り出した物は一定時間で消滅する

 ・作り出した物のクオリティは、絵の出来不出来に左右される

 ・絵は専用の筆で描かなければ、実体化しない

 ・筆はいつでも、どこからでも出し入れ可能である


 今のところこの程度のことしか分かっていない。


 渡白「そうだな。このままだと魔王と会う前に、そこら辺の動物にやられそうだ。狩りはやめて目的地に急ぐか」


 クロ「ところで、オレたち今どこに向かってるんでしたっけ?」


 渡白「えっ?一緒に案内人の話聞いてたよな?」


 クロ「ハイ!でも忘れちゃいました!」


 渡白「……」


 クロ「シロさんヤメテ。そのアホの子を見る目をヤメテください。」


 あれは案内人に、魔王の話をされた後のことだった。


 案内人「魔王を倒すのなら次の目的地は、隣国である()()()()()()がよろしいかと」


 渡白「それはなぜですか?」


 案内人「渡白様とクロ様の職業である画家は、絵に描いたものを実体化する能力です。アイデア次第では強力な能力になりますが、一つ大きな弱点があります」


 渡白「能力を使うまでのタメですね」


 案内人「そうでございます。今回の戦いのように、毎回相手が待ってくれるわけではありません。なので絵を描く間に、敵と対峙する前衛が必要だと考えます。ガナは名前の通り戦士の国。魔王討伐にふさわしい戦士が見つかるかと」




 クロ「なるほど。そんな話をされたような気もするっすね」


 渡白「気がするじゃなくて、したんだよそんな話を。まあいいか。とにかく…」




 同じころ戦士の国ガナ


 兵士「報告します。東の方角に1年前と類似のエネルギー反応を確認。新たなる魔王の誕生の可能性もあります。新たなる魔王であるなら、隣国である我が国に侵攻してくると思われますが。どうされますか?」


 ??「戦士の国ガナ、団長の地位の元に命令を下す。魔王を…」




 渡白「ガナに行くぞ」 ??「ガナに入れるな」

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