セントレアの視点
~~~旅行の少し前~~~~
「お父様がわたくしの家に来るなんて珍しいですわね」
「本当は父さんもこの家に住みたい!が、どうしても仕事があるとな。セントレア寂しい思いをさせてすまん!」
「大丈夫ですわ!自分から言い出したことですわよ?それよりも顔を合わせて話したいことがあるんですわよね?」
「あぁ、セントレアの将来にかかわる重要な話がある」
いつも家族の前で見せるおどけた調子のいい父親ではなく、仕事での父の顔になる。それほど重要な話ということなんですのね……。
「実はだな……この資料を見てくれ、セントレアの伴侶としてふさわしい人を決めようという催しが開催されることが決定した」
「どうしていきなりそのようなお話が出てくるんですの?!お父様主催ではないですわよね?」
「あぁ、申し訳ないが、この動きに気が付くのが遅れてな、賛同するものが多かったこともあって既に大きな規模になっている。父親としては「ぽっと出の野郎になぜ娘をやらんといけない!」と言いたいところなんだが、セントレアもいい歳だ、あとは分かるだろう?」
自分の意思で、行うも、もみ消すも、好きにしろということですわね……お父様からもらった資料にざっと目を通すだけでも規模の大きさが凄いことがわかりますわ。これ参加者何百人、下手したら数千想定してますわね
「本当に、どうしてこうなったんですの?」
「転校して、この家に住み始めてから、セントレアの社交界での評判がうなぎ上りでな?」
転校してからということは、自分でも気が付かないうちにみんなと出会ってわたくしも変わったということですの?
「初めのうちはようやく、娘の魅力に気が付いたか!と鼻が高かったんだがな?その勢いはとどまることを知らず……気が付いたらセントレアガチ恋勢がこんな催しを!
「お父様の口からガチ恋勢という言葉を聞くのなんか嫌ですわね」
でも、ガチ恋勢……つまりお金だとか地位につられてではなく、本当にわたくしを想ってくれているんですのね。
「お父様この催し、セントレア争奪バトルロワイヤルをわたくしは容認しますわ」
「セントレア、本当にいいのか?」
「はいですわ、わたくしもそろそろ婚約を考える必要がありますし、いい機会ですわ」
お父様とお母様はわたくしの年齢の時にはもう結婚していたと言ってましたわ。一条家としてわたくしも将来について考えないといけませんし、ガチ恋勢の方々は本気でわたくしを想ってくださっていますし断るのも申し訳ないですわ。
「セントレア、家のことは考えなくてもいいからな?本当にいいのか?お父さんはいつでも味方だからな?」
「お父様くどいですわよ?わたくしがもう決めたことですわ!」
それに、彩雫と百合さんを見ているとわたくしも恋人が欲しいと思ってしまう。杏華を見ているとわたくしも恋愛がしたいと思ってしまう。これも変化かもしれませんわね。と思いましたけど、昔からわたくし白馬の王子様に憧れていましたわね。
「……相手方には許可を出しておこう。それと、行うのであれば一条家としても完全なバックアップを行うこととなる。規模は想定よりも増すかもしれないが問題ないか?」
「大丈夫ですわ」
お父様がバックアップするのであれば、良くない人は事前に省かれそうですわね……少し不安も生まれましたが。
~~~オフ会~~~
「戻りましたわよ!あら?どうしましたの?」
なんか雰囲気が変ですわね。難しい話をして解決した見たいな表情してますわ。
「いやね?杏華が漢らしいよなって話をしてて」
「あら、いまさらそんな話をしてましたの?」
そんなこと話すまでもないですわよ。
「いやー結婚するなら、しいなっち見たいな人がいいよねーって?」
「なるほどですわ、杏華と結婚……いいですわね!」
「だよねー、あっ、でもせれあっちそもそも結婚したいん?」
「結婚というより恋愛が、甘酸っぱい青春に憧れますわ!……といっても実際わたくしがまともに恋愛することはないと思いますわ。杏華と結婚できるなら最高ですわね」
例の催しがあるのは皆さん知らないから今頃頭の中に疑問符が浮かんでそうですわね。杏華みたいな人が勝ち残ってくれれば……いや、むしろ杏華が勝ち上がってくれたら最高ですわ。
頼りがいもありますし、かと思ったら彩雫との関係について相談してきたり意外と弱くて可愛い部分もある。杏華と結婚したら楽しそうですわ。
「僕はよくわからないんだけどさ杏華モテすぎじゃない?学校でも杏華兄貴って呼ばれて椎名組ができるくらい慕われて……」
彩雫と百合さんのイチャイチャも慣れてきましたわ。わたくしじゃなくてこの2人の方が早く結婚すべきだと思いますわ。あとわたくしは月城さんと楓さんも最近少し距離が近くなっていて怪しいと思いますの。いいことですわ。
「そういえば、杏華の弟とセントレアの妹は?」
「あら?来ませんでしたの?杏介くんが先に戻るようでしたので、ダリア……私の妹を付けて送り出したのですが、来てないのはおかしいですわね」
迷子になることもないと思いますし、御手洗にしては長すぎますわ……
「……不安ねぇ」
「探さないとだな」
「ここから出たらハニーさんとサトウさんに連絡が入るはずですし、大丈夫だと思いますわよ?」
「ん、探したほうがいい」
「そうねぇ、一応探しときましょう?」
「その必要はありませんですの……お、おねぇさま!どうしてわたくしに言ってくれませんでしたの?!」
無事そうで安心ですわ。でも、ちょっと様子がおかしいですわね……
「姉ちゃん、本当に結婚するのか?俺以外の奴と……じゃなくてそんなの普通じゃないだろ!俺は認めないぞ!」
「なっ!わたくしのお姉さまを認めないとはどういうことですの!」
「そういうことじゃねぇし!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいですわ。なんの話をしているのですわ?それに、杏華が結婚って誰と……どういうことですの?!」
全く理解できませんわ。ダリアに言っていない……杏華が結婚……何のことですの……
「結婚話を進めていたのはお姉さまですの!そんなことわたくし知らされていないですの!」
「もしかして、あの事ですの?!それは杏華の結婚とは関係ないですわよね……そもそも、誰にも言っていないのにどうして知ってますの?」
セントレア争奪バトルロワイヤルのことですの?!みんなにはもちろん、ダリアも心配して反対すると思い隠していましたのに!
「ちょっと、失敗したわねぇ。どうしようかしらぁ」
ハニーさんですわね……すでに告知も出していますし、社交界等ではうわさが広がってますわ、ハニーさんが知らないわけが無いですし、話しましたわね?
「セントレア、聞いて。私が、セントレア争奪バトルロワイヤル、に出て、セントレアと、結婚する。他の人には、絶対渡さない」
え?今なんて言いましたの?杏華がセントレア争奪バトルロワイヤルに出る、結婚するって言いましたの?!どうしてそんな話になっているんですの?杏華には関係のない話のはずですわ。
「きょ、杏華?!何言ってるんですわ?!杏華はそれでいいんですの?!」
もし、本気なら、杏華はもう普通の生活には戻ることは出来ない。そ、それに女同士ですわよ?
「いい。むしろいい機会。セントレアと、結婚したい」
「はうあ!」
「セントレア、と結婚出来る、なら、嬉しい」
「はぅ!」
「相談、乗ってもらった、凄く頼れる、信頼してる」
「ひぃ!」
「でも、ちょっと抜けてて、可愛い」
「うぅ……」
きょ、杏華、わたくしも……
「ん?セントレア、大丈夫、顔赤い、あ、死んだ」
「うぅ……あれ、わたくしどうして寝ていますの?」
「杏華の告白をクリティカルで食らったからな」
「あっ、そうでしたわ……」
杏華がわたくしと結婚……夢見たいですわ。
「セントレアは、もっと私達を、頼るべき」
「でもですわ」
心配かけてしまうのは……
「でもじゃない、黙られる方が、いや。困ってるなら、一緒に悩む」
「はい、ですわ」
杏華に言われるとついつい従ってしまいますわ……好きな人には逆らえない、これが青春ですわね。
「…はぁハニーさんから聞いたんですわよね?」
「ごめんなさいねぇ?」
「正直わかってましたわ。そしてそのあとの対策も色々と練ってあるのですが……杏華にここまで言われたら、私にできることは一つ、応援するだけですわ。杏華、絶対に優勝するんですわよ?わたくし待っていますわ」
杏華が絶対にわたくしと結婚すると言ってくれた。杏華はその言葉を違えることはないですわ。であるならばわたくしはただ囚われの姫のように最奥で待つだけ。
っは!杏華はまさしく、わたくしの白馬の王子様!ですわね!




