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食堂の聖女  作者: あきみらい
プロローグ
1/249

この世界の話

※順次改稿作業を行っております。2025/07/01現在、第三章まで改稿済。第四章以降作業中です。



  始めにこの世界の話をしようか。



 むかしむかし……なんて言葉にはできないような、ほんの三十年ほど前。

この国はいわゆる滅亡の危機ってやつに晒された。

魔族の長が率いる魔族やら魔物やら、その他諸々がこの国に攻め込んできて、国内のあちこちで戦いが勃発したし、それに伴う被害も目を覆いたくなるような有様だった。


 よくある物語のように我こそはと勇者を名乗り、それらの軍勢を討伐に出る者も少なからず居たが、ある程度は魔族軍勢を押し返すことに成功したものの、そこからは決め手に欠け、結果、十年にも渡る泥仕合。

その間に、強い意志と奉仕の精神で儚く散った勇者殿は数知れず。

ついでに、顕示欲から名乗り出たものの早々に逃げ出した勇者様やら、地元を制圧して勝手に小国を作って引き籠った勇者国王、なぜか大道芸人になってしまった勇者ちゃんなどの有象無象も数知れず。

そのお仲間も、新たな魔法学園や小規模の騎士団を作ったり、どこぞへ修行に出て行方知れずになったり、子をなして次世代に託したり、無理だと悟って廃業してみたり……などなど。


 最終的に長い戦いを終わらせたのは、勇者の一撃でも大魔導士の魔法でも戦士の一振りでもなく、両陣営の首脳陣による対話だった。

結局のところ、どちらもいがみ合うのに疲れたから仲直りしようというところで落ち着いたのだろう。

ならば最初から戦争なんてするな、と、声を大にして言いたいところではあるが……。

そこは、そうせざるを得なかった当時のことを知っている者はみんな苦虫を噛み潰したような顔でだんまりを決め込んでいるから、おそらく世に公表できない裏の事情ってやつがあったのだろう。


 何はともあれ、今から二十年ほど前、どちらもかなり疲弊した状態で平和が訪れた。

そこから後は若い連中も知っての通り。

あちこち焼け野原になった地を開墾し直したり、険しい戦いの跡地に残った呪いやら毒の始末に追われたり、野良化した魔物の退治に忙しかったり、まだまだあちこちに傷跡が残る国内を少しずつ立て直している真最中ってやつだ。

 なぜ二十年も経っているのにまだ立て直しきれてないのかって?

それは泥仕合をやっていた間に人口が三割程度まで減ってしまったのと、それだけ戦っていた連中の残した遺物がとんでもなかったってこと。

戦いでの敵だった魔族側も十年の間に随分とダメージを負って、未だにあちらも中々に大変らしい。

気がつけば、人も魔族も他種族も好き勝手に交流をはじめ、両陣営の中間地点には自由街なるものもできた。

大河の中州にできた市が発展してできたその街は、どこの国、どこの陣営にも属さず、今ではこの一帯で一番栄えている。

 ま、でも行くなら用心するんだよ?

あそこは誰でも受け入れてくれる反面、誰も守ってくれないところでもあるからね。



 ……さて、こんなところ、かね。

ところでおにいさん、そろそろ注文してくれないかね?

うちは食堂だからね。単なる冷やかしなら他に行ってくれないかい。


ふと、XX年ぶりに小説が書きたくなりまして。

どんなものを書きたいかと心の中を漁ってみたところ、先日会話に出た「食堂の聖女」という謎人物が浮かび上がってきました。


ありがちでごった煮なファンタジーの世界。

過去、聖女と呼ばれた女性は体型も崩れ皺や白髪に悩むおばちゃんに。

紆余曲折の末、なぜか今は食堂の店主をやってる彼女の一人称で語る物語、開幕であります。


もし良かったら、あなたも彼女の食堂で一時を過ごしてみませんか。

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