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生活安全局妖二課  作者: 真中祢緒。
第一章 始
1/8

どうも、俵巡査です


「おまわりさんおはようございますー!」



春を告げる花の蕾が膨らみ出した冬の終わり

通称さくら通りと呼ばれる通り沿いにある交番に毎朝立って子供たちの声を聞く

ここに配属されてもうすぐ2年。子供達の成長を親のように楽しみにしている自分がいる


「はい、おはようございます」


「おはよういっけい!」


「いっけいじゃなくていちゆだ!走ると滑って転ぶぞー」


「んなドジじゃねぇよ!」


「まもりがみさまもおはよう」


「キョン」


くたびれたランドセルを揺らして集団登校の列をはみ出してかけ出すわんぱく坊主。まだまだ新しい大きく見えるランドセルをしょって頑張って歩く女の子

中学をまじかに控えた女の子はどこか落ち着いていて一つ大人への階段を上がろうとしている。一人一人に声をかけ今日も元気だと親の目線で見守る。何をどうしても必ず付いてきてしまう愛犬ウィルは一結に習って共に朝子供たちを見送るからまもりがみさまと呼ばれている

ただついてくるだけで何か粗相をする訳でもないので仏のような上司は交番の守り神として置いておいてくれる(神!)



小学校の近くにあるどこにでもある交番勤務


平凡に警察学校時代を乗り越え地元の交番に配属になった元捜査一課に憧れていた俵一結は、この穏やかな日々が愛おしく思っていた



「今日も平和だ…」



重大なテロ事件も物騒な殺人事件も悲惨な交通事故もない

あるとしたら、落し物が届けられたり酔っぱらいが少し悪さするのを止めたりと、事件はなくはないがどれも都会に比べたらかわいいものでその後の書類作成や事後処理の方が大変なくらいだ

のどかで、平和

そんな町の小さなでも平和を脅かすものを取り除ける交番勤務という仕事を



「天職だ…、俺はここで街の平和を守るために生まれたんだ」




と思っている

これからもこの変わらぬ日々を守り、多くの子供たちの行く末を見守っていこうと心に決めた


「何してるの俵巡査。パトロール行くよ」


「はい!」









上司に呼ばれ今日も安全第一パトロール

下校の子供たちを見送って日報を書いて帰宅する

勝手知ったる道を進んで家に帰れば平凡な家族が平凡に出迎えてくれてあたたかな食事と穏やかな時間が迎えてくれる



「おかえり、一結」


「ただいま、母さん。父さんは?」


「まだ帰ってないから泊まりじゃない?先着替えておいで?」


「そうする」




匂いに釣られ愛犬ウィルは早々に腕から抜け出しリビングへ。

現金な犬だと思いながら自室で着替えをすませ再びリビングへ






「おや、一結帰ってたのかい」


「あ、ばぁちゃん。うん、ただいま。今日はカレーだって」


「ハイカラな…三国のはんぺん買ってきな」


「今いっても売ってないって笑。休みの日に買ってくるよ」



帳簿を片手に祖母が自室から出てくるところで連れ立ってリビングに向かう。祖父は一結が幼い頃に他界してる。写真でしか見た事がないが穏やかででもしっかりとした人だったそうだ。一代で地主として成り上がって母を含めた兄弟二人にそれぞれ土地を分け与えてくれた。元々は田んぼで米を作っていてそれは婿養子の父が継いだ。オリジナルの神喜米は知る人ぞ知る米で基本は神社やお寺の地鎮祭などの供え物用として使われる。基本市場には出回らず直接契約している企業と、母が運営してる喫茶店でのみ購入できるという少し変わったシステムだ



でも、甘みがあってふっくらもちもち粒の際立ちもしっかりした神喜米を食べて育った身から言わせてもらえば他の米は味気なくて食べた気がしない




「では、いただきます」

「いただきます」


何が言いたいかと言うと、今の生活が充実しててうちの米が美味くて、交番勤務は悪くないと言うことだ





























____、、、




「東京配属…!?なんで……!!」




もうすぐ桜が咲こうとする頃



告げられた事実に絶望した




「大抜擢だね、俵巡査。おめでとう」


「……」




確かに、警察官を目指したはじまりは花形の捜査一課やBOSSの某女刑事に憧れた…俵刑事ってカッコよくない!?



「でもっ…俺は改心したんだッ!地元の平和を守るって!!子供達の卒業と成長を、見守っていくって……!!」


「東京の子供達もいっぱいいるからね。都会の方が危険は多いだろうししっかり見守ってあげてね」


「……たしかに、そうだけどもッ!!」




見守ることは警察官として重要な職務ではあると思っている。

けれど、一結が見守り続けたいと思ったのは地元の子供たちであり、この交番から一番近い小学生達なんだ……!

警察学校で警察の厳しさを学び、夢を叶えるということの大変さを痛感し、それにそうそうに挫折し新たな身の丈にあった人生を歩もうと決めたはずなのに……





「どうして、俺なんだ……!」




社会はなんと厳しいのだろうか



俵一結


慣れ親しんだ地元故郷を離れ、


春から東京・警察庁生活安全局

妖二課配属となります






「……妖二課って、何?」












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