表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/99

射的

「彩雫くん!わたし、わたしっ!」


金魚すくいを楽しんだ後、縁日ならではのそこまで美味しくないけど美味しく感じる焼きそばをみんなで食べていると百合は口にするのが恥ずかしいのかもじもじしながら何かを打ち明けようとしてくる。


「百合、なんだ?言ってみな」


「わたし、射的がやりたい!」


百合が俺に関すること以外で自我を出すのも珍しいな。


「よし、じゃあ行くか!」


射的、いいよな。銃を持てるという所がいい。非日常の中で楽しめる非日常感ね?当たる当たらないだとか、銃口に細工がされて真っ直ぐ飛ばないとか色々と踏まえたうえでついついやりたくなってしまうんだなこれが。


「射的初めてやりますわね……」


「セントレア、よく、やりそう」


「……忘れてるかもですがわたくし一応お嬢様ですわよ?人が多くいるところに早々いけませんわ」


「自分でお嬢様って言っちゃうんかい。そんなだから忘れるんだよな」


「ん、セントレアは、残念」


「うちは久しぶりー、お祭りじゃなくて温泉地でやったのが最後だし?出来るか不安なんだけど!」


あー温泉地ね。なぜか射的屋とかピンボール屋があるんだよな。ちょっとした時間についつい行きがち。


「ま、俺らに任せとけって!な、楓」


「そうそう、何と言ったって僕たち地元じゃあゴルゴ兄弟って呼ばれていたからね」


「まさか、2人が、デュークだったとは」


「え、なに?さいだっちとかえでっち更家だったの?」


「ちゃうわ」


別にゴルゴの主人公でも、ウォーキングブームの火付け親で一世を風靡したウォーキングトレーナーでもないわ。


「じゃあどうしてゴルゴ兄弟なんですの?」


「いやね、彩雫が『スコープは必要ない』とかいうから」


「いやいや俺は言っただけだし?楓があまりにも商品落としすぎるから出禁にされたの忘れたとは言わせないぞ?」


「うん、何となく、分かった」


「まーじゃあ?その腕前見せてもらうし!」


「射的―、射的―、射的いかがっすかぁー?」


「おじちゃーん、全員1回ずつよろ!」


「はいよーって兄ちゃんらはだめだ!」


「っちバレてたか」


「あっはっは!さいだっちとかえでっちここも出禁受けてるのめっちゃ笑えるんですけど!」


「ん、出禁なんて、アニメとか、ラノベの世界でしか、見たことない」


「こっちも出禁なんて初めてしたぜ?兄ちゃんらったら店の商品を取りつくす勢いで取っていくもんだからよ?ったく他の人のことも考えて欲しいぜ」


「いやいや、利益取れなくなるから……おじさんちょっと耳貸して?」


「あん?何?彼女にいい所?初心者?兄ちゃんらが取った景品はいらない?しゃあねぇ、よっし、嬢ちゃんら待たせたな。1回分の弾だ、ほれ」


あいつ、上手く丸め込んだな。確かに初心者ではあるけどさ、絶対下手ではないぞ?特にセントレアと百合。


「とりあえず、兄ちゃんら手本見せてやりな。いつもの解禁してもいいぜ?」


「ふむ……善意に甘えるほど危険なものはない」


「ゴルゴの、名台詞」


「お、嬢ちゃんも分かるのか。こいつったらすぐものまねして撃つから見てる分面白れぇんだが盛り上がりすぎてな」


「なるほどですわ……」


そう、だから禁止されていたわけよ。


パンっ!


「ふむ、だいぶ銃口が曲がってるな。おっちゃん罠というものは、相手に不信感を抱かせないで嵌めるもの、だ……」


「あんたらならそれで十分だろ。打ちやすいのは嬢ちゃんらに渡すからな」


ならばいいか。このおっちゃんは悪人じゃないからな。いろんな人が楽しめるように考えてるから好感が持てる。


パンっ!


パンッ!


バンっ!ごとん!


「おぉ、落ちた!彩雫くんすごい!」


「10%の才能と20%の努力、そして30%の臆病さ、残り40%は運だろうな……ま、ざっとこんなもんかな。でも楓はもっとすごいぞ?」


パンっ!


バンっ!ごとん!


バンっ!ごとん!


バンっ!ごとん!


「す、すごいですわ!まさに百発百中ですわ!」


「ん、当てるだけ、じゃなくて、落としてるの、すごい」


「腕は落ちてないようだな、兄ちゃんら」


「まぁね、じゃあみんなもやってみてよ。釘とかで抑えてないから当てたらちゃんと落ちるよ?」


「ん、なら、早速」


パンっ


パンっ


パンっ


「当たらない」


「まーそんなもんっしょ!うちもやってみよっと」


パンっ


パンっ


「うーん、当たらないし」


「かたきは私がうちますわ!それで、どうやって打ちますの?レバーを引いて弾を込めるんですのね?」


パンっ!


「ふむ、意外と着弾点がずれますわね。大体右下に……」


パンっ!ごとん!


パンっ!ごとん!


「取れましたわー!結構簡単に取れますのね?」


「私もやる!」


パンっ!


「ふふ、調整して……」


パンっ!ごとん!


「うふふ」


パンっ!ごとん!


「うっふっふっふ!か・い・か・ん」


「俺の彼女が猟奇的な件について」


「こりゃあさいだっち浮気とかできないっしょ」


「間違いないな。する気はないけど疑わしいこともしないと心に誓うよ。じゃないと殺されそう」


「ん、百合は、ヤンデレ気質ある。それが、いい」


「……いやいや!お、おい嬢ちゃん達本当に初心者なんだよな?」


「そうですよ?さっき言ったじゃないですか」


「嘘だとは思わねぇけどよ、実はらいふるいずびゅーてぃふるな射撃部だったりしねぇよな?」


「射撃部ではありませんが、わたくしはよくクレー射撃とかやったりしますわ」


「なるほど、道理で撃ち方がきれいだと思ったわ」


「ん、美しかった」


パンっ!


パンっ!ごとん!


「うふふ」


「じゃあ百合が上手い理由は?」


「さぁ?普通に才能じゃない?」


「なぁ兄ちゃんよあんたらとんでもない奴連れてんな。ちょっと同情するぜ?」


いや、おっちゃんに同情されてもな。確かにはたから見たらとんでもないけおさ。その証拠に俺と楓で目立って、美少女が多いことに気が付いたからか店の周りに人だかりができてたのにもういなくなってるからね?


「えーうちも当てたくなってきたし。かえでっちこんな感じ?」


「て伸ばさないほうがいいよ。台の上に肘を乗っけて」


「こう?」


「もうちょっと脇を閉めて、そうしたら狙うだけ」


パンっ!ごとん!


「あ、当たったし!さっすがかえでっちいえーい!」


「はっ!彩雫くん!わたしも撃ち方わからなくて……どうやって撃ったらいい?」


「いやいや流石に無理があるだろ。さっきまで狂ったように景品に当ててたじゃん」


「うぅ」


「ほら、こっちこい」


「え?」


とはいえ、理性と感情は別物だからな。俺だってこう彼女にくっついて教える的なイチャイチャがしたいわけでね?


「いいか?こうして肘を台に乗っけて安定させたら肘を引くしたら、的と銃、目が一直線になるようにして撃つ!」


身体を密着させて教える、まさにテンプレ。いつもは攻めてくる百合も逆に攻められることには慣れてないからドキドキしているのがまた最高だ。


え?人前でイチャイチャすんな?いやいや、これはイチャイチャじゃないから。銃の打ち方を教えているだけだから。断じてイチャイチャじゃないから。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ