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食堂のおばちゃん9



 小一時間もかからぬうちにさっさと昼食と相談を終えたリドルフィとジョイスの二人は、王都にある冒険者ギルドに行くと言って早々に出掛けて行った。

今の時間から馬を飛ばせば午後一には募集が出せるはずだ。上手くしたら今日中に何人か中堅クラスの冒険者を確保してくるかもしれない。

リドルフィのこういう行動力は本当に頼もしい。やるって決めたら即動き出すからね。

二人が出掛けるのを見送ってから、あぁ、食堂の見習い募集も頼めばよかったかと思い出したが、それは後日でもいいだろう。別に急ぎではないし。


 カエル退治が休みになってしまった三人組はと言えば、ジュースをちびちび飲みながら寛いでいた。

いや、寛いでいるというよりだらけているの方が正しいかもしれない。バーンとかはテーブルに懐いているし。

もうちょっとしたら本格的なランチタイムだが、今はまだ彼らしか食堂内にはいない。


「……そう言えば、おばちゃん。斡旋してくれる仕事ってどんなの?」


 そんな風に声をかけてきたのは短剣使いのアレフだ。私が言ったことを覚えていたらしい。お行儀悪く椅子に逆向きに座り、背もたれに肘をついている。

 ここ数日この子たちを見ていたけれど、お調子者っぽい雰囲気のアレフはそれでいて他の二人を引っ張って行動に促していることが多い。軽い口調で、よし、やってみよー!なんて話しているところを何度か見た。

アレフの呼びかけに対して、思慮深く心配性なクリスがあれこれ準備やら懸念事項やらの話をして、最終的に行くぞーと行動決定するのがバーン、という感じらしい。

三人ちぐはぐに見えて、これはこれでバランスがとれているのだろう。

こちらに向けられた視線に、そうだねぇ、と私は一度思案してから。


「村の外は当分無理だろうから村の中の雑用だね。んー、柵の補強や畑仕事、家畜の世話あたりかな。あぁ、ダグラスのとこの棚卸も手伝いが欲しいって先日言ってたね」

「……えーー、全然冒険者っぽくないじゃん!!」

「あぁ、今日なら、リドたちが狩ってきた魔物の解体もあると思うよ」

「……うげぇぇ」


 さっきジョイスが討伐したイノシシ型の魔物をラムザに預けてきたと話していた。

ラムザは村の門番をしている男だ。若い頃に足を痛めているため長時間歩くような狩りには出られないが、元剣士なのでそこそこ腕もたつし、臨機応変に村のこともこなしてくれる。

平和な時は門番としての仕事もさほど多くないので、今回みたいな魔物や森の獣の解体もよく引き受けてくれていた。

魔物とはいえ、元は森の獣だ。状態次第ではその命に感謝し、貴重な食材として、しっかりみんなで食べることで供養する。

ちなみに魔物になってしまった獣でも、姿形がかなり変わってしまったものについては、食べずに神聖魔法で空に還すのが慣例だ。多分食べても大丈夫だろうが、万が一があっても困るからね。


「……って、早くいかないと始めてしまうかもしれないね。場所はわかるよね?  グレンダに言われたって言って手伝っておいで」

「うへぇ、どろどろ確定かぁ。……ほら、バーンいくぞー」

「解体かー……匂いつかないといいなぁ……」

「……えぇっと」


 テーブルに懐いているバーンをアレフが引きずるようにして引っぺがし連れて行く。

今はいやいやな風だが、ここ数日の様子を見る限りでは、やり始めたらちゃんと働くはずだ。

扉を出ていく仲間二人と私を見比べているクリスに、私は、うん、と頷いた。


「村の雑用をやってる間も、カエル退治と同じだけの日当を出すようにリドに言っておくよ。但し、サボってるのが分かったら差し引くからね」

「はい! ありがとうございます!」


 脳筋気味の前衛二人と違って雑用期間の雇用条件について言われていないことに気づいたクリスが私の言葉に、ぱぁっと明るい顔になった。

……本当にこの三人組はクリスが居なかったら立ち行かないんじゃなかろうか。

少年が三人分のコップを集めてカウンターまで返し、ぺこりと丁寧にお辞儀してから仲間二人を追いかける背に苦笑する。


「……ひよっこたち、ちゃんと育つんだよ」


 ぽそりと思わずこぼれてしまったのは……年をとった証拠かもしれない。


……魔物の解体をしてるってことは、もしかして倒したカエルの数確認をしてるのも門番のおっちゃんかな、なんて今更のように思いながら書いていました。

カエルを干す云々言ってるって事はやっぱり持って帰ってきてそうよね。

一応、この世界は魔法使いでなくてもみんな生活に必要な魔法はある程度使えたり、いわゆる魔道具が当たり前のようにあります。

人によって得意不得意はかなり出るので、みんなそれを生かして仕事をしたりしている感じです。

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