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喜劇・魔切の渡し  作者: 多谷昇太
第一場 魔切の渡し場
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悪魔登場

和子(М)「ああ、綺麗な夕焼け。今日もがんばったし、明日もがんばろう。一日一生、‘あすなろ教’で教わった通り精一杯やるわ。自立、自立。人に頼っちゃダメ、女だからって甘えちゃダメって、教団で教わった。教祖様、お米様、江戸っ子根性で明日もがんばります(夕日に合掌する)。(合掌終えて)あーあ、でもなあ、あたしも女で向こうは矢切の渡し。誰かいい人でもこさえて手に手を取って駆け落ちでもしてみたい。渡る向こうは千葉……じゃねえよ、しあわせの国かしら。それとも結婚と男まかせの、ギャンブルのような国かしら。結婚、結婚、結婚が第一。誰か金持ちの男を捕まえて、私たちを早く楽にさせろって、おっ母さんは云うし、お父さんはヌーボーとして頭ハゲてるだけだし、あちしは人生はそんなもんじゃないと思うし……ああ、いまだ我が人生五里霧中って感じだわ。あら?そう云えば沖から霧が出て来た。いけない、子供たちを待たせちゃ大変だ。ゴン太のやつめ、美人って云わせてやるぞ……」


和子、上手へ退場。下手から霧。矢切の渡しのBGМとともに下手から悪魔が漕ぐ一艘の船。BGM止む。


悪魔「♪♪連うれて逃げてよー、ついておいでよー♪♪ってか。へへへ。三途の川を漕ぎ切って、花の乙女の魂を奪いに来た僕なのよ。(上手に手を翳して)おお、向こうへ歩いて行くのが和子姉ちゃん。なんと純情そうな歩き方、そしてあのお尻!小父さんはね、許さないわよーっ。あんたみたいないい子が良心を失くさないなんて。必ずメッタメタにして、いじけさせて、この船にあんたの魂を乗せて連れて帰っちゃう。この俺こそがあんたがいま云ってたイイ男、どこかの色男なのよ。待っててねー。あとで文字通り、お邪魔するからねー」

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