下から見るか横から見るか
「彩雫くんよくできました」
「うぅ、もうお嫁にいけない」
すごく、激しかった。
「よしよし」
なんか、今日の百合無敵なんだけど。あ、あんだけ激しくして全然恥ずかしそうにもしないなんておかしいだろ。
「ふふ、されるがままに膝枕する彩雫くん可愛い」
でも、たまにはこういうのもいいな。男には全力で甘やかしてもらいたい欲望がある!欲望がある!
「百合の太もも柔らかい」
「もうさいだくんったら太ってるって言いたいの?よしよし辞めてもいいの?」
「ごめんなさい」
「素直でよろしい!」
あぁ、最高だ。下から見る彼女……百合の可愛い顔を見ながら甘やかされて気持ちよく寝るこの時間が永遠に続けばいいのに。
「ねぇおばあちゃんあの人たち何してるの?」
「あらぁ、仲がいいわねぇ。私もおじいちゃんとここでやることやったわねぇ。悪いから、あまり見ちゃあいけませんよ?」
……
「……やめるか」
「だぁめ」
「でも見られてるし」
「微笑ましく見られてるだけだし気にしないでも大丈夫」
「いや、それが嫌なんだけど」
「ほら、彩雫くん。よしよし」
うわぁいよしよしだぁ。
『ひゅ~~~バン!』
「あ、彩雫くん始まったよ!すごい、綺麗」
「都会と違って明かりも少ないし映えるよな」
「うん!人生で一番きれいな花火かも」
「セントレアの別荘で見た花火は?」
「セントレアには申し訳ないけどそっちは花火より記憶に残ってるものがあるから……」
何と言ったって俺らが付き合い始めた瞬間だからな。正直おれもあまり覚えてない……百合の横顔は鮮明に記憶してるけど。
「あれからもう1ヶ月か、時間は早いもんだな。こうして百合と膝枕しながらゆっくり花火見てるなんて当時の俺は想像もしてないだろ」
「そう?私はしてたけど?」
あれ?確かに当時とそんな状況変わってない?いや、というよりもとから付き合ってないのがおかしいくらいの距離感だっただけか。発展してない?
「ううん。彩雫くん前より積極的になってて嬉しい。じゃないと膝枕どころかキスもしてくれないでしょ?」
「確かに。そう考えると変わったんだな」
「うん!だって高校生の大事な夏休みの1ヶ月だもん!」
「にしても、まさかセントレアと杏華が付き合うことになるとは思いもしなかったけどな?」
「確かに。お似合いだとは思っていたけどびっくりしちゃう」
「あの2人俺らよりも前に進むペース早いからな」
「強気な杏華と推しに弱いセントレアじゃストッパーもないから……それに男女と違ってためらう理由も少ないし」
「それな、今頃は……」
『花火綺麗ですわね』
『ん、でも、セントレアの方が、綺麗』
『それなら杏華の方がもっと綺麗なうえに可愛らしいですわよ?』
『?かわいらしさは、セントレアが、上。ちゅ』
『い、いきなり何するんですの?!』
『つい、可愛くて』
『人が見てますわよ?』
『大丈夫、皆花火に、夢中』
『もう少し配慮をですわね……』
『なら、ばれないように、する』
『んっ!ちょっと鳳花、そこは!』
『女の子同士だし、問題ない』
「的なことにでもなってるだろ」
「それは彩雫くんの趣味?」
「まぁ嫌いじゃないな。でも事実だろ」
「うーん、そうかも。あの2人単純だから」
「おっと?悪口か?」
「そういう意味じゃなくて!」
「そんな慌てないでもわかってるって。純粋ってことだろ?」
伊達にも、何年も付き合ってきた友達だからな。あの2人についてはよく分かってる。
「月城くんと鳳花はどうしてるかな?」
「あの2人はセントレアと杏華と違ってめんどくさいからなぁ。正直想像がつかん。どうせまた腹の探り合いでもしてるんだろ」
「もう、鳳花ったら素直になればいいのに」
「それはそれで負けなんだろうよ、あの2人の間じゃあ」
「でも、今日の鳳花は覚悟が決まっているようだったしもしかしたらもしかするかもよ?」
「なら安心できるな。あの2人はいつも自分のことより相手のこと考えてるだろ?だから俺らもすんなりと付き合えたわけだし」
「私としてはもっとはやくデレてくれても良かったと思うんだけど……」
「ぐぬぬ、しゃあないだろ。色々と考える必要があったんだからさ」
百合のことだからないだろうと思ってたけどもしかしたら壷売られるかもしれないし?ちょろすぎるとそれはそれで男のなけなしのプライドが刺激されるし?何よりちょっと……そう、ほんのちょーっとやばそうなね?人だったからね?うん。まぁ二の足を踏むよね。しかもちょっとヤンデレ気質で?愛が重そうだったし軽率な行動はとりにくかったからな。
というのはまぁ隠しておこう。隠せるか分からないけど。
「それに、百合だって誠実な男の方がいいだろ?
「そうかもだけど……」
「ま、そんなことより花火見るか。ここのはそんなに派手じゃないけどそれがまた風流が合っていいんだよ、わびさびってやつ?」
「撃ちあがっては儚く散っていく……確かにそうかも」
「百合はそういうの詳しいもんな。一緒に居ると忘れがちだけどお嬢様だからなぁ」
「昔の私みたいにお嬢様然としている方がいい?」
「いやいや、今の方がいいよ……いや、たまにはお嬢様百合も悪くないな」
「うふふ、それじゃあそうしましょう」
「うん、最高。何がいいって昔の作り笑いじゃなくてしっかりとした笑顔で清楚だからいいな」
そんな子が膝枕しながら俺に向かってはにかんでくれているんだ。つまり、これがわびさび?
「彩雫くんは昔から変わらないね」
「まぁ、俺はそこらへん苦手だし何も考えてないからな。何?百合は俺に変わってほしいのか?」
「もっとデレて欲しいとは思うけど私はそんなこと……」
「いや、自分で言うのも恥ずかしいけどだいぶデレてるだろ。ほら、今の状況見てみ?」
「そうかもだけどまだ足りないし……あっ、そうだ。私強気な彩雫くん見たい!」
「オラオラ系ってこと?」
「うん!」
オラオラ系……だいぶ難しいな。ふるえるぞハート!燃えつきるほどヒ─ト!!いや、これは違うな。
「どこ見てんだよ、花火なんか見ず、お前は俺だけ見てろ」
「ぷふ、膝枕されながら言われても……」
「な、ゆ、百合が見たいって言うから!確かに客観的に見たら面白いだろうし俺も大爆笑するけど!」
「ごめんね?じゃあ、お詫びに……」
百合の顔で空が埋め尽くされる。そして……
「んっ!」
「ふふ、どう?」
「最高」
頭の下には百合の太もも、頭の上には百合の顔、やわらかい唇。あぁ最高だ。
次回最終回です。




