世にも奇妙な打ち上げ会場
「ふあぁぁ、あ?どこだここ。さっきまでセントレア争奪バトルロワイヤルの会場にいたはずじゃ……」
「彩雫くんようやく起きた?」
「百合、ここは?」
【いちゃいちゃしないと出られない部屋】
「な、何だって?!」
「ね?だからイチャイチャしよう?セントレア争奪バトルロワイヤルにかかりっきりでラブコメ要素、じゃなくて彩雫くんとあまりイチャイチャ出来なかった……だから、ね?」
「ちょっと待って?いったん落ち着かせて。え?どういう状況?いや、状況は分かったぞ?けど一ミリも理解できねぇ。○○しないと出られない部屋って実在するの?するみたいだな。となるとこの状況を作った犯人がいるわけで、その人に見られながらイチャイチャはしないぞ?」
「……しないの?」
可愛い。じゃなくて。
「そんな上目遣いで言われてもしません!いや、俺だってイチャイチャしたいよ?でもさ、誰かの手のひらの上で踊らされるのは癪だろ」
「そうかもだけど。私は実利を取る!」
「百合はそうだよな」
「それに、こんなこと出来るのなんて……」
「まぁ、セントレア筋だろうな。会場ならやりたい放題だろうし」
【あら、もうバレてしまったのね?あまり面白い展開にはならなかったわ】
「この声はセントレアのお母さん?」
【そうよ。ちょっと待ってて】
ウィン
「初めまして、一条・フラウ・アラナンよ。いつもセントレアちゃんがお世話になっているわ」
「初めまして、三矢彩雫と申しま……じゃなくて、この状況は何です?」
「杏華ちゃんとセントレアちゃんが打ち上げすることになったから家まで招待することにしたのよ。それでせっかくなら面白いほうがいいじゃない?」
「そんなお手軽感覚に俺ら拉致られたの?うん、まぁいいや。ということは他の2人、楓と鳳花は?」
「起きるの遅いよさいだっちー」
「もうちょっとさ、オーディエンスのこと考えてくれないと」
「見てたのかよ」
「2人も同じのされたの?」
「されたし?まじびっくりてきな?」
「まぁすぐ意図に気が付いたからね。僕は楽しめたよ」
「そりゃあ私で楽しんだようですし、楽しめましたよね?まさか、私がはめられるなんて……」
え、楓何やってんの?!セントレアのお母さんで楽しんだの?!
「はぁ言い方に悪意を感じる。ほら、どうせ彩雫も冗談だって分かってるでしょ」
「まぁね?」
楓のことは理解してるしな。
「さて、皆の所に行きましょうか」
「みんなの所?あぁそういや打ち上げやってるって言ってたな」
「もう、それなら普通に呼んでくれたら良かったのに」
「それがお母さまなのですわ。まったく、みんなが来ないからお母様に聞こうと思い来てみれば……」
「あーせれあっち!めっちゃ久しぶりに会った気がするし!」
「1週間くらい会ってないだけですわよ?!」
「お、1000人に実質求婚されたセントレアさん調子がよさそうで安心するわ」
「ね、これも杏華が勝ってセントレアと結婚することになったからね」
「せれあっちあのスリーサイズってまじ?」
「揶揄うのは辞めてくださいまし!ほら、早く行きますわよ!来るのが遅いから杏華が待ってますわ」
それもそうだな。心配かけさせた罰はこれくらいにしてやるか。
「ここ……居酒屋じゃねぇか!」
「打ち上げと言ったら居酒屋でしょう?定番じゃない」
「そうですね!それが、めちゃくちゃ高級そうな家の一室じゃなければ!」
「彩雫くん、もう常識はなくした方がいいんじゃない?」
「百合が諦めた?!違う、悟った顔だ」
「僕はもう理解したからね。全く違う生き物だって」
「それが諦めじゃね?」
「さいだっち……突っこみ疲れない?」
「疲れるよ!」
俺だって、突っこみたくて突っこんでるわけじゃないからね?いくらこういう異次元的展開に慣れてきたからと言ってもツッコミどころは突っこんじゃうだろ。
って、輪から抜けてくるの杏華じゃん。
「ん、やっと来た」
「し、しいなっちぃ!ゆうじょうおべでどうぅぅぅぅ」
「ん、泣かない。セントレアじゃ、ないし」
「……ごべん、つい」
「杏華、ありがとうね」
「やりたいことを、しただけ。百合も応援、ありがと」
「本当に心配したんだから」
「ごめん」
「俺は信じてたぞ?なんたって相棒だからな!」
「彩雫ずっと、杏華なら相棒ならって言ってたからね」
「ん、知ってる。楓も、ありがと」
「ごほん、青春もいいが私を無視するとはやってくれるじゃないか」
この声!首相?!
「ほぉ、ラスボスと出会ったと言いたげな表情。悪くない!」
「紹介する。私と、セントレアの、友達。左から彩雫、百合、楓、鳳花」
雑だな。まぁいいけど。追加で自己紹介するだけだし。
「自己紹介ありがとう!僕は松岡修一、椎名さんの友達なら僕らきっと仲良くなれるよ!」
「ふん、これだから脳筋は困る。僕は仲良くしたいなんて思わないよ」
「んなもん話せばわかんだろ?俺は虎と呼ばれてる。よろしくなぁ」
おぉ、もしかして今の生夜露死苦じゃね?つだけんっぽくてかっけぇんだよなぁ。憧れる!
「おー本物じゃん。あ、うちのことは鳳花でもほうかっちでもいいよーってうわ!修一さんの周りあっつ!」
「はっはっは!僕は世界一熱い男だからね!あと、僕のことは修一でいいよ!」
「虎さんもまじかっこいいし。やっぱ経験値?的なのが溢れてるのがその元になってるっぽい?」
「考えたこともねぇが、そうかもな。人ってのは自分にないものに憧れるもんだ。俺の経験はその瞳に移りやすいんだろうよ」
「鳳花はこんな面子を前にしても相も変わらずだね。僕なんてもう手汗が凄いのに」
「杏華は昔から、物怖じしない性格だったから。じゃないと私とも仲良くなるなんてことなかった」
「あそこって繋がるんですね」
「勉強不足じゃないかい?あれは……」
「うん、彩雫も彩雫で、相も変わらずだね」
「彩雫くん、ゲームが好きだから」
「というかゲーム馬鹿だから」
だれが馬鹿じゃ。聞いてるからな?
「なぁこれはわざと放置しているんだよな。首相であるこの!私が!ここまでコケにされることがあるか?あるはずがない!」
「いつも言ってるじゃありませんの。首相でそんな性格だから近寄りがたいんですわよ」
「それはセントレアもだろう?!それに、だ!杏華はすぐに打ち解けてくれたじゃあないか!」
「それは杏華が特殊すぎますわ!」
うん、杏華が特殊だな。俺だって避けてたわけじゃないぞ?ただ何というか、距離感がつかみにくいよな。変に遜られるのも苦手そうだし、かと言っていきなり杏華みたいにずけずけと行くのも難しい。所謂デッドロック状態っていうやつだな。
「何を難しい顔をしている!君が杏華くんの言う相棒なんだろう?」
「へ?杏華そんなことも言ってるのか」
「問題、ある?」
「この首相が!頭を下げてバディになってほしいと頼んだのにだ!相棒の枠は埋まっているからと断られたんだ。その相棒が誰か気になって仕方がない!」
「普通に、友達に、なりたいなら、おkなのに」
「それは……背中がムズムズするんだよ」
素直になれない子供か?
「わかるぜ?そういう時は拳で語りあう、そうすりゃあ気が付きゃ仲良くなってる」
「そういうものか。漫画で見たことがある!」
「首相って意外と純真なんだな」
「なんだい?君は私を馬鹿にしているんじゃないよね?」
「首相さんは認めた相手の言葉を疑うということをしないのですわ。色々と抜けている所もありますし結構可愛げがありますわよ?」
なるほど、ツンデレ少年タイプだったか。




