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浴衣フェチ

「彩雫くん、どうかな?」


「……」


「さ、彩雫くん?」


「はっ!あまりにも美しすぎてちょっと意識が宇宙に飛んでたわ」


おばあちゃんちにみんなできた最大の目的の花火大会に行くために浴衣に着替えた百合。俺はそんな百合を見た瞬間に美の女神が人の身体を借りて降りてきたんじゃないかと錯覚するくらいの美しさを見た。


藍色の生地に薄いピンク色の百合がデザインされている浴衣が百合の陶磁器のような肌を強調させている。髪型はつややかな黒くてきれいな髪を活かした普段のロングではなく、アップスタイルにお団子ヘアーなため艶めかしく優艶さを感じさせるようにうなじが顔を見せている。普段から清楚な雰囲気はあるが今の百合にはセクシーさもありつつ、おしとやかさも醸し出すことに成功しており。二律背反する2つの性質は百合という存在の中でビックバンを起こし内側に内包する莫大なエネルギーは指向性を持って俺に奔流する。


「そ、そんなに見つめられると恥ずかしい……」


「すまんすまん、いや本当に似合ってるよ」


ついつい高尚な感想を抱いてしまった。まぁそりゃあ似合うよな。百合の家に行ったときは皆着物だったし、家じゃ百合も着物なんだろう。


ちなみに、着物と浴衣の違いは生地とか用途とか色々あるけど着物は通年、浴衣は夏だけしか着ないらしい。さっき先に着替えて待ってる間に調べた。


「彩雫くんもかっこいい!文句はないけど、いつもだらしない格好してるから……」


「ま、祭りに行くならそれ相当の服で行かないとな!」


「ん、流石、分かってる」


「ですわね」


「おぉ、2人も来たか」


「彩雫に、見せたいからって、百合、急ぎすぎ」


「おーっほっほ、わたくしの浴衣どうですの?」


杏華は白を基調として黄色の柄が入った着物だ。膨張色且つ、子供っぽさが出やすい色合いだがそんなデメリットをうまく使いこなし、まさに杏華らしい着こなしになっている。


それに対する彼女セントレアは青色の浴衣だ。金髪と合わさり高貴さのハーモニーが生まれているが……そんなことどうでもいいくらいに膨張し主張をする2つの物体がある。百合からの冷気を感じるけどついつい目が行ってしまう。


「はぁ、これはしょうがないかもだけど。もやもやする……てい!ばしッ」


「はぅ!ちょっとなにするんですの?!」


「しょうがない、私の自慢。独占したいけど、しきれない」


だな、これは人の手に余るものだ……物理的にも。だからどうしようもない。


「楓、俺らは所詮ただの人耐えるしかないな」


「いや、僕は別にそういうの興味ないから」


「ですよねー」


「楓も、よく、似合ってる」


「ありがと」


野郎の浴衣なんてどうでもいいだろ。みんなどうせ紺色の浴衣なんだから。それよりも……


「どーようちの浴衣!」


「うん鳳花も可愛い!」


「ん、似合ってる。ギャル浴衣からしか、得られない栄養が、ある」


でもちょっと意外だな。鳳花の浴衣はピンク色でちょっとかわいらしい。とはいえ、ギャルが好みがちなイメージがあるショッキングピンクではなく、やさしい淡いピンクだ。所々に白い花がデザインされていて優しい印象を持たせている。まぁ優しい所がある本人を表していると言えば表しているな。


「ほぉ、これはすごい光景だな。私は感動しているよ。彩雫、ありがとうな」


「まぁ、父さんの気持ちも分かるがそうやって言われるとなんかね?」


みんなタイプが違った美人だし、そんなみんなが浴衣という追加武装で固めている。そりゃあ男なら誰しも壁になりたいに決まってるな。とはいえ、父さんが息子の友達を見る目としては一言いいたくなる。ま、オタクとして萌えの視点で言ってるだろうから下心とかないだろうしいいんだけどな。


というか下心あったらお母さんが黙ってないだろうな。


「百合ちゃん凄かったわねぇ。まさか私よりも着付けが上手いとはびっくりしちゃったわねぇ」


「そりゃあ私の百合ちゃんだもの」


「いや、誰がお母さんのだよ」


「私の物は私の物、彩雫は私の物。なら彩雫の物は私の物、でしょう?」


「親のセリフか?」


「彩雫も、新菜さんも、仲がいい」


「ねーうちもこんな軽口言い合わないし?」


うちは良くも悪くも両親ともに子供っぽいからな。子供である俺らと精神的波長が合うんだろうさ。


「とか彩雫くん考えてそうだけど、彩雫くんも子供っぽいところあるから」


「ね、感情とかテンションのままに動くのとかまさにね?」


「ん、それがいい所」


なんか、冷静に分析されると恥ずかしくなってくるものがあるな。


「よし、色々出店も出るし早めに行こうぜ!」


「逃げた」


「逃げたし」


「逃げましたわね」


戦略的撤退だ。




「お祭りですわー!」


「ん、テンション上がる」


「僕には全然テンション上がってるように見えない」


「楓はそんなこと言ってるからまだまだなんだよなぁ。っし、まずどっから行く?」


「あ、うち金魚すくいしたーい!」


家から多少の距離を歩いて花火大会となる川の近く、出店が多く出ているところに来た。ここら辺の伝統行事で観光誘致もしているためか結構な人が居るな。この感じ去年よりも人が多そうだ。


というのもどうやら結構な伝統があるみたいで、花火大会は後付けらしい。元は灯篭祭りで言い伝えによれば運百年前からどうのこうの的な。それだけなら色々なところで灯篭祭りは開催されているしそこまで人は来ないだろう。が、ここの燈篭はお盆にやってきたご先祖を送るために船だけでなく精霊馬、キュウリとかナスに箸を指したやつを中に入れるためめちゃくちゃでかい。そんな灯篭が川を一斉に流れていくんだから見ごたえがある。


そうしたら当然人が集まるわけで出店が集まり、花火大会もするようになった。というわけで俺らは金魚すくいが出来るわけだ。


「私初めてやるかも」


「やり方わかる?」


「分からないけど、やってみる!」


「よし、その意気だな。おっちゃん取り敢えず1回お願い」


「金魚持って帰るかい?やるだけ?なら100円引きだ」


ふむ、結構頑丈そうな紙だな。だけどその分金魚の活きがいい。こりゃ初心者にはちょっと難しいかもな。


「いけーゆりっち!」


「うん、てい!」


ぴちぴち、ぽちゃん


「あ、破れちゃった……」


「百合が、出来ない。珍しい物を、見た」


最初ならしょうがないけど百合ならなんか出来ちゃうんじゃないかって気がするもんな。


「じゃーうちもやろっかなーおじちゃん1回!」


「ほいよ」


「ありがと!んじゃ、ゆりっちしっかり見とくし!てい!とう!たぁ!」


「すごい、流石、鳳花」


「まー余裕っしょ」


「なるほど……おじさんもう1回お願いします」


さぁ、どうなる。さっきはポイを素早く動かしたり、水を切らず掬っていたけど改善できるか?


「まずポイ全体を水に濡らして張力を活かしつつ、水面と水平方向になるようにゆっくりと動かして金魚を追い詰めて、えい!やった!彩雫くんとれた!」


「よかったな、2回目で出来るとは百合はすごいな」


「えへへ、彩雫くん!」


「おじさまわたくしにもお願いしますわ!」


「私も、お願い」


どれ、俺も彼女にいい所見せてやりますか。

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