第73話 薩摩国攻防戦
【カクヨムにて91話まで先行公開中】
1573年1月1日 3:00
薩摩国・内城
島津義久(39歳)島津氏第16代当主
「島のようなドでかい船から爆撃され手の打ちようがない。。。」
島津義弘(37歳)
「くそーほんのこて、きしはがい(悔しい)!」
島津歳久(35歳)
「桜島の上半分を吹き飛ばし、あのような形に変える等と神の所業だ!」
島津家久(25歳)
「船からの攻撃では、釣り野伏せの戦法も使いようが無い。」
伊集院忠倉(筆頭家老)
「勅命の領土返還は昨日迄にて、期限切れという大義名分なのでしょう。」
その時、襖の向こうの小姓から声が掛かる。
「申し上げます。敵兵と思われる松明が突如、内城を取り囲みました。その数おおよそ3万!」
伊集院忠倉
「上原尚近を呼べ!大至急だ!」
島津4兄弟全員が城の外を見る。
「何だ!どういう事だ!」
「先ほどまで誰1人居なかった!」
「おかしい、、松明は見えるが人が見えぬぞ、、」
「う~む、怪しの術?そんな馬鹿な!」
階段を駆け上がってくる武将が1人
「御家老お呼びでしょうか?」
「上原よ!お主の部隊200人が今夜の見廻りであったな。」
「はっ!突然大量の松明のみが出現し、今50人ずつ4編成に組み替えて接近を試みております!」
義弘
「物音1つしなかったのか?」
上原
「物音、気配、姿形、何一つ感知出来ませんでした。」
家久
「某も同行、確認してまいります。上原案内せい!」
信長の神力について噂で聞いていた島津家久。もしや?と思い上原の後を追っていく。
歳久
「何れにしろ城門も塀も粉々に吹き飛び、残っておるのはこの本丸のみ。
籠城戦が出来ぬとあらば、野戦で迎え撃つしか御座いませぬ。
手も足も出ない巨大戦船の相手をするより、まだましかと。」
義久
「野戦は望むところだ。
がしかし、あの松明の数が全て敵兵なら、今の内城の戦力では滅びるしかあるまい。
その時はわしが腹を切り許しを請う故、首級を上皇に持っていけ。
義弘!島津の家、薩摩の行く末は頼んだぞ。。」
「何を申されますか兄上様!我ら4兄弟、誰1人欠けても島津家ではありませぬ。
ましてや嫡男当主様を先に死なせる等と、この義弘どの面さげて黄泉の国へと旅立てましょうや?腹ならわしがいくらでも切りまする!」
歳久
「兄上。腹はいくつもござらぬ。わしはこれより出奔致します故もう島津家の者ではありませぬ。
島津歳久では無いわしが、どこで何をやろうとも家とは関係無く。
どれ、1人でも多くの幕府軍武将を道連れに致しましょう。御免!」
そう言い残し颯爽と階下へ降りて行った。
義弘
「あやつめ、抜け駆けは許さんぞ!某も出奔致し、敵兵を討ち取って参りまする!」
義久
「ええーーい待たぬか馬鹿ども!忠倉、歳久を連れてまいれ。武具を装着しているだろうから城内だ。
それと陣太鼓を打たせ兵士を集めよ、出陣致す!幕府軍と野戦にて決着を付ける!」
「はっ!直ちに!」
*****
島津家久
「これは何と面妖な、、、」
上原尚近
「はい、松明だけが浮いております。」
家久
「見ていても仕方ない、弓を持て!」
家久は浮いている松明の約50cm横を狙い、弓を連射する。
シュン、ガキッ!ゴキッ!キン!
目には見えない何かに当たり、弓が弾かれ落ちていく。
家久
「うっ!!やはり人がおるぞ!」
上原
「当番兵!!集まれ!!」
上原尚近200人の部下達が城門瓦礫の前に集合した。
「松明の下を狙い斬り込むぞ抜刀!」
「「「おおおーー!!」」」
上原
「突撃!!!」
「「「ちぇすとーー!!」」」
家久の護衛20人も加勢して、総勢220人の薩摩兵が斬り込んでいくが、ブン!シュン!空振りとなる。
家久
「消えた?松明ごと全て消えたぞ、、、?」
織田信長
「ぶはははははは、まったく薩摩兵士は血の気が多いのお。嫌いでは無いぞニヤリ」
そこには黄櫨染スーツと軍用ブーツを着用した、実にアンバランスな出で立ちをした大男が1人で立っている。
家久
「なっ!それは"錦の御旗"!!」
「島津家久か、余は大日本皇国初代皇帝・織田信長本人である!控えるが良い。」
上原
「??な?なにを申すか?皆の者!こやつを討ち取れ!!」
「手加減は無礼ゆえ動くと死ぬぞ。」
ズーーーン
勝敗は既に決している。信長は無益な殺戮を避けるため重力を行使した。
「うっ!!動けぬ!!」
「重い、、(汗)」
「なんなのだこれは!」
いきなり10倍の重力を掛けられ、膝から崩れ落ちる薩摩兵達。
「どうしたと言うのだ??」
重力行使から除外された家久と上原の2人。周りの異変に思考が追い付かない。
信長
「抜け!余が直々に相手してやろう。それとも軍勢無しでは掛かってこれぬ腑抜けか?」
上原
「ごらぁ!!言わせておけばーーーちぇすとーー!!」
キン!グギャ!
上原の素早く強烈な見事な打ち込み。
太刀筋を見切っていたが敢えて1合だけ受け、流すのでは無く正面から弾き返し、右脇腹に左フックを叩きこんだ。
「グエッ、、ゴホッ」
体がくの字に折れ曲がり、顔面から地面に突っ伏す上原尚近。口からは血が流れ出ている。
「中々良い太刀捌きだが余には通用せぬ。肋骨を3本程砕いてやった。血を吐いているが命に別状は無いぞ。
さあ家久来い!槍でもいいぞ、結果は同じだからな。」
「ぐぬぅぅ、ならばお望み通り槍にて御相手いたそう。」
重力で動けず、這いつくばって苦しんでいる家臣の槍を取り構える。
「ほおなるほど、実践的な構えだな悪く無いぞ。」
「ちぇすとーー!!」
家久の鋭い突きを刀で絡め取るようにして、左上に流した信長。
「それ!ズガッ!!」
懐に潜り込み右肘で当て身を喰らわせる。
「ガハッ!!ぅぅぅ」
苦痛に顔を歪めながら崩れ落ちる家久。
「構えも突きの速さも申し分ないが、突いた後がまだまだ遅い。両肘をもっと素早く身体に戻さなくては駄目だ!
今のように懐に入られ、脇差しで心臓あるいは内腿を一突きされる。足をやられたら戦場では死が待っているぞ。」
倒れ込み苦しみながらも、信長の的確なアドバイスを心に刻む家久。
「出動!」ズン!!
ステルススーツから一転、ド派手な黄櫨染・陸自スタイルで3万のAPC9部隊を再登場させる。
「相手は国境沿いに備えておるゆえ今現在800人しかおらん。
すでに薩摩北からは柴田軍先鋒・森可成の2万と佐々成政2万の総員4万も雪崩れ込んできておる。
陣触れ太鼓が鳴っておるゆえ兵も集まってくるであろうが、その数はたかだか知れているであろう。
勝敗は決した、無益な殺生は認めん。100人ついて参れ、残りは防衛に徹するのだ!銃撃は足のみ認める。
励め!!」
島津家久を抱えさせ内城にヅカヅカと入っていく信長。
「おのれ何奴!!ちぇすとーー」
ガガガ!ガガガ!ガガガ!
向かってくる50人ほどの薩摩兵士の足を、セミオート射撃で撃ち抜く100人のAPC9護衛部隊
「「「ギャーーー」」」
「「「ギヒーーー」」」
いくら命に別状無くても
マシンガンで足を撃たれりゃ、それは痛いです。
勇敢な薩摩隼人達も、目の前で繰り広げられる残酷な場面を見て、遠巻きに囲むしかなくなった。
「おい出て来い!島津義久・義弘・歳久!これが最終通告だ!
出て来ないなら薩摩中に艦砲射撃の雨を降らせる!」
薩摩中に響き渡るようなチート大音量スピーカーで、呼び掛ける信長。
その時
パララ!パラリラ!パラパラ
ドドドドドドドドドドドド
派手なクラクションを鳴らしながら、次々と軍用トラックが内城前に到着した。
「おお!間に合いましたぞ、早くしないと全て皇帝閣下に手柄を奪われてしまいますからなw」
先鋒大将の森可成が助手席から飛び降りてきた。
「ほお速かったな。スピード違反だぞ可成w」
「スピ?違反?それよりも閣下、参謀本部はお怒りですぞ!先程からまったく、総員連絡に答えられておりませぬ故」
「ん?そうか?ああ無線ドローンが故障したのであろうw余のせいでは無い。」
「。。。。。後で舅殿とやり合うのですな。。さて某は島津義弘との一騎討ちを所望致します。これは譲れません!」
「ふっ分かった好きにせいw」
内城、外には島津兵士も集まってきているが、続々と到着する織田幕府軍のトラックに圧倒され、城を遠巻きに見ている事しかできずにいた。
しかし中には、火縄銃と弓で攻撃してくる命知らずも居るには居たが、フルオート射撃で文字通り蜂の巣にされた。
『飛び道具の使用には容赦するな!』
新たな戦闘が起きぬよう、銃と弓に対してのみフルオートを許可している。
それを見た薩摩兵士達。
もう誰も抵抗する様子は無い。
APC9部隊3万
森隊と佐々隊の4万
そして吉川元春隊の2万が遠目に見えてきた頃、島津義久始めとする薩摩国首脳陣が階下へ降り、信長の前に現れる。
島津義久
「上皇様。某、島津当主義久に御座います。
この場で直ちに切腹致しますゆえ、どうか家臣領民達の命だけはお救い下さいませ。」
信長
「ならぬ!貴様の首など要らぬと申しておる。無論、薩摩の民や島津家臣の命を無闇に取るつもりもない。何故勅命に逆らった!聞こう。」
バン!!
「「「??はっ???」」」
片側に10人は座れる長テーブルと椅子を出し
「座れ!」
と言い放つ信長。
上座に高御座セットはお決まりである。
当然のように【三種の神器】
八咫鏡・八坂瓊勾玉・草薙剣
を揃え"錦の御旗"が飾られた。
「「「あああああ」」」
三種の神器を知らない1部足軽兵士もいるが錦の御旗は分かりやすく、薩摩軍は全員腰が抜けている。
10段上に鎮座して薩摩首脳陣を見下ろし
「申せ!」一言発し島津義久を睨み付ける第六天魔王。
『あっ!!忘れていた!あの者達の重力緩めねば(汗)』
いや忘れるなよ!10倍ってフツーに死ぬから。
『これで良し2倍なら軽く感じるだろw』
まあ。。。。。10の後の2ですから。。
島津義久
「畏れながら申し上げます。勅命に従わなかったのは某の不徳の致すと。。。」
「やめよ!義久!そんな格式張った当たり前の返答などいらぬわ!
素直に申せ!先祖代々伝わる土地を、なんで幕府なんぞに返還するのか!ふざけるな!であろう?」
「ぐっぅ!」
「まあ良い、薩摩だと豊後は隣国。大友宗麟と戦ばかりしていた故、キリシタン、伴天連、南蛮人も詳しいだろう?」
「?はっはあ」
それから信長は何故このような政策を実行しているのか、島津重臣、城前に集まった家臣団、城下町の民衆に聞こえるようチートスピーカーで話しかけた。
質疑応答にも丁寧に応じ1時間以上、日本の置かれた現状等を分かりやすく説いた。そして最後に
「権威の象徴として帝は確かに必要であった。だが見てみろ、権威だけで戦乱の世は終わらぬではないか。
島津とて勅命に逆らった訳だからな。
軍事力・経済力を持たぬ権威だけでは国は纏まらぬ、限界なのだ。」
「「「。。。。。。。」」」
「余はもう後戻りせぬぞ、ここまで説いて付いてこぬ奴等の面倒は見きれぬ。否!みる必要が無い。
伴天連、南蛮の食いものにされるが良かろう。
だが土地は別だ!日ノ本いや大日本皇国の土地は全て織田幕府で治める。政治とは政を治めると書く!
その第1歩が土地だ!余の治世に不服であるなら日本国から立ち去れば良い。好きな所に送ってやろう。
さあ今直ぐ決めろ!猶予は2年間も与えたのだ!武力で対抗すると言うのなら、今この場で余が直々に勝負してやろう。
家久と上原には手加減してやったが真剣にて立ち合ってやる。島津義久!返答せい!!」
ーーーーーーーーーーーー
天下統一最後の大仕上げ。
織田信長の問い掛けに島津義久はどう答えるのか。
それによって次回の展開が大幅に変わってきます。
作者もまだ悩んでいる。。。
また明日。