第84話 守護使不入?そんな物は知らぬ、では潰してやろう!
1573年9月20日
東京都江戸東区・織田城幕府会議室
織田信長
「先ずは今年元日に天下統一を果たし、守護使不入を徹底的に無くした。そもそも守護などという役職を廃止したわけだからな、ニヤリ」
佐久間信盛・大蔵大臣(正五位)
「神社仏閣から税が入るのは財政的にも大きいです。伊勢神宮を除く全ての宗教関連施設を、1度収納にて国から無くしたのが余程堪えたのでしょう。」
「税の徴収など不当だと騒ぐ奴らは全て潰し、すっきりした良い国になった。不当に高い税率ならば不満も理解するが、民と同じ2割の税だ。
そもそも尾張だけでも7,000を越える神社仏閣があったのには正直驚愕したがな。
全部を否定する訳ではないが規制が無いのを良いことに、守護使不入などとふざけた事を抜かす奴らはこの国には不要だ。」
竹中半兵衛(従五位)
織田幕府・東京都・都市整備部長。並びに織田総合大学・政経学部学長
「一番大きいのは織田幕府が皇国唯一の宗教法人となり、全国全ての神社仏閣を直接管理出きる体制を作った事です。」
信長
「東京都庁の隣に"織田幕府大明神"を開いたのは信広兄上の発案だ。都知事権限で900万㎡の広大な敷地を幕府に寄贈してくれたからな。」
織田信治・織田幕府管領代・左近衛大将
「織田大明神を総本山とした体制下で、墓地管理も幕府で行い祭事・供養・法要・祈祷等に神官僧侶を派遣するのも織田幕府大明神が行う。
とかく金銭的に不透明な部分が多かった世界で喜捨等を禁止しました。
神仏に祈る事は金銭の過多にあらず、これこそ理想です。」
信長
「喜捨・御布施とは"困窮している"神官や僧、貧者を救うため金品を寄付する事であったはずだ。
ところが見てみろ
余の神力により天罰が下った比叡山延暦寺・本願寺一向衆の悪行僧等は、人を殺し、女・娘を誘拐我が者とし、喜捨の名の元に金品を毟り取る。
これでは強盗や山賊と同じでは無いか?だから1度強引に改める必要があったのだ。」
織田有楽斎・織田幕府関白殿下代理・右近衛大将
「比叡山も一向衆も修行はせず兵士を雇い武力を盾に"守護使不入"を叫んでおりましたなあ。
あれでは国が纏まることは未来永劫御座いませぬ。」
信長
「ああ奴らはやりすぎた。教えにより人を救うのでは無く、全てを奪い殺す僧侶など要らぬ!
困窮しておる者を救うのは本来国家の成すべき事である。
残念ながらこれまでの日ノ本は誰もそれを行えず、暴官らにつけこまれた。
醜い乱世となったのは無力な幕府朝廷にも非がある。余の息子である帝ですら人民を救う事は出来なかった。
これからは織田幕府が責任を持って成し遂げる。僧侶や神官は修行に専念させる。それが真っ当な神道!仏道修行にも繋がるであろう。
大日本皇国において神と仏は違うとか世迷い言は通用させぬ。祈り修行精進苦行すべて1本道である。それが基本だ。」
佐久間信盛
「皇帝閣下。織田幕府大明神を頂点とし日本全国で神仏を祭る場所は500ヵ所と定めました。
年初よりこれまで250ヵ所は設置されましたが、残り半分の予定は如何に?」
「今年はこれ以上の許可は出さぬ。250ヵ所以外での布教活動は禁止だ。
決して宗教弾圧では無く、悪辣な暴官らを跳梁跋扈させない為の処置である。
自由な布教活動にはまだ社会が成熟していない。織田直轄地では民が自由に学べるよう、3年前から学舎を作り無料で学問を教えてきた。
今年からそれを全国に普及させているが、根付くのにはもう少し時間がかかる。民衆が無学では詐欺まがいの教えにも騙される故、無料での教育は重要だ。」
竹中半兵衛
「誠に仰せの通り。織田総合大学においても学生たちが日々伸び伸びと学問を学び、どんどん知識を吸収し目覚ましい進歩を遂げております。」
織田有楽斎
「あれは凄いですなあ。教育の力と申しますか、某は今の若者が羨ましくてなりませぬ。」
竹中半兵衛
「右近衛大将殿、まだ26歳ではありませぬか。学問を学ぶのに年齢は関係無いですぞ。」
「あっいや、もっとこう頭の中身が柔らかい内に、織田幕府の学舎に通いたかったなと言う事です。わはははは」
佐久間信盛
「ほお右近衛大将殿、某は45歳にて竹中学長の政経学塾で学んでますが、それは嫌味ですかなニヤリ」
「め、滅相も御座いませぬ。大蔵大臣殿(汗)元織田家筆頭家老にありながら学生として学ぶ姿。尊敬しておりますぞ(汗)」
「なら良いが、年寄りの冷や水と思っておられるなら、役目を変わってもらおうかと。ニヤリ」
「ひいい、大蔵省など難易度が高すぎます(汗)お許し下さいませ、、、」
信長
「信盛wその辺にしといてやれ、有楽斎が汗だくだw」
「ははははは戯れ言です。何れにしろこの国は、まだまだこれからで御座いますな。」
「その通りだ宗教改革、教育の充実、税の不公平撲滅、皇国民の税負担2割を維持するため、交易による圧倒的勝利!経済戦争の勝者となるよう国力を上げまくるぞ。
民の知的水準をもっと高めていく。優秀な人材の確保は織田幕府の根幹であると思え!軍事力は余が中心となり幕府軍で担う。
天下布武は成った、これからは富国強兵の道を邁進するのみ皆の者、励め!」
一同
「「「はっ!!!」」」
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令和の世において、宗教法人が一般企業に比べ税制上優遇される理由の一つとして、
古い建造物が国の重要文化財であったり、国宝が保管されている場合もあります。
これを維持・保護するのは多額の費用が必要となるので、信長はそこを一括管理する事としました。
幕府内に修繕部署(現代の営繕課)を設立。国家事業として行うため、費用の負担に頭を悩ます事なく修行に励めってとこですね。
幕府観光部署も全面協力。
お伊勢参りの様な状況を作り、拝観料を頂戴するシステム。
当然御札・御朱印・おみくじ等々の売上や宿舎・食事の有料提供等で、赤字経営に陥らないよう工夫を重ねました。
それにしても極端に神社仏閣の数を減らして、食い扶持の無くなった僧侶・神官・修行者等は大丈夫なのでしょうか?
普通なら大量に失業者が溢れて布教ならぬ不況に突入なのですが、そこは近代化真っ盛りの大日本皇国。
全国各地で労働者の奪い合いが起きてる現状、雇用需給には困りません。そういう社会的背景を軸に「やるなら今だな」と大胆な宗教改革に踏みきった織田幕府。
好景気の政権は強いですね。うらやま
ちなみに
明治神宮の敷地面積約72万㎡
織田幕府大明神・面積900万㎡
12,5倍の広さです(汗)
また明日。