第72話 1573年1月1日 肥後・日向・大隅・薩摩攻め
【カクヨムで85話まで先行公開中】
大隅国・薩摩国
1573年1月1日 00:00
織田信忠関白海軍
阿部慎之助第5軍団海軍
それぞれの1個師団による艦砲射撃が始まった!!
敵水軍衆の船をイージス潜水艦・美濃型10隻が突然海中から飛び出して、次々と破壊していく。
鉄鋼戦闘艦(大和主砲・改)20隻による壮絶な艦砲射撃で、城は瓦礫の山に変わる。
尾張型1隻とイージス戦闘艦5隻はミサイル攻撃をするまでもなく、悠々とその巨体を薩摩・大隅の民衆に見せつけている。
真夜中なのでよく見えるように、空からオスプレイのライトアップで照らすという、軍事行動で隠密を自ら解く非常勤さ。
しかも全艦、ハデハデな黄櫨染である。
これでもかと力量差を知らしめながら、1個師団36隻の2個師団合計72隻が、それぞれの目標を正確無比な射撃で破壊していった。
「こちら参謀本部・遠藤です。
艦砲射撃終了後APC9部隊を薩摩・大隅にそれぞれ3万ずつ上陸させます。
関白殿下、阿部軍団長、両艦隊は援護射撃お願いします。
上陸訓練通り、博多湾東京ドーム転移ルームから1度に3万人送り出します。送れ!」
「関白海軍ラジャー!必要あれば援護射撃を行う。現状敵の城は壊滅。抵抗勢力無し!」
「阿部第5海軍ラジャー!同じく敵は壊滅、抵抗勢力無し!」
「参謀本部ラジャー!なお上陸部隊6万、夜間用ステルススーツ着用により目視完全不能。
艦隊赤外線モニターには映し出されますので、射撃の際には確認お願いします。
上陸予定時刻00:30マルマルサンマル送れ!」
「関白海軍、赤外線モニター確認マルマルサンマル、ラジャー!」
「阿部海軍、赤外線モニター確認マルマルサンマル、ラジャー!」
「参謀本部ラジャー!以上!」
総大将・織田信長上皇兼征夷大将軍は、20万のAPC9上陸部隊を率いて浮島型東京ドーム7号に詰めている。
ドーム内に設置された参謀本部。
織田信長を筆頭に馬場信春・北条幻庵・遠藤斎希ほか参謀部官僚20人。
織田幕府からは
織田信包・大納言
織田長利・関白軍参謀長
2人が出席している。
信長
「肥後・日向のオスプレイ空爆も順調のようだ。ナパームの炎は消えぬ故、城門も消失するだろう。
そこに陸軍が雪崩れ込む、野戦と同じだな。
余は薩摩・大隅の上陸部隊用に宿舎を設置してくる。
遠隔収納と違い実際現場の地形に合わせ、細かい修正が必要だからな。舅殿、後はお任せ申す。」
馬場
「はっ!お気をつけて!!」
**********
肥後国・陣ノ内浜御所
阿蘇惟将(52歳)
「何もかもめちゃくちゃだ。。。
降伏臣従するにしても、1合戦して面目を保てば、幕臣として肥後を任せられる等と御主が言うから、今日まで勅命に背いてきたと言うに。。」
甲斐宗運(64歳)
「。。。まさか空の上から、水でも消えぬ爆薬を落としてくるとは。。。
万策尽きたいま、某の軍勢8千にて幕府軍をくい止めます故、日向国へ逃れて下さりませ。」
「そうはいかぬ!父の代から阿蘇家へ尽くしてくれた御主を捨て駒にしてまで、命を永らえよう等と考える程、わしは恩知らずでは無いわ!」
「ですが時が有りませぬ。。殿さえ御存命であれば阿蘇家は復興かないます。
どうかお逃げ下さい。な~に幕府軍の10万や20万、この宗運!筑後に追い返して見せます。」
「馬鹿を言うな、この肥後を埋め尽くす様な大軍勢を見よ。
最早これまで腹を切る故、わしの首級を持って一族郎党・家臣の助命嘆願を請う。後は御主と惟種に託すぞ。」
阿蘇惟種(32歳)
「兄上!某もお供致します!」
「馬鹿もの!!お前まで死んだらそれこそ阿蘇家は滅亡するではないか!
阿蘇神社大宮司の我が家が滅びては健磐龍命様に顔向けが出来ぬ!
わしの首で何とか大宮司だけは存続させて貰うよう、書状を認める故にそれも持参いたせ。
宗運!介錯を頼む!」
甲斐宗運
「。。殿。。。。。」
阿蘇惟将
史実より11年も早く自ら生涯を閉じる。
信長は阿蘇神社の存続を許し、惟将実弟、阿蘇惟種が大宮司を務める事も許可した。
大日本"皇国"憲法において、全ての寺社仏閣は皇帝の下に位置し、皇帝の許可無く継続存続は許されない。
信長はゲネシスの言葉に従い、伊勢神宮以外全ての寺社仏閣を1度収納。
公正厳密に審査を行い、通過した者だけが存続の許可を得た。
(宗教改革の詳細は別話にて)
*****
肥後国・人吉城
相良義陽(28歳)
「何故この火は水で消えぬのだ!」
深水長智(40歳)
「殿、どうにもなりませぬ。日向国・伊東義祐殿に援軍の要請を御願いして参ります故、書状を認めて下さいませ。」
「うむすぐに書こう。伊東殿とは10年来の同盟を結んでいる仲だ。少なくとも5千は回してくれるだろう。」
どどどどどどどど!
廊下を走るけたたましい足音に
深水
「何事だ!」
小姓
「申し上げます!織田幕府軍の軍旗多数!人吉に向かっております。」
相良義陽
「多数ではわからぬが?」
深水
「すぐに確認して参ります!行くぞ!」
*****
物見櫓に登り相良家重臣・深水長智が見た物は。。。
「な、な、なんと言う。。。」
数えられないほどの松明ならぬライトの数だった。
深水
「殿。。。申し訳御座いませんでした。。。
上皇からの勅命に対し、戦でもって返答とする等と某、一世一代の愚策。。。」
相良
「長智どうしたのだ!!それより数は?幕府軍の数は?2万か、まさか3万ではないよな?」
首を横に振る深水
「そうか、そうであろう。
いくら幕府軍とは言え、九州のこの地まで大軍を率いるとなると、兵糧の確保だけでも大変だ。
豊前・豊後や筑前の平定にも兵を割いておる。いま動かせるのは1万5千程だな。
すると問題は空飛ぶ鉄箱だけだな。あれをどうするか。。ん?どうしたのだ長智?」
深水
「殿。首を横に振ったのは数えられないのです。」
「数えられない?夜で見えぬからか?」
「麓の更に遠方まで延々と繋がっておる軍勢。。。恐らく10万以上かと。。」
「なっ!!なんだと!!!」
その後、自ら確認しに櫓へ登った相良義陽。
「ははははは、、、終わりだ。籠城しようにも燃え残っているのは、本丸とこの物見櫓のみ。
あの軍勢と野戦だと。。。話にならぬ。。」
深水
「城門から水場、兵糧倉庫まで正確に焼いております。
本丸と櫓は意図的に残したのではないかと。。」
「あの数の軍勢を見せ付けるためか。。。」
「はい、、、この事態は幕府軍を侮っていた我にあります。
あの空を舞う鉄箱を初めて見た時、籠城の意味が無くなると悟ったのに。。
何の対策も思い付かない事に戸惑い、焦り、空を意識するのを止めました。。。
せめてその時に臣従するべきと殿に具申していれば。。
この怠慢の責は腹を切って詫びるのみ、御免!」
既に決めていたのであろう。
深水長智は直ぐに脇差しを抜き左脇腹を突き刺すと中央付近まで腹を裂いていく。
「長智!!!何て事を!!」
「ぐぬうぅぅぅぅぅ!!」
人間切腹では即死はしないので、激痛に苦しみのたうち回る。
その為に介錯を頼むのだが、余程責任を感じていたのであろう、自らの手で腹を裂いた脇差しを抜き首の頸動脈を切断する。
血飛沫が勢いよく噴き上がり、そのまま逆手に持って心臓を貫いた。
「ぐふぅぅぅ」
「長智!!長智!!!」
頸動脈と心臓からの大量出血の失血死。介錯無しの切腹ではあったが、苦しむ時間の短縮は、せめてもの救いだったかと。
自害で血みどろの重臣を抱き抱え、自身も真っ赤に血を浴びている相良義陽。
城に雪崩れ込んだ幕府軍先鋒・吉川元春2万の軍勢に取り囲まれ、あっさり捕縛される。
吉川元春
「これは!!!介錯無しで腹を召されたか!敵ながら天晴れな最後である。御遺体丁重に扱え、遺族にお返ししよう。」
全身血だらけ深水長智の遺体に布を被せ、担架で運び出す織田幕府軍。
壮絶な最後を遂げた猛将に皆敬礼を返す。
これにより肥後国の主な抵抗勢力は壊滅。
少数の集団も、博多湾参謀本部から送られた3万のAPC9治安維持部隊により、沈黙させられた。
吉川元春
「よし!いよいよ薩摩だ!我らは森 可成軍に先鋒を譲り、二陣・佐々成政軍の後方待機となる。
努々油断はするな!天下布武最終決戦なるぞ!!」
一同
「「「おおおおお!!!」」」
**********
一方日向国では、佐土原城を含む、主要な城を全焼させられた伊東義祐の軍勢に対して、織田幕府の狂戦士前田利家隊2万が暴れまわっている。
「ふん!どりゃ!まだまだ!!」
利家が槍を振り回す度に、複数の敵兵が薙ぎ倒されていく。
「おいおいまさかだろ、何で武器を捨てて両手挙げてんだよ。
ん?そうか?取っ組み合いがしたくて手を挙げてるのか!良しその喧嘩買った!」
降伏している敵兵に襲い掛かろうとする馬鹿犬!
「ひっ!助けてーー」
「前田様、止めなされ!」
「降伏しておるのです。取っ組み合いの誘いではありません!」
次鋒の稲葉貞通と三陣の森可隆が前田利家を止める。
「うむ。。。そうか、もう終わりなのか?。。仕方無い。。次の大隅国・肝付兼亮に期待しよう。」
遊軍の松永久秀隊により伊東義祐は捕縛され、この地での戦闘は終わった。
*****
日向国もう1つの名門縣土持の土持親成。
本丸にオスプレイのナパーム火災を受け、自らも消火に携わり酸欠で倒れてしまった。
周囲の兵士も消火に追われる者、同じく酸欠で倒れる者。
伊東攻めを免除され、縣攻めに回った織田信時2万(左翼)小早川隆景2万(右翼)の軍勢に包囲され降伏する者。
この状況で土持親成を救出する者は皆無どころか、倒れている事さえ誰1人知らない。
織田幕府軍4万の勝鬨が戦場に響き渡り、終戦となる。
肥後国、日向国
開戦から2時間少し経過した2:20。織田幕府軍により制圧されたのである。
**********
1573年1月1日 2:30
「こちら博多湾東京ドーム参謀本部、遠藤です。全軍に報告あり!
大隅国、肝付兼亮はじめ伊地知重興・禰寝重良・安楽兼寛など重臣一族郎党。
高山城にて年越し宴を行い就寝中のところ、関白殿下海軍艦砲射撃により城は壊滅。
偵察ドローン個別生体反応確認取れません。全員爆死したと思われます。
繰り返す大隅国重鎮一同全員爆死、生体反応無し!送れ」
「こちら関白海軍!高山城に志布志城は徹底的に砲撃しました!
領地返還勅命に従わず、主従一族郎党にて宴を催す等と幕府を愚弄する行為!示しがつきませぬ故に御座います。以上!」
「こちら織田信照隊!日向国制圧完了。APC9治安維持部隊3万到着しました。
これより大隅国へ侵攻開始!いまや首脳陣無き国にて、散発的な抵抗を排除しながら、薩摩国国境まで行軍します!以上」
「こちら柴田勝家隊!肥後国制圧完了。APC9治安維持部隊3万到着しました。
これより薩摩国へ侵攻開始します!先鋒森可成隊へ変更!以上」
「こちら織田信長だ!薩摩・大隅両国に"宿舎"を設置済み!
大隅国はAPC9治安維持部隊3万を既に動かした。
薩摩国APC9部隊3万は余が指揮を取り北上する!以上」
「こちら上杉謙信隊!出羽国・陸奥国制圧完了!城にいた敵兵は皇帝閣下のプレハブ内にてスシ詰め状態。
大雪の中、出てくる兵士は皆無!APC9を二手に分け4万を出羽国、6万を陸奥国の治安維持に配置しました!
越後出羽国境は、越後兵1万にて防御布陣を敷いております。以上!」
「こちら織田信広東京都知事部隊!最前線の部隊方々、素晴らしい戦果おめでとう御座います。
関東と陸奥出羽国境!幕府軍首都圏APC9部隊15万を出動させ、防衛戦を引いております。
副将軍閣下部隊は関東方面気にする事なく、北2国の治安維持に専念なされませ。
不測の事態起こりましたら、直ぐに援軍として閣下の指揮下に入るよう、15万人総大将・戸郷翔征軍団長へ指示を出しております。以上!」
「上杉謙信隊、首都圏部隊15万人の件ラジャー!忝ない以上!」
「博多湾東京ドーム参謀本部!馬場信春である!ドーム内にはまだ8万のAPC9治安維持部隊が待機中!
緊急事態あらば即対応する!残るは薩摩1国のみ!全軍気を引き締めて事に当たれ!
"皇国の興廃この一戦にあり"以上!!」
ーーーーーーーーーーーー
天下布武最終戦!やはり薩摩攻防戦となりました。
薩長連合は作れませんでしたね。そりゃそうだ幕末じゃなかったw
また明日