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第120話 剣豪・柳生石舟斎VS織田信長

 1574年10月10日 午後


 織田幕府・武道館


 柳生石舟斎

「このような見事な鍛練場で稽古できるとは、ありがたき幸せ。重ねて御礼申し上げます。」


 柳生新陰流創始者・柳生石舟斎と高弟(直弟子)4名、門弟20名の総勢25人の剣豪集団が板の間に正座をし、深々と頭を下げている。


 北条綱成

「柳生殿、頭をお上げください。柳生新陰流の実力を昨日しかと体験し、例え今月一杯の短期間なれど御教授が叶いましたこと、この綱成感謝の念しか御座いません。」


 柳生

「これはまた丁寧な物言い忝なく。

 戦場では鬼と呼ばれている地黄八幡殿にそこまで言われるとこの石舟斎、短い間ですが精一杯の稽古に勤しみたいと思います。」


 ズン!


 スチャ!


「ほお~流石だな柳生石舟斎殿

 1人だけ反応したかニヤリ。武道館での鍛練、短期間では物足りないであろう。このまま東京に残るって選択もあるぞニヤリ。」


 転移で突然現れた信長に対して、正座の姿勢から一瞬で半身に木剣を構えた剣豪・柳生石舟斎。


 綱成

「っつ!皇帝閣下!」


「久しいのお地黄八幡!59歳とは思えぬ体つきだ。鍛練は怠って無い様だな。」


「いえそれは……昨日柳生殿に木槍で完敗致しました……」


「戦場で生きてきた御主には血や臓物の匂い、目の前で行われる命のやり取り等々。

 実戦でしか得られぬ体感無しでは致し方あるまい。とはいえ柳生殿も松永の元で合戦は多数経験しておる。その腕前、是非余にも1手指南願えぬかな?」


 信長と視線を合わせ

 その目の奥を見て何かを察し、身震いする柳生石舟斎。

「お初に御目にかかります皇帝閣下様。普段であれば権力者からの指南申し込みは、手加減出来ませぬ故とか御戯れをとか申し断り、まずは我が門弟が御相手しております。

 ですが初めて儂の方からも、是非1手御相手して頂きたく。」


「話が早くて助かる。剣豪の名称が付いてるおるならば、言葉より立ち合いで相手を納得させるのも必要かと思うぞ。」


 そう言うと幹部候補生から模擬戦用の木剣を受け取り、白いラインで引かれた仕切り線に立つ信長。

 それに合わせ立ち上がり、信長と5m離れた仕切り線で武者震いをする柳生石舟斎。


 柳生松右衛門家信・高弟(直弟子)

「おお!師匠の武者震いを見るのは教興寺の戦い以来だ!」


 有地元勝・高弟(直弟子)

「それだけ皇帝閣下の剣術に何かを感じ取っているのか?」


 審判を勤める北条綱成の右手が下がった。

「始め!!!」


 信長

「ほお見事な構えだ、無形の位か。実に自然だな、相手を動かし居ながらにして勝つ!柳生の真骨頂だ。」


 中段に構え左右から速く激しく打ち込む信長。それをハラリひらりと受け流しながら、木剣表と峰部分を返し混乱させようとする石舟斎。


「うむ。素晴らしい、素晴らしいぞ石舟斎!」

 人の身で最高峰とも言える、技術と速さに柔軟さを兼ね備えた柳生新陰流に、ギアを1段階上げる信長!


 石舟斎

「ぐっ!!」

『なんて速さだ!衝撃と重さも桁違い。このままでは押し負ける!』

 表情は一切変えず信長の猛攻に耐える石舟斎だったが、内心危機感を感じていた。


「まだだ!まだまだだぞ石舟斎!」

 受け流しで耐える新陰流の限界の先に、何が起こるかを見たくなった信長は更にスピードを上げた!

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!

 パンパンパンパン!!!

 木と木が激しくぶつかり合う音だけは聞こえるのだが、


 柳生松右衛門家信

「ごくり。。剣筋が見えない……」


 有地元勝

「そんな……音しか聞こえん………」


 審判として近距離で見つめている北条綱成だったが、音と剣圧が起こす風を感じながらも、腕と剣の動きは見えていない。

「これは……いったい……」


 他の柳生門弟や幕府幹部候補生達も同様で皆が皆、息をするのも忘れてしまうほど2人の剣聖対決に集中している。


 ガンガンガンガン!!!!!

 バンバンバンバン!!!!!

 木剣同士の音も重くなっている。


 その時、広い武道館道場内に多数の見物人が集まってきた。


「こんな美味しい映像、撮らない訳が無いですから。皆さんこんにちはスクープの神様・浅野翔吾です!!」


 織田信広(信長庶兄)・幕府東京都知事から連絡を受けた浅野翔吾は、直ぐにステルスドローンを武道館に飛ばし、最初から全世界LIVE放送を流していた。


 信長は当然ドローンの動きを感知していたので、LIVE放送されている事を知ると、柳生石舟斎の人間離れした剣術を上手く引き出し、見せ場を作り盛り上げていたのである。


『ふん!小賢しい奴だ!だが柳生新陰流を世界に広く認知させるには必要だからなw派手に盛れよ翔吾!』


『はい!キャメラは15台廻してますから!』


 見物人達の1人吉川元春

「信じられん……全く目で追えぬ…」


 島津義弘

「この御二方は本当に人間なのか?どうすればこんな動きが……チェストーー!!」


 上杉謙信・織田幕府副将軍

「負けた…この2人の動き……我の剣術ですら赤子のように思える………」


 信長

「どうした石舟斎!無形の位はもう見切っておるぞ!逆に余が裏を取ってやろうか!!」


 ガガガガガン!!!

 ゴゴゴゴゴン!!!


 石舟斎

『ううう、腕が持たぬ。このままでは負ける!奥義で勝負をかけるまで!』

「本伝・参学円之太刀さんがくえんのたち半開半向はんかいはんこう


 信長「ほら!」ゴン!


斬釘截鉄ざんていせってつ


 信長「どうした!!」ガン!


 石舟斎「はあ・はあ・はあ・はあ」

 初めて攻めに転じた渾身の攻撃も通用せず、体力の99%を使い果たした柳生石舟斎。


「ふっ、ふふふははははは、見えたぞ…やっとその先が見えたぞーーー」

 そう言うと木剣を放り捨て、無手で信長と正体する石舟斎。


「「おおおおおお」」

 会場から思わず声がでる。


「そうだ!それが見たかったんだ!行くぞ石舟斎」


 前田慶次郎

「あれは新陰流無刀取り!」


 信長は鋭い踏み込みから真っ向上段に振り下ろしてくる。

「どりゃあ!!」


 最後の力を振り絞った柳生石舟斎!信長の懐に飛び込み剣の間合いを消した

「はあ!!!」

 見事両手首を掴まえそのまま捻り、地面に転がした信長のガラ空きになった喉元に手刀を突き刺す。。。。。ハズだった。。。。。

『な・ぜ・?天井が・み・える・・・』

 石舟斎の意識はそこで途切れる。


 信長

「ふぅ~大したものだ。強いにも程がある。」


 激闘が終わり静まり返る会場内


 信長は立ち上がると気を失っている石舟斎を抱え

「慶次郎早くチート回復をかけろ!」


「はっ!只今!!」


 全力ヒールで意識を取り戻した柳生石舟斎

「はあ~ここは…そうか負けたのですな儂は……」


 歩み寄ってきた信長はしゃがみ込み石舟斎に視線を合わせると

「勝ち負けは問題では無い。新陰流の…イヤ御主の柳生新陰流の限界の先に、何が起こるかを見たかったのだ!」


「儂の…柳生の新陰流…?」


「そうだ、最後の最後に見せた新陰流無刀取り。今日からあれは御主の柳生新陰流無刀取りだ!!」


「柳生新陰流無刀取り!!」


 信長は石舟斎を抱え2人で立ち上がる。

「皆の者も見たであろう。余の猛攻を防ぐ無形の位を。あれでなくば1合か2合で腕が痺れ、試合はそこで終わっていた。

 見事な受け流し防御、その後の反撃も皆は目で追えたか?見えた者がいるなら挙手してみろ。《《余が試してやる》》!」


「「「ざわざわざわ」」」

 ざわつく会場だが誰1人見えなかったのだから挙手はない。信長の試してやるの一言でハッタリかます馬鹿もいない。


「そしてたどり着いた柳生新陰流無刀取り。石舟斎の師匠である上泉信綱かみいずみのぶつな殿に、一国一人印可を授かった御主の原点が無刀取りの境地!それを今またここで再現できた!誠に天晴れである!!」


 ズン!


 信長は収納から天下の名刀・実休光忠じっきゅうみつただを取り出した。


「柳生石舟斎!御主の実力この信長感服いたした。これを授けよう。」


「えっ!!これは?」


「長舟派の始祖、長船光忠が作った実休光忠である。余は別名の備前光忠びぜんみつただと呼んでおるがのw

 頑強で斬れ味も鋭く剣豪の御主にぴったりの実戦用だ。」


 小姓を勤めるAPC9部隊が信長から受け取り、石舟斎に手渡そうとするが

「な、なんと!!!あの長船光忠作の名刀を儂に……模擬戦で敗れたのに…そんな…そんな…恩返しが…」


 流石の柳生石舟斎も負けた身で名刀を授けると言われ混乱している。


「……混乱しおって…らしくもないぞ石舟斎。まだまだ修行が足りぬ様だな!

 言うておくが1度取り出し授けた物はもう余の物では無い。もし御主が要らぬと言うのならこの場で東京湾に投げ棄てるまでだ。」


「へっ!!」シュン!

 大慌てで本来の石舟斎の動きに戻り、小姓から実休光忠を受け取った。


「皇帝閣下様との模擬戦に敗れた未熟者が、この様な名刀を賜りました事!この柳生石舟斎けして忘れませぬ。ありがたき幸せでは御座いまするが、どうやって御恩を返せば良いのか?

 戦乱の世は終わりを告げ、儂の様な剣豪は生き辛い世の中にて、混乱しておりまする。」


「うむ。確かにこの大日本皇国では戦の世は終わったが、まだまだ世界は戦乱の世の中だ。石舟斎!海の向こうの世界はとてつもなく広いぞ。

 織田幕府軍は今、世界各地に駐屯しておる。そこでは敵対心剥き出しに攻撃を仕掛けてくる軍勢もおる。

 どうだ!余の織田幕府剣術指南役として幕府軍を鍛え直してくれぬか?」


「鍛えるですか?それは毎日弟子を相手に行っている儂の日課です。そんな事で皇帝閣下への恩返しになるのでしょうか?」


「わはははははは!そんな事でとは頼もしいではないかw今頃この放送を見ている若い幕府軍兵士は、みな鳥肌がたっているぞw鍛練がより厳しくなって嬉し涙が出てるのではないか?」


「それは良いですな、、ぷっ」


「うむ、、ぷっ」


「「ぷははははははは!!」」


 こうして剣豪・柳生石舟斎御一行25名は、織田幕府剣術指南役として《《織田宗家》》に召し抱えられました。

 これは織田幕府では無く織田宗家、つまり当代の織田家当主の直臣という立場になります。


 浅野翔吾

「よしハイスピードカメラの編集も終わったぞ。2人の剣筋が速すぎて誰1人目視できなかったけど、1秒間に300万コマの超高速度撮影だからスーパースローで見れる。

 特に最後の新陰流無刀取りが決まったはずなのに、逆に背中を取られ落とされた場面も何が起きたのか分からなかったし。」


 猿飛佐助

「浅野殿はこういう御役目の時は生き生きしてますね。」


 翔吾

「ええ大好きなんですよwそれに全世界視聴率が常に95%以上ですからね。今日は何のCMにしようか?考えるだけでワクワクします。」


 望月六郎

「浅野殿!是非とも台湾産の米の美味さをピーアールウーとやらを、して下さい。」


「あっ!それはダメですよ✕

 ちゃんと広報室を通してCM料金を納めないと、皇帝閣下に収納されて、さ~む~いシベリア開発に回されますが?どうします?」


 望月

「じょ、冗談ですよワハハハ(汗)」


「よしと、ではスタート」


 **********


 石舟斎が信長の両手首を掴まえ捻ったと思われた場面だが、実は既に木剣を手放し、自ら超回転で背後に飛び回りながら両腕で石舟斎の首を絞め、両足を胴体に絡めて、蛇のように全身を絞め付けていたのである。


 フェリペ2世

「皇帝閣下は人間じゃないと思っていたが蛇だったのか、納得だ。」


 ロシアツァーリ国

 モスクワクレムリン宮殿

 イヴァン4世雷帝

「これ以上織田に関わるのは止めといた方が良いかも知れん……」


 ヴェネツィア共和国

 ドゥカーレ宮殿

 ドージェ&サン・マルコ財務官

「うん決めたぞ!織田信長とは仲良くしよう。前から言われていたカツ丼店100店舗を受け入れよう。」


 オスマン帝国

「取りあえず無視するんだ。こちらから仕掛けなければ何もしないと、信長は言ってるからな。」


 ネーデルラント各国

「あの国境を越えなければ信長に殺されないよな?」

「ああ多分な………」

「首絞め織田と首狩り本多…どっちがいい?」

「臣従が良いかと………」


 もしかしたら浅野翔吾の

 LIVE&News放映で、十分世界中を降伏に追い込める…かも知れませんね。


 また明日。




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