第77話 前田慶次郎 高山国《台湾》平定
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1573年5月1日 高山国《台湾》
前田慶次郎
「儂は決めたぞ!この島を開拓して琉球、あ否いまは沖縄県であったな。
そこと並び立つ立派な島に成長させ、南西諸島経済圏を確立する。」
奥村助右衛門永福
「ここは雪も降らず一年中温暖でいいな。蒸し暑い時期が長いそうだが、豪雪に閉ざされ暮らし向きが立たぬ地域より余程ましだ。」
霧隠才蔵
「実際見聞したところ皇帝閣下の言う通り10万と少しの民ですな。」
慶次郎
「この広さでそれしかおらぬか?ここの土地と気候が稲作には適しておらぬのか?」
野崎八左衛門知通
「地盤改良とやらで沖縄県は今年、"名護米"という美味い米を収穫しましたぞ。ここでもいけるのでは?」
根津甚八
「あれは美味かったな。
冷めて握り飯にしても味が落ちない良い米だった。」
奥村
「沖縄でできて此処で出来ない事は無い。気候は一緒だからな、まずは地盤改良だ!」
シュン!
「「「??皇帝閣下!!」」」
信長
「慶次郎も皆も元気そうだな。出よ!」
ズン!!
才蔵
「??佐助、六郎も」
「天海とお市に話があって沖縄に飛んだら、丁度2人が帰るところであった故な。」
猿飛佐助
「いきなり収納されました・・・」
望月六郎
「本当に高山国だ・・・」
「鉄鋼戦闘艦は後で港に出しておこう。慶次郎これを持って参った。」
信長は名護芋の種芋と名護米の苗を出す。
「佐助と六郎が船に積込み作業を始めるとこだったのでな、余の収納に入れてきたぞ。
ついでに1,000倍ほどコピーして増やしておいたぞ。」
慶次郎
「1,000倍・・・」
「沖縄ではもう田植えが始まっておる。ここも明日から植えた方が良いであろう?善は急げと申すからなw」
「それはそうなのですが・・これから地盤改良をせねばと話し合っていたところでして・・・」
「先月赴任したばかりだから、そんなとこだろうな。
最初は余が地盤改良をする。沖縄の気候風土、農作物に詳しい官僚も100名連れてきた。
"台中・台南"の開拓も緊急性の高い基本整備等を早急に完了させ、後は慶次郎に任せる。出よ!」
ズン!
100人の大男達が立っていた。
慶次郎
「官僚にしては皆、凄い体つきだなニヤリ。そちが一番強そうだ佐助!木槍をもってこ。。。」
ガツン!!
「痛っ!!(涙)」
「この大たわけ!!木槍じゃないだろ!誰が模擬戦をやれと言ったバカタレ!開墾が先だ鍬を持て耕運機もある!!」
官僚(文官型Android)
「沖縄と同じで酸化鉄が残った赤土が多いですね。刺竹より手っ取り早い竹チップを持って来ました。
有機物が増え土壌の性質が改善されます。皇帝閣下お手製なので一般的土壌改良剤の何万倍の速さで効果が出ます。」
奥村
「何万倍って、、、(汗)」
信長
「まあ待て、ここにチート竹チップは止めておこう。これが書物で読んだ桃園等に広がる赤土の台地であろう。酸性の土壌を好む茶を植えよう。」
慶次郎
「ほお茶の木は赤土を好むのですか?」
「ああ、しかもこの辺りは標高が少し高い台地ゆえに、一年中霧等が発生しやすい。茶葉の生長には持ってこいだな。
慶次郎、余はこの地を"台湾"と命名した。台北・台中・台南と大きく3つに分ける。
勿論水田は台湾全土に作るが、稲作とは別に台北には大々的に茶を植えるぞ。沖縄の名護芋焼酎や黒砂糖に負けない台湾茶として世界に売り出す。」
「世界ですか!!豪気な発想で胸が踊ります、必ずや成し遂げたいですな。」
「とは言え先ずは米の確保だ。調査報告によると、嘉南平原という場所が穀倉地帯として適しているそうだ。
但し水問題を解決せねばならぬゆえ手を加える。今すぐ飛ぶぞ。
ここの守りだが、台北駐屯地を設置するゆえ陸の軍事拠点として使え。
"台北110"と名付ける110階建てのビルだ。まあ見ておれ。」
ズズズズズズンーー!!!
「「「うわぁぁぁぁぁ」」」
「高さ600mだ。防御兵器は安土城と同等、余の直轄軍を3万置いていく。慶次郎の指揮下に入る事となる。
それとビル内の把握をしておけ。
特に最上階にあるメインコントロールセンターが御主の仕事場だ。今出した3万の兵が知り尽くしている故レクチャーを受けろ。
奥村!野崎!佐助!望月!嘉南へ飛ぶぞ付いてまいれ。」
シュン!
野崎
「ずいぶんと広々とした平地が続いておりますな。」
佐助
「あ~でもこれ土が乾燥しています。」
パラパラパラと手の平から干からびて落ちていく嘉南の土。
奥村
「渇いた大地ですか、、、」
信長
「用水路を引き灌漑用水を使えるようになれば土壌は変わる。
元々ここの土は"ミネラル"と呼ぶ栄養分が豊富だそうだ。雨だのみで慢性的な水不足、耕すのも困難であったらしい。」
望月
「なるほど。その用水路に流す元になる水は、溜池でも作るのですか?」
「ほお~望月、農業に詳しいようだな。」
「はい、元々北信濃出身で溜池等も作りましたが、この時期の信濃だと台湾と違い冷たい雪解け水です。
すこしでも温めるため用水路は幅を広くとり、水深も浅くして作りました。地元では"ぬるめ"と呼んでいます。」
「なるほど、、余も稲作の事は書物で学んだだけで実際経験は無い。御主のその経験は頼もしい限りだぞ。
望月六郎!本日より織田幕府・台湾全域の"稲作奉行"を命じる。勿論幕府奉行職として扶持も別途支給致す。慶次郎には余が伝えておく。
これから用水路を作るが、どんな規格が良いか早速打ち合わせをするぞ。」
「へっ??儂が幕府の奉行?
いやいやいや畏れ多い事に御座いまする。たかだか乱波・素波の卑しい身分の自分を奉行等と、、皇帝閣下様の評判に傷がつきまする御容赦の程を、、、」
必死に土下座をして撤回を願う望月六郎。
織田幕府の奉行職。現代で言えば霞ヶ関の部長クラス、高級官僚である。
プチッ!軽く切れた信長の変化を奥村・野崎・佐助は見逃さなかった。
『不味い、、望月が斬り殺される。』
「六郎、良かったな!皇帝閣下様が御主を認めてくれたのだ!慶次も喜ぶぞ!!(汗)」
佐助
「そうだよ六郎さん、俺たちも協力するから皆で良い水田を作ろう。」
野崎
「望月殿、沖縄の名護米を越える米を作りましょう。」
グググググ!
必死に怒りを堪えている第六天魔王。
奥村が小声でそっと耳元で呟く
「何も言わず承諾するのだ。断ったら殺されるぞ。。」
望月
「えっ?」
頭を上げ信長を見た望月、、、
「ひいぃ。。こ、この望月六郎、稲作奉行の職を慎んでお受け致します。身命を賭して励みまする。」
「おい六郎、余がなんでこれほど腹を立てているか分かるか?ああ!!」
全員が固まって動けない。それだけ凄まじい怒りを感じているからだ。
当事者の六郎は土下座したまま硬直していた。
「たかだか乱波・素波の"卑しい身分"と言うた、その言葉が許せんのだ!!
たかだかだと?御主等の情報収集がいかに大切か、そして困難な役目か。余は熟知しておる故に偵察ドローンなる物を作ったのだぞ。」
「あっああぁぁ」
望月と佐助の目に涙が浮かんできた。。
「余の評判に傷が付くだと。ふん笑わせるな、奥村!」
「はっ!!」
「尾張の大うつけとは誰の事だ!」
「ゴクリ。。。。。。。。。(汗)」
唾を飲み込み硬直しながら、全身から汗が吹き出る奥村。
他の皆も同様である。
「まあ良い。。。六郎よ、尾張の大うつけが今では皇帝閣下と呼ばれている。人の世の評判とは所詮その程度よ。
余が最も嫌いなのは己の仕事を卑下することである!これまでも、これからも"情報"を制する者だけが生き残れるのだ!
忍びの者がいかに重要か、御主が仕えた真田家も慶次郎も奥村も野崎も良く理解している。
自分の事を卑しい身分などと2度と言うてはならん、思ってもいかん!
御主達は紛れもなく織田幕府を支える大切な家臣なのだ!分かったか望月六郎。」
「ううっぐううう」
「「「ううううううう」」」
六郎さんも他の3人も涙腺崩壊です。
こうして後の世に嘉南大圳では無く、"望月水路"と呼ばれる用水路が豊富な灌漑用水をもたらし、台湾1の穀物地帯が完成するのでした。
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信長皇帝閣下
理想の上司にしたい著名人No.1狙ってる?
怖いから作者は直臣だけは嫌だけど。
また明日!